コロナ禍で対応分かれた子どもの「付き添い入院」、骨身に沁みたのは…

tumugi・ひでまる ツレ婚夫婦ライター
更新日:2023-05-15 06:00
投稿日:2023-05-15 06:00

一度踏み入れると退院まで出られない閉鎖空間

 また、病院側のお願いということで、特別に個室での入院となりました。通常の個室代は1日1万円かかるそうですが、病院側の好意(?)で1日1000円に。ほかにも、私の食事代として1食460円程度の費用がかかります。もちろんすべて実費です。

 そして、病室へ一歩足を踏み入れると、付き添いの私も退院まで病棟のフロアから出られません。病院には売店もなく、何か欲しければAmazonなどのオンライン通販で頼んだものを病室まで届けてくれました。

 病室にこもりきりで息が詰まる毎日。長男も暇そうに勉強をするか、ゲームをするか、やることがありません。

 唯一の楽しみは、デイルームの自販機です。感染症対策のために椅子もテーブルも撤去された広い空間で、あたたかい緑茶を飲むのが日課になりました(笑)。

子どもの世話は看護師ではなく付き添いがやる必要があるのか?

 また、付き添いをしていて気になったのが子どもの世話です。看護師たちは付き添いの私に当たり前のようにオムツの交換や身体拭き、食事やトイレにシャワーの介助まで半強制的にやらせました。

 もちろん、自分の子どもなのでやるのが当たり前かもしれませんが、付き添っていない一般患者にはすべて看護師が行っているはずです。もし、素人の私の不十分な介助で子どもが転倒してしまうなんてことがあれば、手術した意味もなくなってしまいます。介助する際には恐怖が勝っていました。

 そこで一度「どうして私がやる必要があるのですか?」と抗議したのですが、「みんな付き添っている親御さんにお願いしています」とムッとした表情で言い返されただけで、待遇は変わらず……。

 忙しいのは充分に理解できますが、私たち親が付き添うのはあくまでも子どもの精神安定のためであり、看護師さんの介助の手伝いをするためではありません。

 昔から「付き添い入院=子どもの世話係」という認識に疑問を感じていました。しかし、コロナ禍での厳戒態勢での入院は、慢性的な人手不足や、いつ自分が感染症に罹患してしまうかなど、働いている側からしても非常に大変なのでしょう。それ以降は、大人しく言われた通りに介助をしたのでした。

付き添えないつらさは付き添いのつらさを凌駕する

 一方、現在末っ子が入院している病院は付き添い入院が原則禁止であり、面会も1日15分のみ、両親どちらか一名という厳しい制限を設けています。聞くところによると、コロナ以前はここまで厳しい制限はなかったそうです。

 緊急入院となったまだ5歳の小さい我が子。わけもわからないまま採血と点滴を受け、病室に一緒に入れずに病棟の入口でお別れしました。ひとりで預けなければいけないこの状況に、不安で胸が張り裂けそうです。

 規定通り1日に15分しか面会できないため、夫と交互に通っています。毎日「ぼくいつになったらおうちにかえれるの?」の言葉に涙をこらえることしかできません。

 こんなことなら、介助でもなんでもするから付き添わせて欲しい。せめて、面会の時間をもっと長くして、日中だけでも一緒に過ごしたい。あっという間に15分。帰り際、末っ子の寂しい背中を見つめるたびに、コロナ禍の現状を恨んでいます。

 子どもの入院に付き添うのは本当に大変ですが、それ以上に小さな子どもひとりでの入院は親も子もつらさしかありません。ただただ、しんどい。会いたい。抱きしめたい。

 コロナ禍の子どもの入院に付き添うにはたくさんの制限があります。不自由な思いもするでしょう。しかし、私はどちらも経験したうえで付き添うことが可能ならば、付き添いたい。ただ、我が子のそばにいられるだけでいい。それだけを願うのでした。

tumugi・ひでまる
記事一覧
ツレ婚夫婦ライター
10代で結婚、20代で離婚した3人の子を持つ占い師ライターtumugiと、元妻に2回も不倫サレてバツイチとなった会社員のひでまるが出会い、ステップファミリー(子連れ再婚)に。夫婦ともにFPの資格を所持し、保険会社勤務の経歴を持つ。自らの体験から『ステップファミリーの本音』をテーマに情報発信をしている。ステップファミリーを目指す方の背中を押すべく占い×実体験のアドバイスを用いて活動中!
ブログYouTubeXInstagram公式LINE
◆相談はこちら

