偶然が過ぎる親友との再会、「やさぐれタイ子の8年間の謎」が気になる

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-02-12 14:30
投稿日:2024-02-12 14:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第20週「ワテかて必死や」#92

(C)NHK
(C)NHK

 昭和23年、羽鳥善一(草彅剛)がスズ子(趣里)に送った「東京ブギウギ」は、明るいブギのリズムが人々の心をつかみ、空前の大ヒットとなる。

 山下(近藤芳正)は、「ブギの女王」の次の一手が大切だと考えるが、羽鳥は忙しくなかなか新曲に取りかかることができないでいた。

 そんなある日、スズ子は芸能記者・鮫島(みのすけ)の取材を受けることになる。

 しかし、この記事がきっかけでスズ子は大変なことに巻き込まれてしまう。

【本日のツボ】

(C)NHK
(C)NHK

タイ子に何が…!?

 ※※以下、ネタバレあります※※

 あの靴磨きの少年・達彦(蒼昴)はタイ子(藤間爽子)の息子でした。「おかあちゃん、ただいま!」と帰って来た息子を「達彦おかえり、疲れたでしょう」と迎えるタイ子。床に臥したまま、時折り咳き込んで苦しそうです。

 タイ子ちゃんといえば、大阪時代のスズ子の幼馴染。小学校の同級生でいちばんの仲良しでした。芸者の娘でスズ子もタイ子ちゃんのお母さんに日舞を習っていましたね。

 2人が最後に会ったのは、スズ子の母ツヤ(水川あさみ)の葬儀でした。

 タイ子ちゃんのお腹には子どもがいて、お相手が東京から出張で来るたびにお座敷に呼んでくれるとかなんとか馴れ初めをスズ子に語り、「この子が生まれたら、ウチも東京行く予定やから、また遊んでな」と約束していました。

 あの時、お腹にいた子が達彦だったということでしょうか。

 その後、同じ東京にいるのに一度も再会する場面がなく、気にはなっていましたが、戦争もあり、それどころではなかったのかもしれません。だとしても、よもやこんなかたちで再会するとは! なんという偶然…。

 偶然が過ぎます。私も東京に出て来て数十年経ちますが、幼馴染と偶然出会うなどただの一度もありませんでした。

 それがドラマというもの、とわかっていても、もう少し自然なかたちで再会できなかったのか、と。

 東京の人口100人とかならありえるかもしれませんが…。

病床のタイ子の耳にまで轟く東京ブギウギ

 それはともかく、達彦が「東京ブギウギ~♪」と歌い出すと、「達彦、それやめて」と制止するタイ子。「ごめん。おかあちゃんその歌、嫌いなの」とバツが悪そうに…。

 病床のタイ子がどこでこの歌を聞いたのかは謎ですが、そんなタイ子の耳にまで轟く流行歌という解釈でしょうか。

 あの拒否っぷりから、少なくともスズ子の活躍を手放しで喜んでいるわけではなさそうです。

 いったいタイ子の身に何があったか。徐々に明かされていくのでしょうか。

 ツボ的タイトルは「やさぐれタイ子の8年間の謎」で決まりです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ
東京大空襲、愛し合うスズ子と愛助の運命は…金曜放送回を前におさらい
 トミ(小雪)の許しが出て、山下(近藤芳正)が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。  スズ子(趣里)...
桧山珠美 2023-12-27 17:40 エンタメ