「べらぼう」初回、セクシー女優3人が裸死体姿に…AV業界人どう見た?「裸に意味を語らせる照明が必要」

コクハク編集部
更新日:2025-01-08 11:05
投稿日:2025-01-08 11:05

攻めたNHK大河「べらぼう」初回

 5日にスタートした横浜流星(28)主演のNHK大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」(NHK総合、日曜20時~)に心をグッとつかまれた視聴者は多かったのではないか。

 放送開始10分すぎ、九郎助稲荷(くろすけいなり)として物語の語りを担当する綾瀬はるか(39)が、いきなりモフモフのしっぽ付きの花魁姿で劇中に登場。スマホの地図アプリを見せながら遊郭街・吉原を案内し始め、しかも綾瀬の影はキツネの形をしていて、制作陣の遊びゴコロを垣間見せた。


現役セクシー女優3人の衝撃的なシーン

 そして、とりわけ衝撃的で攻めた演出だと話題を呼んでいるのが、裸の死体役で出演した現役セクシー女優3人(吉高寧々、藤かんな、与田りん)のシーンだ。

 通算230本以上、AVドラマの台本を手掛けている文筆業の神田つばき氏は、セクシー女優3人の大河ドラマ出演についてこう話す(以下カギカッコ同)。

「私のフォロワーはAV関係者やファンも多いため、放送直後から『おめでとう』ムードで持ち切りでした。投稿の内容を少し深く見ていくと、否定する意見も見受けられましたが、それもまた重要な意見です。

 AV業界は日頃ゾーニングされているので、この仕事で食べている出演者やスタッフの存在は多くの人の目には触れることはありません。

 ですが、全身の裸体を人前に出す仕事をする人がいること、その演者たちにも人権があること、でもお茶の間で女性の全裸を見たくないという人の権利もあること、着物すらはぎ取られて遺棄された死体が存在したことは事実だから描くべきであること…。今回の大河のワンシーンから、さまざまな議論が続いていけばいいですね。

 個人的には『セクシー女優は公共電波に乗るべきでない』と感じる人がいるとしたら、その感覚には『遊女には葬式もなくて当たり前』という江戸時代の差別感覚と通底するものを感じますが、どちらかがどちらかを黙らせるための議論ではなく、いろいろな人の意見があることを知る機会になればいいと考えます」

【こちらもどうぞ】祝・大河主演!横浜流星の魅力は「イケメンなのに演技が巧い」に尽きる

昨年5月『大吉原展』が炎上

 昨年5月、東京芸術大学大学美術館で開催された『大吉原展』が炎上した。売買春で成り立っていた吉原について、華やかな文化をアピールするに終始しているとの批判が開催前から寄せられたのだ。

「この一件を踏まえてかどうかは分かりませんが、『べらぼう』は初回で性売買の陰惨な面を描いたという点で『大吉原展』より一歩深く斬り込んでいました。そして、セクシー女優3名が演じた“腰巻一つまではぎ取られた遺体”が象徴的な貢献をしたのではないでしょうか」

 だが、一方で残念だったとも振り返る。インティマシーコーディネーターを用意しての撮影は評価できるものの、裸を出す、全裸を撮るということにこだわりすぎて、大切な「意味」が充分に描ききれていなかったのではないかと疑問を呈する。

裸のドラマを撮るには裸に意味を語らせる照明が必要

「テレビ用の照明をドドーンと上から当てた裸体の群れをどのように見たらいいのか、戸惑ったのも事実です。たとえば最初に一人の動かない手先から撮っていくとか、月明かりや夕暮れなどの照明を作って陰影を施すとか、からからと落ち葉が舞ってきて死体を吹き過ぎていくとか、なんらかの演出がないと、このシーンで描かれる本来の意味が薄れてしまいます。

 裸のドラマを撮るには、裸に意味を語らせる照明が必要です。このシーンに満ちていたはずの哀しみ、遊女たちの無念、女衒どもの非道、そういったものが、残念ながら映像で語られておらず、もう少し丁寧な撮り方をしていたら、批判も少なかったのではないかな、と悔やまれます」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


