更新日:2023-10-20 16:17
投稿日:2023-10-13 06:00
ホテルに着いた途端、着信が
――元カレの敬一さんとホテルに……ですか?
「はい……。英明さんに申し訳ないと思いつつも、敬一と離れがたかった。六本木にある外資系ホテルは、敬一と交際中、よく利用した場所です。その高層階に部屋を取ってくれました。
エレベーターで上階に行く間は、この後どうなるの? と困惑しっぱなし……でも、敬一と離れたくなかった。
よく結婚前の女性は『本当にこの人でいいの?』という理由から、浮気しやすいと聞きますが、私も同じ気持ちだったのかもしれません。
でも、部屋に入るなり、ロマンティックな気分は壊れました。私のスマホが鳴ったんです。液晶画面を見ると、英明さんからでした。
逢瀬が視えている?
(うそ、英明さんが……どうしてこのタイミングで……?)
霊感が働いたのかと怖くなりました。もしかしたら、彼には私が敬一と逢っていることが視えているのかもしれません。
――スマホ、鳴ってるよ。出たら?
ドアを閉めた敬一が言いました。
――でも……。
私は躊躇しましたが、
――僕は向こうに行ってるから、出なよ。
そう言ってバスルームと洗面所の方に行き、戸を閉めたんです。おそらく敬一も、婚約者からの電話だと察知したのかもしれません」
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