介護が疲れた時にとるべき対処法…共倒れにならないために

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-07-10 10:03
投稿日:2019-07-10 06:00

 子育て中の親に対しての支援は、ようやく政府が向き合い始めたところが現実でしょう。一方で、介護を行う人に対しての援助は、まだまだ行き届いてないのが現状です。

 かゆいところに手が届いていないので「そういうことじゃないんだけどなぁ」と感じる人も多いのではないでしょうか。その感情が“どうしたらいいか分からない”という絶望感を生み、悲惨な事件を招くことになっていると筆者は考えます。「介護に疲れた」というと、自分が非道な人間と思われてしまう気がするのです。

 しかし、仕事として介護をしている人であっても「介護に疲れた」と、それぞれ口にします。親の介護や、義理の親の介護が必要になった現実から介護問題に取り組む人は、なおのこと介護に疲れるのは当たり前だと言えそうです。

介護に疲れた時は具体的にどうするべき?

 では、介護に疲れた時に具体的には、どう対応するべきなのでしょうか? 介護に疲れたと感じている人こそ、溜め込むことなくストレスを発散することが必要です。

介護の現実を忘れること

 介護に疲れた時は、介護を忘れることでしか癒されません。重度の人を介護している人たちにとっては、お礼を言われることも、何か見返りをもらうこともないからです。「いつも、ありがとう」と言われるどころか、「私を殺そうとしている」と言われてしまう可能性もあります。そのような状況では常に精神が疲弊してしまうのも無理はありません。

 そういう時は、自分の頑張りが足りないと責めるのではなく、いっそ介護から離れてしまうことが大事になります。短期で入所できるショートステイを受け入れている施設もあります。介護による寝不足や精神の乱れで、真摯に向き合うことができない時は、こうした施設に“預ける”という選択を持ちましょう。

 預けることは、何も悪いことではありません。長く介護に向き合っているからこそ、疲れてしまっただけ。罪悪感を感じる必要はないですよ。

誰でもいいから相談する

 介護に疲れたという現実から逃げたくなるのか、本人を殺めてしまうような事件があとを絶ちません。こんな時、「誰かに相談しましょう」と当たり前のことが繰り返しアナウンスされます。しかし、介護に疲れた……というネガティブな感情を誰に相談するべきか分からない人もいるでしょう。筆者は、“地域包括支援センターに相談する”ということを提案します。

 家族よりも介護保険について詳しく、地域のさまざまな施設や高齢者サービスに熟知しています。金銭面でも具体的な解決策を示してくれる可能性が高いです。地域に根ざした身近な公共機関で、相談に対する料金もかからないですし、プロとして秘密を漏洩することもありません。安心して自分の本音を相談するべきでしょう。

 一人で悩むより、プロの相談員に提示されたあらゆる手段から解決策を選ぶ方が心理的にも落ち着き、ストレスも和らぐはずです。

自分の時間もしっかりと持つこと

 介護に疲れた時は、すでに現実の重さにまいっている状態なのでしょう。暴言を吐かれたり、妄想に付き合ったり、身体的な排泄介助に困っている場合もあります。疲れてしまうのは当たり前のことです。

 いくら親族であっても、人のお世話をすることは大変なことです。「人が人を支える」というのは素敵な言葉ですが、しかし、このようなきれいな言葉は時に人を苦しめます。

 きれい事では済まされない現実を、誰かに助けとして求めることをより一層難しくするでしょう。「こんなことで相談するのは……私の家族の問題なのだから……」と思う必要はありません。そもそも自分の人生であって、誰かのための人生でありません。

 介護でつらい分、自分にも楽しみがないとやり切れません。苦しみが大きくても、楽しみが勝れば人は頑張れるものです。その楽しみを積極的に作るべきです。介護に疲れたら、たまには施設に預けて旅行に行ったり、自分を大事にすることは必要なことです。

「私は介護のために生きてるのではない」という認識ほど、介護に必要なことはないと思います。積極的に趣味や楽しみを、いつも以上にやっていいのです。そうすることが、介護されている本人を助けることにもつながります。

介護に疲れた時は自分を優先しよう!