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「飲み=仕事」の時代を生きた酒豪おばさん、ついにリタイアか? 老化で変化した飲酒との付き合い方
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
花屋が一押し!敬老の日に「マリーゴールド」を贈りたい理由。長持ちさせるコツはある?
 今年もシビれるくらい暑い夏でございました。  最高温度は毎日のように体温超え。心配していたのは作物の生育。備蓄米...
賛成or反対? 職場にいる“2世社員”への本音。本人的には「バレたくない」ってなんで?
 あなたの職場に、親が会社の中心人物である「2世社員」はいますか? コネ入社ゆえに対応が厄介だったり、逆に出先では信頼さ...
「都合がいい時ばっかり!」未熟な若妻にイライラ…53歳の義母が下した“自己防衛”作戦
 息子が結婚をすれば、息子の妻(いわゆる「お嫁さん」)も家族の一員。だけど、“家族”だからこそ生まれる“摩擦”や“モヤモ...
業界人「あの子、お気に入り枠だから」の噂。芸能界に渦巻くタレント達の“自尊心と屈辱”のはざま
「この子、社長のお気に入りだから」  そういう一言を、私は何度となく耳にしてきた。現場に漂う空気は一瞬で変わる。誰...
ストレスとは「心のコップ」がたまること…自分からのSOSに気付く意外なヒント【専門家監修】
 2012年に59歳で亡くなったロック歌手・桑名正博さんとアン・ルイス(68)の長男でミュージシャンの美勇士さんや、タレ...
公園でのケガも学校のせい! ラスボス級“モンスター保護者”のヤバすぎる行動6選
 学校などに対し、自己中心的な要求をしたり理不尽に怒鳴り込みに行ったりするモンスターペアレント。そんな保護者に悩み、現場...
“イケにゃん”の貴重な大胆ポーズ♡ テレビ番組に夢中なプリンスの休日
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
部下の妻に恋をして…不適切な関係に焦がれた男の末路。色恋沙汰のスキャンダルの恐ろしさ
 職場や近所、SNS界隈に現れる「残念な人」、いますよね。実は今から約2000年前から現在に伝わる「聖書」にも「残念な人...
昼寝中の我が子がいない! 育児の恐怖体験エピソード。前世の記憶にゾッ…
 今回は、育児の恐怖体験エピソードを集めてみました。これらは誰にでも起こり得る出来事。育児真っ最中の方はぜひ参考にしてく...
【漢字探し】「嫁(ヨメ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
“クレクレ”ママがご降臨! 金持ちなのに「ランドセルもらえない?」って引くわ…ケチすぎLINE3選
 今回ご紹介するのは「ケチだな」と思ったLINE。ケチなのか、ケチではなくフェアなのか、人それぞれ基準は異なりますが、あ...
それ入れちゃう!?  我が家の「かさ増し食材」を大公開。節約×ダイエットにもベストな10選
 メニューの定番の食材を、別の食材で「かさ増し」させたことはありますか? 食費の節約、栄養バランスの調整、ダイエットなど...
「じゃ、誕プレとデート代返して」ってケチすぎない!? 相手の“本性”に幻滅したLINE3選
 あなたが信頼している彼氏や親友は、別の顔を持っているかもしれません。  もしも、そんな相手の本性を目の当たりにし...
「大金に手が震えた」若手芸人が打ち明ける“営業”の実態…VIP相手の席で抱いた違和感の行方
 世間を揺るがす芸能界の黒い噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。現在は清浄化が行われている芸...
推し活ロス、将来の不安…独女にこそ「サウナ」を勧めたい。暑苦しい場所が“居場所”に変わった理由
 外出もままならず、仕事も減り、推しにも会えない――そんなコロナ禍の真っ只中、アラフィフ独女の私が偶然出会ったのが「サウ...