月経ディスクにベットする女の覚悟「ストレスを減らす手伝いがしたい」

コクハク編集部
更新日:2023-09-17 12:26
投稿日:2023-09-17 06:00

起業資金を得たいと「令和の虎」に出演

 生理用品の一種で使い捨て可能な「月経ディスク」を企画・販売する「MONA company」代表取締役の向井桃子さん(35)。

 もともとは美容師で、外食チェーンの社員も経験しました。夫婦共稼ぎながら子育てにもお金がかかり、生活はぎりぎりです。

 当然、起業資金はほぼゼロで、経営スキルもありませんでしたが、2022年1月、YouTubeチャンネル「令和の虎」に志願者として出演することに……。

 前編はこちら

  ◇  ◇  ◇

純粋に消費者として使い続けたいと思った

「令和の虎」は、2000年代前半に日本テレビ系で放送されていた「マネーの虎」のネット動画版です。

 向井さんは男性ばかりの虎(投資家などの審査員)たちを前に、まだ日本では認知度の低い生理用品のひとつ、「月経ディスク」の利便性や将来性について熱く語り、起業資金2000万円を手にします。

「当時はフェムテックの走りで、フェムテックという言葉もそうですが、いま以上に『月経ディスク』は知られていませんでした。それでも、生理中のにおいに悩んでいた自分が、海外から取り寄せ、実際に使ってみたら驚くほど良かった。純粋に消費者として使い続けたいと思った商品は、ビジネスの観点でみても『いけるかも?』って思ったんです。

 生理用品は定期的に必要となるリピート性があり、季節にも左右されません。コロナ禍で外食もアパレル(アクセサリー)も立ち行かなくなった経験があったからこそ、見えたものもあります」

メーカーや工場にかけ合うも門前払い

 25年以上も前から流通している米国の実情を調べてみると、ダントツの訴訟大国でありながら裁判の事例も見当たらなかったそうです。

「これ、いける!」

 向井さんは、学生時代からの女友達と、起業に向けて動き出します。

「保険外交員として働く友人と一緒に、生理用品や同じゴム製品のコンドームを扱うメーカーなど、あらゆる会社に電話をかけました。でも、ほぼほぼ門前払い。“ 君たち何者? 何であなたがやる必要があるの?”と話を最後まで聞いてもらえることは少なかったです(苦笑)」

 ローラー作戦で電話をかけ続けること2カ月。ようやく工業用ゴムやプラスチック製品を取り扱う老舗企業「ゴムノイナキ株式会社」(名古屋市)が興味を示しました。同社は一般医療機器製造の認可を県から取り付け、製造販売元になったのです。

もう引き返せない…

 なんとか工場のめども立ち、ようやく……といった矢先、提示されたその見積金額に足が震えたといいます。

「見積額は2800万円、想像の上を行く金額でした。『令和の虎』で出資していただけることは決まっていない段階でしたし、たとえ、2000万円が決まっていたとしても、当面の運転資金を考えたら、2倍の5600万円は必要になります。いけるんちゃう? なんて勢いだけで突っ走っていましたが、『もう引き返せなくなってしまった』というのが、正直な気持ちでした。

 一緒に始めた友達は副業NGの会社に勤めていたうえに、成績上位の外交員。ギャンブルのような事業規模と安定した会社員生活を天秤にかけたら、降りるしかありません。

 でも、私は令和の虎の出演が間もなくという時でした。お金が集まったら1人でも、何としてでもやろう。自分も使いたい。将来生理を迎える娘のためにもやるしかないなって」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ライフスタイル 新着一覧


辻希美は第5子妊娠の衝撃度。長女希空とは18歳差に…年の差きょうだいの良さと熟考すべきこと
 元モーニング娘。の辻希美(37)と夫の俳優・杉浦太陽(43)が3日、第5子妊娠を発表した。  2007年6月に結...
一気に距離が縮まる会話術! 社長も平社員も、みんな笑顔になる「あの話」は鉄板エピソード
 例えば今目の前に距離を縮めたい相手がいたら、みなさんは何をしますか? 私なら、その人の子供時代の話を聞きます。 ...
「子持ち様」認定されないように…非常識な親バカママ友あるあると3つの対処法
 子供がいると避けて通れないのが、ママ友とのお付き合い。  今回は、思わずイラッとしたママ友の親バカ行動をご紹介。周...
職場の「1on1ミーティング」を苦痛に感じる3つの原因。今すぐ取り入れたい対策方法は?
 近年、企業で取り入れられている「1on1ミーティング」をご存知ですか? 新しい手法を取り入れるのは良いことですが、蓋を...
堤防の上は“たまたま”のランウェイならぬ、ニャンウェイ♡ 見せ場のターンの瞬間をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
意外に難しい「ミモザの鉢植え」を成功させたい! ほっぽらかし園芸好きの花屋が教える5つの失敗と対策
 暦の上では3月、ポカポカを通り越して半袖脇汗が止まらない日中があれば、突然寒くなり雪が降る…これは本当に三寒四温なのか...
想定外しかない商店会ワーク。文句ばかり言うおっさんにブチ切れ寸前、寅さんの名台詞で堪えました
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
ぎっくり腰再発かも…? 運動不足解消のため、水泳を始めた中年おばさんの“まさか”
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
“春ピンク”は女性ホルモンを刺激!【調香師が解説】指先から幸せになるピンクフラワー香り術
 色とりどりの花が咲く春は、気分も明るくなって幸せな気分になりますね。花の色に多いピンクですが、女性ホルモンを刺激する色...
40代の同窓会はどこで差がつく? モテる人とモテない人それぞれの共通点
 若かりし時代を一緒に過ごしたクラスメイトと、定期的に同窓会を開いている人は多いですよね。でも、40代にもなってくると見...
ダイニングテーブル上の「キレイのコツ」5選 すぐに物が散らかり、ぐちゃあ~とするのなんで?
 家族みんなが団欒する時に欠かせないダイニングテーブル。食事をしたり、コーヒーを飲んだり、宿題をしたりと大活躍ですよね!...
「かかってこいや!」攻撃待ちの“たまたま”が余裕の挑発? プロレス開幕の予感にワクワク
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
第一印象が悪いという悩み。好印象に近づく「メラビアンの法則」を知っていますか?
 ビジネスでも恋愛でも、第一印象は大切。第一印象が悪いとビジネスでは取引や契約に悪影響を与え、恋愛では恋人候補から外され...
変わらない、変われない。
 街は変われど、変わらない変われない一本松。  一体、何を視つづけてゆくのだろう。
【漢字一字探し】悔の中に梅はどこ?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...