ウソや暴力ではない夫の異常な態度…志穂さんのケース#2

神田つばき 作家・コラムニスト
更新日:2020-01-11 07:02
投稿日:2019-08-02 06:00
 シンデレラストーリーそのものの新婚家庭で露見した、夫・勇太さんの不倫。普通、不倫が発覚した夫はとっさにどんな行動を取るでしょうか? 嘘や言いわけで誤魔化したり、開き直って逆ギレしたり、オドオドして妻の顔色を伺ったりするのではないでしょうか? しかし、志穂さんの夫はそのどれでもなかったのです。女からのLINE通知を目の当たりにした志穂さんに、彼は平気で話しかけてきました。

罪悪感ゼロの夫の態度に言葉を失い呆然とするしかなかった

ショックの妻を置いて寝てしまった夫

「どうしたんだよ?」

「勇太さん……それ、何……?」

「何なんだろな? こいつ、バカなんだよ」

 
 こいつって誰……? どういう関係……? 不倫相手だとしても、どうして平然と“バカ”なんて言えるの……? 普通は妻に対して言いわけとかするんじゃない……?

 女性からのわいせつなLINE通知を妻が読んでしまったというのに、勇太さんの態度はまるで他人事です。

 質問したいことがたくさんあるのに、しれっとした態度に驚いて、言葉が出てきません。勇太さんは顔色一つ変えず、何事もなかったようにシャワーを浴び、いつものようにビールを飲んで「おやすみ!」と寝てしまいました。

「口の中に鉛を流しこまれたような気がしました。何か言わなくちゃ、と思うのに言葉が組み立てられないんです」

 翌朝以降も、あまりにも夫が平然としているので、女からのLINE通知は自分の妄想だったのではないか、とさえ思いました。

不倫の証拠はあるのに問いただせない!

 もちろん妄想でも幻覚でもありません。悩む志穂さんの心に気づいているのかいないのか、その後も勇太さんは平気で志穂さんの目の前にスマホを置きっぱなしにしました。

「見てはいけない、と思うのに通知音が鳴ると見てしまいます。すると、甘ったるくて卑猥な言葉が……。勇太さんに問いただそうと思うと、声が出ないのです。自分のほうが悪いことをしているみたいに、夫と目を合わせて話すことができなくなっていきました」

 悩んだ志穂さんは、結婚式にも来てくれたライター仲間の友人に話しました。

「そんなことする人には見えなかったのに、ひどいね! 絶対DV予備軍だと思うから、慰謝料もらって、早く別れた方がいいと思うよ?」

友人にさえ理解してもらえない絶望感

 心配してくれるのはうれしいけれど、勇太さんが暴れるとか手を出すとか、そういうことはあり得ない、問題はそういうことじゃないのに……と志穂さんは思いました。

「不倫がバレているのに、他人事みたいに無感情な夫といることが苦痛だったんです。でも、それを友人にわかってもらうのは無理でした。誰だって、そんな人を見たことないと思いますから……」

 当の勇太さんは朝帰りの回数が増えていきました。この人と結婚したのは間違いだった、と志穂さんは思うようになります。夫と話し合わなければと思いながら、取りつく島もないまま時間が過ぎていきました。

神田つばき
記事一覧
作家・コラムニスト
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”、女性に生まれたことの愉しみを探そうと緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、女性の悩みや疑問を解き明かすコラム「性に纏わるあれこれ」
イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などの企画も。X

