“昨日の敵は今日の友”というけれど…NHKさん、展開についていけません

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-02-15 16:25
投稿日:2024-02-15 16:25

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第20週「ワテかて必死や」#95

(C)NHK
(C)NHK

 スズ子(趣里)は靴磨きの少年・達彦(蒼昴)に会いに行く。達彦にタイ子(藤間爽子)との思い出話をし、達彦からは、タイ子の近況やこれまでのいきさつを聞く。

 なんとかタイ子の力になりたいと考えるスズ子は、おミネ(田中麗奈)にある相談をすることにする…。

 おミネの協力で、いつもより多くの売上を得た達彦だったが、タイ子はお金を返してくるように言う。見かねたスズ子は、タイ子の家の中に乗り込んでいく。

【本日のツボ】

(C)NHK
(C)NHK

昨日の敵は今日の友

 ※※以下、ネタバレあります※※

 スズ子とおミネ、すっかり気が合ったようで、屋台で悩みを相談する仲になっていました。

 おミネがスズ子の楽屋に乗り込んできたのが月曜日、スズ子が誤解を解かなくては、と有楽町のおミネのところに向かったのが火曜日、水曜日にわかりあえてもう仲良し。“昨日の敵は今日の友”とはいうものの、あまりにスピーディな展開についていけません。

 そういえば、火曜日には、梅丸少女歌劇団の後輩・秋山美月(伊原六花)も久しぶりに登場しましたが、あっという間に帰ってしまいました。それならば、ワイポイント出演でもいいので、あの人のいい下宿のおばさんとおじさんも顔を見せて欲しいなあ、と。

 スズ子の活躍、きっとどこかで喜んでくれているものと信じています。

 おミネの一声で、パンパンガールが達彦の顧客になってくれたのはよかったとしても、達彦だけ儲かるのはいかがなものか、と。それを聞きつけて、黒川組の人がみかじめ料をとりにくるかもしれませんから。

 パンパンガールのお姉さま方に可愛がられ、嬉しそうな達彦の笑顔。スズ子に母と仲良しだった子ども時代の話を聞かされた時も、誇らしげでした。

 優しい息子に育っていて、それはタイ子がしっかり愛情をもって育ててきた証でしょう。

雪解けは間もなく

(C)NHK
(C)NHK

 自分のことを突き放すタイ子に対して、我慢ならず、ついには家の中に入ったスズ子。

 子どもの頃の思い出話を語りますが、たった一人の身内である母が亡くなり、夫も戦死し、ひとり息子を育てるために頑張り、体を壊してしまったタイ子にとって、夢を叶えたスズ子は眩し過ぎる存在で、余計自分がみじめになるということでしょうか。

 友だちの活躍を素直に喜べないほどに苦労してきたタイ子を抱きしめるスズ子。雪解けは間もなくです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ
東京大空襲、愛し合うスズ子と愛助の運命は…金曜放送回を前におさらい
 トミ(小雪)の許しが出て、山下(近藤芳正)が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。  スズ子(趣里)...
桧山珠美 2023-12-27 17:40 エンタメ