キンプリ永瀬廉が宝の持ち腐れ…橋本環奈が「夕暮れに」ヒロインなら?

こじらぶ ライター
更新日:2023-02-25 12:06
投稿日:2023-02-25 06:00

広瀬すずではなく橋本環奈だったら

 広瀬自身、この荒唐無稽な主人公に翻弄されながらも、必死に演じているのは伝わってくる。ただ、九州弁で現実味のないぶっとびキャラであれば、これが橋本環奈だったらと思わずにはいられない。

 福岡出身の橋本ならば、空豆の九州弁ももっと耳なじみ良く話せただろうし、東京に来て職場の空気感にそれとなく合わせていくこともできただろう。

 そして現実にはありえないぶっとびヒロインも、二次元感たっぷりのコメディエンヌ・橋本なら嫌味なく演じられたのではないか。

 広瀬はそもそも是枝裕和監督による「海街diary」の浅野すず役のように、ナチュラルで瑞々しい演技が真骨頂。そんな彼女が空豆のオリジナル九州弁とぶっとびキャラを無理して体現しているのがヒシヒシと伝わってしまうことで、ストーリーに感情移入できない。

 そんな空豆の恋のお相手は、フリーターをしながらコンポーザー(作曲家)としての成功を夢見る海野音(永瀬)。

 永瀬は21年の朝ドラ「おかえりモネ」で、ヒロインに想いを寄せる繊細な好青年・及川亮役で「りょーちん」ブームを巻き起こした。今作での音は、空豆がぶっとんでいることもちゃんと分かっている都会育ちの男の子だ。

“顔面最強”永瀬廉の演技力が逆効果?

 ただ、スタート時点から日本の超有名レコード会社と契約しており、わずかな苦労を経たのち、どんどん才能が認められ大チャンスを掴んでいく。顔立ちの良さも手伝って、(YOASOBI的な)男女2人組ユニットでのデビューへと話は進んでいる。

 顔面が最強なのは間違いない永瀬だが、オーラを消し朴訥な常識人を演じるのが上手すぎて、こんな普通の男の子が、こんなトントン拍子にスターへまっしぐらなんてあるのか? とどうにも頭が追い付かない。

 最新話では、ハンテンのような格好で田舎者大爆発だった空豆が、実は世界的デザイナーの母と天才画家の父から産まれたサラブレッドだったことも判明。勤務先の高級ブランドでも次々と天才的ひらめきを発揮しデザイナーとして頭角を現していく。この超絶展開とのコンボで、音のサクセスストーリー共々、ややご都合主義すぎると感じる。

ルッキズム、女性蔑視、職業差別…

 合わせて、家主が息子に“ハーフで青い目の子ども”を望む発言と、その息子の「(嫁を)東京で調達しようかと思ってます」「大根を買う気軽さで」という発言が、ルッキズムや女性蔑視であるとの指摘もされている。

 また空豆が婚活パーティーに参加し職業を聞かれた際に、当時のバイト先である「蕎麦屋」と答えると爆笑されたり、育ての親である祖母がいる実家が「空豆畑」であることも冷ややかに捉えられるなど、職業差別的な表現も多い。

 感情移入できないキャラと設定に、時代錯誤なセリフ多数となってしまった今作。広瀬と永瀬が宝の持ち腐れとなってしまっているようにも思う。

「silent」の成功は川口、目黒の演技力によるところも大きいが、広瀬と永瀬の初共演が「silent」のように繊細で、丁寧で、心の機微を美しく描くラブストーリーだったなら、どんなに素敵だっただろうか。

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