関連キーワード

ラブ 新着一覧


「ラブ トランジット」に夢中! 元彼とヨリ戻せる人・失敗する人の違い
 元彼とヨリを戻したい……! なかなか出会いがない毎日を送っていると、ふっとそんな願いを抱いてしまう時もあります。けれど...
内藤みか 2023-08-03 16:04 ラブ
「あなして」よりリアルかもしれません…“レス夫婦”間の切実LINE3選
 仕事や家事、育児に忙しい現代人にとって、夫婦のセックスレスは大きな問題になっているようです。特に妻的にはしたいけど、夫...
恋バナ調査隊 2023-06-22 06:00 ラブ
パートナーと喧嘩しない方法は?言葉の受け取り方が原因かも
 仲が良いカップルでも喧嘩が多いとストレスが溜まりますよね。 ちゃんと意見を言い合えている証拠だし、喧嘩するほど仲が良い...
若林杏樹 2023-06-21 06:00 ラブ
年イチ女子会、夫の「娘が発熱→なるはや帰宅」にイラっとした私の言い分
 私には年に一回、楽しみにしているイベントがあります。  子供を夫に預けて、女友達3人とホテルステイする日です。 ...
豆木メイ 2023-06-20 06:00 ラブ
【6月後半にベストな香りは?】オスとココロに効くフェロモンジャッジ!
 素敵な女性はいい香りがする――。  そう感じるのは、肌から放たれるフェロモンの効果。フェロモンが高まると色気だけ...
太田奈月 2023-06-20 06:00 ラブ
実は伸びしろあり? マジでセンスが悪い彼氏を自分好みに変える方法
「それ、本気でセンスいいと思ってる?」と、言いたくなる気持ちはわかります。しかし、センスが悪い彼氏には自分のどこがセンス...
恋バナ調査隊 2023-06-20 06:00 ラブ
「離婚しなければ良かった」とならないために…“三行半計画”に必要なこと
 離婚大国といわれる日本では、3組に1組が離婚しているなんて説もあるくらい、多くの夫婦が別々の道を歩んでいます。でも離婚...
恋バナ調査隊 2023-06-19 06:00 ラブ
「え、あなた誰!?」顔にタテ線入った“彼のキャラ変”にドン引きした話
 好きな人と恋人同士になれたら、超ハッピー! 付き合えた安心感から徐々に素を出したり気を使わなくなったりして、交際前と異...
恋バナ調査隊 2023-06-19 06:00 ラブ
ドタキャンLINEくらった時こそ勝負!40代好感度爆上がりの神返信3選
 40代を超えると、なかなか男性とデートにこぎつけるのも難しくなってきますよね。さらにドタキャンでもされようものなら「ど...
恋バナ調査隊 2023-06-18 06:00 ラブ
年下男子への上手な接し方♡ 恋愛対象外にさせない年上のメリットとは?
 年下男子を好きになったときは、接し方に注意すべき。なぜなら、彼よりも年上であることが魅力にも難点にもなるからです。 ...
恋バナ調査隊 2023-06-18 06:00 ラブ
「義親とも家族になる自覚はあるのかな」50代男が抱く婚約者への疑心
「冷酷と激情のあいだvol.147〜女性編〜」では、交際1年で婚約をしたジュンイチさん(53歳・仮名)に対して、マザコン...
並木まき 2023-06-17 06:00 ラブ
「私は介護要員なの?」53歳バツ無し婚約者のマザコン疑惑、動揺する女
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2023-06-17 06:00 ラブ
“あざと可愛い”はLINEならお手軽? 小悪魔系モテ女のおねだりテク3選
 男性におねだりをするのが苦手な女性は多いですよね! 何かをねだると「ワガママだな」と思われそうで遠慮してしまうようです...
恋バナ調査隊 2023-06-17 06:00 ラブ
社内不倫を目撃!とばっちりを受けないための正しい対処法
 社内不倫を目撃したとき、会社に報告すべきか悩む人もいるでしょう。その一方で、社内不倫は蜜の味(?)などと同僚や友人に話...
恋バナ調査隊 2023-06-17 06:00 ラブ
彼氏の転勤が決まった! …で「別れる人」と「結婚する人」の違いは?
 彼氏が転勤となって離ればなれになった場合、遠距離恋愛のつらさに耐えられず、別れを選択するカップルは少なくありません。そ...
恋バナ調査隊 2023-06-16 06:00 ラブ
セックスレスになったのは貴女のせいじゃない 男の元気が出ないワケは?
 新型コロナウイルスが5類になり、元の生活が戻ってきたかのように感じられるこの頃ですが、まだまだ本調子ではないことがあり...
内藤みか 2023-06-15 06:00 ラブ