更新日:2023-11-10 06:00
投稿日:2023-11-10 06:00
完全に誘惑モードに
――続けてください。
「お酒の勢いもあって、互いのことを話しました。2人とも配偶者とはセックスレスであること。夫婦らしい会話も無くて、ほぼ仮面夫婦であること。
ときめきや癒しが欲くて、既婚者合コンに参加したことを伝え合ったんです。
そのうちに、カウンター下のひざが触れ合って……。私、あっと思いながらも、逆にひざを押しつけてしまったんです。
完全に誘惑モードですよね。そうしている時も、ユリさんと涼介さんのキスシーンがよみがえってきて……。
女として負けたくない気持ちがこみ上げてきて――。
――よかったら2人で落ち着ける場所に行きません?
私はひざを押しつけながら、彼を見つめました。
女として愛されたい!
――えっ。
――夫は出張で息子も合宿なんです。このまま誰もいない家に帰るのは寂しくて……。
私は表情を曇らせました。事実、心も体も満たされず寂しかった……たとえ一夜限りでも、女として愛されたい気持ちがあったんです。
――い、いえ……。僕でいいんですか?
――和也さんだからです。誰でもいいわけじゃないわ。
真っすぐに見つめると、彼は会計を済ませて私の手を取り、店を出ました。
時刻は21時過ぎ。六本木の裏通りには、あまり知られていないラブホテルがあるんです。
私たちは足早にホテルの門をくぐりました」
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