よねと轟の新「相棒」爆誕!男と女“くっつく思考”に冷や水を浴びせた

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-06-10 16:20
投稿日:2024-06-10 15:30

NHK朝ドラ「虎に翼」~第11週「女子と小人は養い難し?」#51

 花岡(岩田剛典)が違法である闇市の食べものを一切拒否して栄養失調で亡くなったと聞き、衝撃を受ける寅子(伊藤沙莉)。花岡の死は法曹界のみならず、世間にも大きな衝撃を与える。

 気落ちする寅子に桂場(松山ケンイチ)は「我々にできることは泣くことではない」と声をかける。同じ頃、戦地から戻ったばかりの轟(戸塚純貴)も絶望していた。轟は再会したよね(土居志央梨)に苦しい胸の内を打ち明ける。

【本日のツボ】

新「相棒」爆誕! 轟とよねの握手に涙…

 ※※以下、ネタバレあります※※

 新聞で花岡の死を知った轟、失望と深い悲しみを紛らわすため、酒を煽り、道端に酔いつぶれて寝てしまいます。そこに現れたのがよねでした。轟を足で蹴って起こす、というのがいかにもよねらしいです。

 整髪料が手に入らないのか、サラサラヘアのよね、少し雰囲気も和らいだように見えます。

 花岡の死は残念ですが、轟とよねの生存が確認できて安心しました。以前、寅子がカフェー燭台を訪ねた時、ご近所の方に「空襲で亡くなった」と言われていましたが、それはマスター(平山祐介)のことだったんですね。逃げる際、マスターが大切に持って出たレコードがなんだったのか、気になります。

 見たところ、店内はさほどダメージもなかったようで、ヘタに外に出ない方が良かったのでは…などという重箱の隅をつつくようなことをいうのはヤボというものです。

 カフェー燭台を根城に、法律相談の真似事をして食いつないでいるよね、壁には、寅子も心を震わせた《すべて国民は法の下に平等であって人種、信条、性別、社会的身分または門地により政治的、経済的、又は社会的関係において差別されない。》、あの新憲法の一文が大きく書かれています。

「ずっとこれが欲しかったんだ、私たちは」と話すよねに、「欲しかったというわりに嬉しくなさそうだな」と轟。「これは自分たちの手で手に入れたかったものだ。戦争なんかのおかげじゃなく」とよね。

 そして、今度は「残念だったな、花岡」とよねが轟に声をかけます。「惚れてたんだろ、花岡に」。その言葉に最初は「なにをバカな」と否定する轟ですが、よねに自分でもわからない花岡に対するほんとうの気持ちを語り、泣き崩れます。

男と女がいればくっつかないといけないのか?

 そして、いつもの公園のベンチ。轟に「腹が立つが私はまだ何者でもない。今の私じゃ、いくら助けを求められてもできることに限りがある。だから、一緒にやらないか、弁護士事務所」。そう言って、轟に握手を求めるよね、凛々しいです。

 鳩が豆鉄砲を喰らった顔の轟に、「どうせ、やることもないなら、人助けしろよ。弁護士資格の持ち腐れになるくらいなら」と悪態をつく感じもよねらしいです。

 その手をとって握手する轟が「誘い方が回りくどいぞ」と言えば、よねが「黙れ」と。昔の2人が戻ってきたようなやりとりに、涙が出そうになります。「さっさと帰るぞ。私は忙しいんだ」「その口のきき方、なんとかならないのか」。そう言ってはけていきました。

 一部で、轟とよねにくっついて欲しいという声が上がっていましたが、花岡と轟の関係性に「チェリまほ」、そして、よねと轟の関係性に「恋せぬふたり」のアロマンティック・アセクシュアルを彷彿させたのはお見事です。

 男と女がいればくっつくという恋愛脳に冷や水を浴びせるようなよねと轟の関係に好感がもてます。新「相棒」爆誕。いいコンビになりそうです。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


