更新日:2023-09-15 17:14
投稿日:2023-09-08 06:00
秘密を守ることを誓う
彼は不安そうに、眉根を寄せたんです。
確かに、女性客とただならぬ関係になったとバレれば、将来この地で起業したい彼にとっては不都合です。女性客に手を出したとSNSで拡散されるかもしれません。
おそらく私の部屋に来る際も、なるべくスタッフと顔を合わさぬよう、慎重に来たはずです。一目ぼれとはいえ、彼に大きなリスクを与えている自分を反省しました。
――安心して。誰にも言わないし、ユウマ君に迷惑はかけないわ。逆にわがままを言ってごめんなさい。
――いえ、そんな……わがままだなんて。
――絶対に迷惑をかけないと誓うから……。
――ありがとうございます。
もう言葉は要らない
私はルームサービスで取ったシャンパンをフルートグラスに注ぎ、彼に手渡しました。
――僕、運転なので、お酒は……。
――大丈夫、ノンアルコールよ。
私たちは窓辺のバルコニーに行き、星空と海を見ながら乾杯をしたんです。
南国の夜風が、潮の香りを運んできます。シャンパンを一口飲み、どんな話をすべきか迷ったのですが、不意に彼の手が私の腰を抱いてきて……。その瞬間、私は『もう言葉は要らない』と思いましたね。
黙って彼の肩にもたれかかり、グラス片手に天空に輝く月を見上げました。
寄せ返す波の音に、ナイトプールではしゃぐ観光客の声が重なっています。大自然の息吹を感じながら、これから彼とイケナイことをしようとしている現実に、軽いめまいを覚えました。
南国の地で、彼と獣のようにもつれあう姿を妄想すると、呼吸すら苦しくなってしまって……。
グラスをサイドテーブルに置いて、彼をベッドに導き、月明かりに照らされたベッドで抱き合ったんです」
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