寅子とりつ子、仕事愛語る。朝ドラファン忘れられない“名場面”に

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-06-28 15:30
投稿日:2024-06-28 15:30

NHK朝ドラ「虎に翼」~第13週「女房は掃きだめから拾え?」#65

「愛のコンサート」に出演する歌手が決まり、ひと安心の寅子(伊藤沙莉)。花江(森田望智)は梅子(平岩紙)にある秘密を告白する。

 梅子の言葉から、これまで一人で頑張り過ぎていたと考えた花江は直明(三山凌輝)や子供たちに手抜きをさせてほしいと提案する。

【「虎に翼」おさらい】⇒『虎に翼』脚本家、アニメ界でなぜ高評価?

【本日のツボ】

寅子とりつ子 花江と直道

 ※※以下、ネタバレあります※※

「愛のコンサート」、茨田りつ子(菊地凛子)のおかげで無事に終了しました。正直言うと、りつ子の出演は前回のサプライズ登場だけで、コンサートのシーンはなく、ナレーションで済ませてしまうのでは、と少々疑っておりましたが、歌まで聴かせていただき、大満足です。

 曲はこの季節にぴったりの「雨のブルース」。寅子とりつ子の楽屋でのやりとりも自然な感じでした。りつ子の衣装にほつれを見つけた寅子がバッグからお裁縫道具(昔の女子はいつも持ち歩いていました)を出し、ほつれを縫いながら会話する何気ないシーンですが、

「この仕事が好きなんです。正確には法律です。憲法が変わってからより好きになりました。すべての人たちを平等に幸せにできる…。困っている人たちの手助けができる最高の仕事なんです」

 寅子がりつ子に誇らしげに語るところがよかったです。

 さらに後日談として、りつ子がラジオで、寅子のことを話し、「東京在住の困ったご婦人方はぜひ佐田寅子さんをお訪ねになって」とPR。りつ子の優しさが伝わってきました。

 今回のコラボ、まったく違和感なく、物語の世界が繋がり、朝ドラファンにとっては忘れられない名場面となったのではないでしょうか。

「だって好きなんだろ?」

 そして、花江です。息子の直治が「道男と一緒になってもいいよ」と唐突に言い出します。

「だって好きなんだろ?」「だって道男が来ると嬉しそうじゃないか?」と。

 花江が嬉しそうにしていたのには理由がありました。「それはね、道男くんが来ると出てくるのよ、夢に…、直道さんが。嫉妬しているのかもね」と。

 直治の大いなる勘違いは父親譲りとして、花江と道男の年の差カップル成立はなさそうです。

 これで直道もひと安心でしょう。夢の中で直道に会えた花江の寝顔が微笑んでいて、幸せそうでした。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


スズ子ご懐妊! 山下&坂口“おじさん応援隊”のワナワナ顔が必見すぎる
 病状が落ち着いた愛助(水上恒司)とスズ子(趣里)は、2人きりで湖畔に旅行に出かける。  そこで将来の家族のこと、...
桧山珠美 2024-01-25 15:50 エンタメ
口をプーっ! 草彅剛演じる羽鳥の駄々っ子な表情に注目して
 トミ(小雪)から伝言があると、社長秘書室長の矢崎(三浦誠己)が、スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)のもとにやってくる。 ...
桧山珠美 2024-01-22 15:35 エンタメ
宮沢氷魚の文面にデキ婚とは言わせない圧…イケメン続々“獲られる”幕開け
「まさかやー」と思わず声をあげてしまいました。そうです。宮沢氷魚(29)と黒島結菜(26)の事実婚発表です。 「か...
元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