彼は私のもの!実姉から略奪不倫し恋人に戻った妹の執念 #6

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2022-07-29 06:00
投稿日:2022-07-29 06:00

間一髪! 姉のノックが響き渡る

ーー続けてください。

「互いに絶頂を迎え、ティッシュで後始末をしたのち、私たちは衣服を身に着けました。姉が来る可能性があるので、私は慌てて窓を開けて空気を入れ替え、ベッドの乱れを直し、デスク前のパソコンを立ち上げてーー。

 ドアがノックされたのは、その直後です。私は彼と目で合図した後、ドアを開けました。もちろん、施錠を解く音は響かないよう細心の注意を払ってーー。

『あら、あなた、ここにいたの』

 そう言うなり、姉が部屋に足を踏み入れました。『パソコンの具合が悪くて、お義兄さんにみてもらってたの。おかげで解決したわ。お義兄さん、ありがとうございます』。

 私は何事もなかったように笑顔で一礼したんです。

 姉は疑う様子もなく『あらそう、よかったわね』と言い、Rさんに視線を向けると、『あなた、レッスンが終わったからそろそろ出かける支度をしましょう』と階段を降りて行きました。間一髪で、姉にバレなかったのは本当に奇跡でした。あと数分ずれていたらと思うとヒヤヒヤでーー(笑)」

同じ屋根の下で二重生活

ーー本当にそうですね。続けてください。

「その日からRさんは、姉との夫婦生活、私との愛人……いえ、恋人生活の二重生活になりました。同じ屋根の下で……。

 ゲスと言われるかもしれませんが、二重生活を持ちかけたのは私です。姉との時間を優先し、『隙間時間でいいから、私を恋人として愛して欲しい』と。

 彼とのセックスする場所は、私の部屋以外にもともと姉の部屋だった3階の個室です。今は物置になっていますが、窓からの見晴らしがいいんです。春になったら桜も咲き、夏は新緑、秋は紅葉……そして、レッスン中のピアノの音が背徳心を煽ってきて……。

 ナイショですが、銀座のクラブの太客Wさん(40歳会社経営/既婚)とも2カ月に1度ほど抱かれています」

誰に何と言われようと、これが私の生き方

ーーえ、本当ですか?

「はい、ひとりに決めてしまうと、それがダメになった時、かなり落ち込むじゃないですか……だから学習しました。言葉は悪いけれど、保険みたいなものでしょうか(笑)。

 もっとも、彼らにも気持ちいい思いをしてもらおうと、必死にフェラやエッチのテクニックを磨いているので、WIN-WINという感じかしら。

 この先、どうなるかは分かりません。

 一つ屋根の下の不倫がバレるかもしれないし、姉に子供ができればRさんからフラれるかもしれない。もしくは、私に新しい結婚相手が見つかるかもしれない。

 だけど、一度しかない人生を後悔のないよう、存分に謳歌したいんです。

 姉への復讐心は、いつの間にか消え去りました。ただ、小さい頃からつらい思いをした分、誰に何と言われようと、自分の信念を貫きたい。呆れられてもバカにされても、これが私の生き方です」

 H子さんはにっこり笑った。

  ◇  ◇  ◇

 確かに、子供時代に味わうことができなかった幸せを、自らの手で掴みたいという願望は大きいだろう。あまりにもリスキーな恋をしているH子さんだが、筆者はその覚悟に大きなエールを送りたい。

(了)

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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