 介護に疲れたと感じる時には、自分を優先しましょう。どんなに弱者を守ろうとしても、自分も弱っている時は共倒れになってしまいます。

 その時は後ろめたい気持ちになったとしても、楽しむことは大事です。介護が必要な状況になると四六時中、介護のことばかり考えてしまいますが、人生は介護だけではありません。

 細く長く先の見えない介護と向き合う際には、ぜひ自分のケアも考えてみてください。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


プロ作家・村上龍先生をリスペクト。64歳のプロ童貞が語る「自己啓発本を好きなこれだけの理由」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
「#男児ママ」トレンド入り 小学校低学年の息子が大浴場で誰かに触れて問題になったら?【弁護士解説】
 9月末、X(旧ツイッター)で「男児ママ」がトレンド入り。これは男児を銭湯や温泉、または女子トイレに連れてくる男児の母親...
え、これだけで? 爆速で人と仲良くなれる「超簡単」なテクニック
 みなさんは距離を縮めたい人にはどんな風に接していますか? 私はミリ単位でジリジリ近づくことが多いのですが、スナックでの...
ボサ髪にギョッ! 100均ヘアグッズで「ちゃんとした女」に変身できる?
 写真や動画を見返した時、自分の髪がボサボサすぎてギョッとしました。「いい加減ヘアセットくらいしようよ」と出かける前の自...
最近の小学校で教わる「ふわふわ言葉」って何? 大人こそ大切にしたい心地よい言葉6選
 皆さんは「ふわふわ言葉」を知っていますか? 最近の小学校の教育現場で教材になっている、子供だけでなく大人こそ改めて大切...
プー太郎君の「ほよよ顔」に癒される~♡ 猫カフェで至福のひと時
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「リンドウ(竜胆)は仏花」と決めつけるのはもったいない! “花が咲くリンドウ”を楽しんで
 日中は冷房、夜は毛布をかけて寝る不思議な時期です。これを秋と呼んでいいのかは迷いますが、季節の移ろいを感じる今日この頃...
「あー家が狭い!」4つのイライラ解消法。プチ優雅な暮らしを諦めない
 家が狭いとイライラしてストレスが溜まりますよね。物にあふれた部屋を見るだけで、どっと疲れが押し寄せてきます…。でも、ち...
癒されないわけがない!40女が選ぶ秋の夜長に読みたい珠玉の猫漫画3選
 10月に入り一気に過ごしやすくなりました。読書の秋! と言いたいところですが、毎日の仕事や家事で心身ともにお疲れ気味…...
「出産した女友達に会いたくない…」素直に喜べない自分は性格悪い?
 出産した友達から「会おうよ」「ご飯行かない?」という誘い。それに対して「うわー会いたくないな…」と思っちゃう自分は性格...
「圧の強い友達」の上手なかわし方5カ条。隙ありゃマウントとか、付き合い切れません!
 語気が強い、上から目線、隙ありゃマウント取ってくる…。こんな感じで圧が強い友達、1人くらいはいませんか? たまに高圧的...
仲良くオヤツをむしゃむしゃ♡ 奇跡の“たまたま”3連単を愛でる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
サギって不思議な鳥 秋の景色の中でみつけた気高い立ち姿
 川の真ん中に白鷺の気高い立ち姿をみつけた。  この鳥がなんだか思慮深く見えるのは、あの不思議な顔立ちのせいかな。...
「肌肉玉雪」女性にまつわる難解四字熟語。ヒント:1文字目は音読みです
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
もふもふが恋しい季節に♡愛しの“たまたま9玉”でほっこり一息しましょ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 9月にご紹介したもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまた...
ちょっと覗き見♡ 女子高出身者LINEあるある3選。お風呂上がりに“男前”な行動かっ
 共学出身の人からすると、女子高出身者は女子の集まりだけに「女の子らしい」「人間関係が大変そう」といった印象を抱く人もい...