介護という名の人生の修羅場、認知症の母ともみ合っても受け入れられない

山口明 プロ童貞・現代アーティスト
更新日:2024-07-09 21:51
投稿日:2023-08-19 06:00
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳の時に仕事中心で働く生き方をドロップアウト。現在は悠々自適な老後(?)を送りながら、還暦過ぎの童貞としてメディアに登場し注目を集めています。
 年老いた両親の介護のためにデザイン事務所を畳んだのが56歳の時。父を見送り、母を施設に入れて介護生活が少し落ち着いた今、思うこと──。

誰もが経験する「人生の一大事」

 オレってこう見えて、親の介護を経験してるんだよね。

──こう見えてって、自分ではどう見えてると思っているんですか?

 チャラくて騒がしい、ふざけたジジイかな(笑)。まあ、そんな話は置いておいて、ふざけた奴も真面目な人も、偉い人も偉くない人も、親が急死するか自分が親より早く死なない限り、すべての人が経験する可能性がある「人生の一大事」のひとつが介護なんだよ。

 オレが63年の人生を振り返っても、「終わったな」と思ったのは親の介護に直面した瞬間だったしね。

 父親はオレが30代の頃から体の具合が悪くて、その面倒を見ていた母親もオレが50代の頃から認知症になっちゃって、連日徘徊して行方不明になる状態で、もうどうにもならなくなって。

 認知症の人って意外と体力があって、すごい距離を歩くんだよ。うちの母親は松戸から綾瀬まで歩いたし、電車に乗って我孫子に行ったことも。何度、警察から電話がきて迎えに行ったことか……。県を超えると警察の管轄が変わるのか、連絡がつきにくくて大変なんだよね。

 それで、困ってるオレの様子を見た近所の人に、「市役所に相談したら?」と言われて相談に行ったりもしたんだけど、結局は「地域包括支援センター」というところに相談して、ケアマネジャーさんを紹介されて、ケアマネジャーさんのお世話になりながら、オレの介護生活は始まったんだ。

 だから今、まさに介護に直面して悩んでいる人は、まずは地元のセンターに連絡してほしい。相談するだけなら別にお金もかからないし、利用できるサービスは利用したほうがいいよ。ひとりで考えているとつぶれちゃうからさ。

真面目にやり過ぎちゃダメ?

 経験した人しか分からないと思うけど、介護ってマジで本当に大変だから! お金に余裕があって、生活の何から何まで見てもらえるような施設に入れられる状況の人以外は、その時が来たら覚悟を決めて挑むしかない。だけど、人間って不思議と覚悟を決めると物事が解決に向かって行ったりするもんだよ。

 ときどき介護で家族を殺しちゃったりする悲劇がニュースになるけど、オレもちょっと間違ったら母親を殺していたかもしれないと思うことがある。

 母親が施設に入る前なんだけど、暴れてもみ合いになって(オレが)手を骨折したんだ。もともと優しくておとなしい性格の人だったから、攻撃的になった目の前の母を受け入れるまで時間がかかったよ。

 当時、母親を診てくれていた医者には「(介護を)真面目にやり過ぎるなよ」と言われて、その時は「何言ってるんだよ」と不快に思ったんだけど、今となっては的を射たいいアドバイスだったね。

 オレも心に余裕がなかったから、うまく受け取れなかったけど「真正面からぶつかってつぶれるなよ」って意味だったんだろうね。

山口明
記事一覧
プロ童貞・現代アーティスト
1960年生まれ。プロ童貞しかし、あるときは現代アーティスト。そしてまたあるときはオナニストにして予言者。しかし、その実体は無職のオシャベリ・クソジジイ。毎日、地元MAD CITY(松戸市)の平和を守る為、猫背&早歩きでパトロール。本日も童貞戦線異状なし!!
著書の「ワイルドチェリーライフ山口明 童貞力で一億総クリエーター時代を生きる」が発売中。代理人による公式Xも更新中。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


占いとの上手な付き合い方は…ハマるカラクリを知ると安心
 朝のニュース番組の占いコーナーで目にする、その日の星座占い。どうでも良いと思いながらも、なんとなく意識しちゃったりして...
引退したホストたちはどこで何をしていると思いますか?
 ホストクラブのホストは、いつまでもホストを続けているわけではありません。最近は30代のホストも増えてきましたが、多くは...
落ち込む時こそ口角を上げて 幸せホルモン作る“笑顔”効果
 いつもニコニコ、口角がキュッと上がっている女性って、同性から見ても魅力的ですよね。でも、実際はというと、そんなに人生楽...
ショートスリーパー女子直伝 人生を少し長くする5つの方法
 私は、いわゆる「ショートスリーパー」です。10代の頃に「1日8時間睡眠だと、人生で30年は寝てしまう!」という事実に驚...
プラネタリウムはいつからカップルスポットになったのか?
 ふっと星空を見上げてぼうっとしたい。仕事に疲れた時、人は、星を求めることがあります。以前は、たったひとりでプラネタリウ...
焦りは禁物…猫が心を開いた時に“にゃんたま”もコンニチハ
 ニャンタマニアのみなさんはご存知と思いますが、にゃんたまを見ることができるのは猫がこちらに気を許している時。焦って見せ...
保育者たちが夢を熱く語る「保育ドリプラ」に感動しました
 こんにちは、小阪有花です。  前回のコラムで、保育業界にかかわる方々が夢や実現したいことを熱く語るイベント「保育...
若い男の子のプリプリ“にゃんたま”は歴代5本指に入る魅力
 近年、希少価値ナンバー1部位となった天然「にゃんたま」。  きょうのにゃんたまは、爽やかな海風の吹く猫の溜まり場...
天然モノは貴重…思わずモフモフしたくなる“にゃんたま”
 私が天然の「にゃんたま」と呼ぶのは…地域猫、保護猫活動が広まる今、去勢手術をしていない、自然の、ありのままの「にゃんた...
お酒好き女子にオススメ とっておきの「二日酔い対策」4選
 二日酔いって本当にツラいですよね。吐き気、頭痛、胸焼けの症状に苦しみながら出勤とか、考えただけでもぐったりです。でも、...
まるくて、ふわふわ…“にゃんたま”を愛でて幸せな気持ちに
「にゃんたま」に、ひたすらロックオン!猫フェチカメラマンの芳澤です。  肉球、ふぐふぐ、尻尾…と、どのパーツを見て...
1滴で1週間のストレス解消? 強い女性こそ“涙活”のススメ
 大人になればなるほど、泣けなくなるのが世の常。たとえ失恋したってグッと堪え、仕事や次の恋愛に向かえるパワーを身に付けて...
子供は無条件にかわいい…でも保育園の現場は大変なんです
 こんにちは、小阪有花です。ご存じの方もいるかと思いますが、私は2009年に芸能界(旧芸名:小阪由佳)を引退後、引きこも...