『ラヴィット!』に疑問の声。違和感たっぷりでもギャル曽根の「超ギャルル」を推すワケ
「日本でいちばん明るい朝番組」をコンセプトに、平日の朝に笑いと情報を届けている人気番組『ラヴィット!』(TBS系)。 ...
寅子版「自分会議」はユニークな演出だった! “ラスボス”百合さんに俄然注目
 結婚したら、自分か航一(岡田将生)のどちらかの名字が必ず変わることに、改めて気付いた寅子(伊藤沙莉)。  自分が...
桧山珠美 2024-08-20 15:30 エンタメ
【写真特集】ゆきぽよ、涙の水着謝罪&体重5キロ増の等身大パネル
【この写真の本文に戻る⇒】 ゆうちゃみの「オジサン転がし」を嫌悪するな。藤田ニコルも辿った一流ギャルタレントへの道
ゆうちゃみの「オジサン転がし」を嫌悪するな。藤田ニコルも辿った一流ギャルタレントへの道
 今をときめくギャルタレントである古川優奈こと「ゆうちゃみ」。『Popteen』モデルを経て『egg』の専属モデルを長年...
堺屋大地 2024-08-19 06:00 エンタメ
【写真特集】♥田辺誠一と大塚寧々の結婚発表会見♥(2005年撮影)
  【この写真の本文に戻る⇒】セレブとはなんぞや? 日本版「スカイキャッスル」の楽しみ方と“伸びしろだらけ”俳優
セレブとはなんぞや? 日本版「スカイキャッスル」の楽しみ方と“伸びしろだらけ”俳優
 本家韓国版「SKYキャッスル」に比べてチープ過ぎる、と酷評されている「スカイキャッスル」(テレビ朝日系)ですが、私は毎...
蠢く2組の恋模様。“台所公開プロポーズ”で攻める航一、漢・轟太一は堂々のカミングアウト
 直明(三山凌輝)と花江(森田望智)はそれぞれの同居に対する思いを語る。猪爪家を離れるのが寂しいと言う直明に対し、花江は...
桧山珠美 2024-08-17 06:00 エンタメ
論破王ひろゆき氏ばりに反論!直明の婚約者、放送終了間際でも爪痕を残す
 結婚しても同居を続けたいと主張する直明(三山凌輝)と、同居に反対する花江(森田望智)の対立は続いていた。どちらの気持ち...
桧山珠美 2024-08-15 16:20 エンタメ
再び東京編で“嫁姑”。花江はサザエさん、寅子はこんもりマダムヘアーに
 寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)は、互いの思いを確かめ合う。  そして昭和30年、東京に戻ることになった寅子は...
桧山珠美 2024-08-12 17:00 エンタメ
【写真特集】ぎらついていた時代のKAT-TUNメンバーたち
  【この写真の本文に戻る⇒】中丸雄一はいつまで地下に潜む? “アパ丸君のざわめく時間”を描く日は来るのか
中丸雄一はいつまで地下に潜む? “アパ丸君のざわめく時間”を描く日は来るのか
 いやあ、驚きました。人は見かけに寄らないというか。KUT-TUNの中丸雄一(40)のことです。  女子大生とのア...
朝ドラ史上に残るラブシーン。インテリはこれだからー!視聴者をやきもきさせた深夜の本庁トーク
 優未(竹澤咲子)から、思わぬところに優三(仲野太賀)の手紙が入っていたことを教えられた寅子(伊藤沙莉)。寅子のことばか...
桧山珠美 2024-08-10 08:58 エンタメ
寅子と航一どうなる? 花江訪問、涼子忠告、優三ラブレターの“一押し”3連チャン
 予想していなかった人物の突然の訪問に、喜びを爆発させる寅子(伊藤沙莉)。優未(竹澤咲子)と稲(田中真弓)も加わり、4人...
桧山珠美 2024-08-08 17:00 エンタメ
フワちゃん炎上で再評価? 竹内涼真ら「誤爆」で好感度が上がった芸能人
 タレントのフワちゃん(30)がお笑い芸人のやす子(25)に向けて放った暴言が大きな騒動を巻き起こしている。8月4日、X...
【写真特集】懐かしい!16年前の渡辺梓さん
  【この写真の本文に戻る⇒】「じゅん散歩」のロケに突然、朝ドラ女優が登場! しかも黒髪から“ファンキーヘア”になって...
「じゅん散歩」のロケに突然、朝ドラ女優が登場! しかも黒髪から“ファンキーヘア”になっていた
 リモートワークの日は、羽鳥さんのモーニングショーからそのまま「じゅん散歩」(月〜金曜9時55分、テレビ朝日系)を見るの...