りつ子スパークのラインダンス必見!ワクワクズキズキと笑顔が溢れる回
 羽鳥善一(草彅剛)作曲二千曲記念ビッグパーティーの日が近づいてくる。羽鳥はスズ子(趣里)たちに、パーティーで余興をして...
桧山珠美 2024-03-11 15:30 エンタメ
“ユーミンドラマ”で見せたクソ女の夏帆、そして金子大地と中島歩に注目!
この投稿をInstagramで見る 【公式】「ユーミンストーリーズ」オムニバス夜ド...
真木よう子“まっけんセクハラ発言”はわざと?昭和の価値観をエンタメ化説
 ドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(2007年/フジテレビ系)や『最高の離婚』(2013年/同)などでの演技が好...
堺屋大地 2024-03-09 06:00 エンタメ
第111回ブギウギの“三大なぁぜなぁぜ”…畑仕事する農家の手じゃない!
 梅吉(柳葉敏郎)が亡くなった。葬儀では松吉(木内義一)が号泣しながら、遺影の自慢をする。  そんな中、スズ子(趣...
桧山珠美 2024-03-08 15:50 エンタメ
死の間際までユーモア忘れず、父娘で歌った「父ちゃんブギ」
 久しぶりに香川に戻ったスズ子(趣里)は、梅吉(柳葉敏郎)が写真館を切り盛りし、繁盛していた話を聞く。梅吉が大切にしてい...
桧山珠美 2024-03-07 15:40 エンタメ
NHKさん、経費削減のあおりですか?スズ子の米公演シーンは写真だけ
 アメリカ行きを決めたスズ子(趣里)だったが、愛子(小野美音)は置いていかれることにすねてしまう。  旅立ちの直前...
桧山珠美 2024-03-05 15:35 エンタメ
“電撃婚”大谷翔平の心を射止めた妻はプロ中のプロ彼女。目標はダル夫婦?
 2月29日16時42分のことでした。NHKで衆院政治倫理審査会(政倫審)の中継を見ていたら、<大リーグ・大谷翔平選手 ...
【台湾ルポ】台湾人の祈り方「拜拜」が酔狂的でエキセントリックすぎる!
 日本からのアクセスも良く、週末や連休を利用して旅行が楽しめる海外として人気の「台湾」。台湾グルメを満喫したり、観光スポ...
2024-03-07 18:24 エンタメ
「買い物ブギ」圧巻のステージ!“キングカズ長男”覚醒、スズ子の虜に
 ワンマンショーに向けて稽古や衣装合わせが続く中、スズ子(趣里)は新しいマネージャーのタケシ(三浦獠太)の様子を見て不安...
桧山珠美 2024-03-01 14:30 エンタメ
タナケン「業界」発言に違和感 喜劇界でも演劇界でもないワードチョイス
 タナケン(生瀬勝久)が入院したと聞き、山下(近藤芳正)とスズ子(趣里)は、タナケンの見舞いに行くことにする。  ...
桧山珠美 2024-02-27 15:05 エンタメ
NHKさん、スーパー家政婦・大野さんのレシピ本出版のご予定は?
 大野(木野花)が家政婦としてスズ子(趣里)の家に来て半年、愛子(小野美音)はニンジンを食べられずにスズ子を困らせていた...
桧山珠美 2024-02-26 16:00 エンタメ
芦田愛菜が少し嫌いになりそう…「さよならマエストロ」本筋以外が楽しみ
 イケメンの息子はやっぱりイケメンです。TBS日曜劇場「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」を見ながら、確信...
恐るべし、大野さん! おてんば愛子を“瞬殺教育”、白い割烹着は信頼の証
 茨田りつ子(菊地凛子)の紹介で、大野晶子(木野花)がスズ子(趣里)の家政婦として働くことになる。  この日のスズ...
桧山珠美 2024-02-24 13:55 エンタメ
錦戸亮“主演抹消過去”もバネに復活!山ピー、平野ら民放地上波で続々躍動
 2月23日、「不適切にもほどがある!」(TBS系、以下「ふてほど」)に錦戸亮(39)がゲストで登場し、大反響を巻き起こ...
こじらぶ 2024-02-24 16:04 エンタメ
痛快すぎるりつ子のひと言、“眼鏡会計ババア”でざわつかせた女優登場!
 スズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)に新曲にはブギの歌を書いてほしいとお願いする。  はじめは、ブギが続けば面白...
桧山珠美 2024-02-22 15:05 エンタメ
デカッ!急成長を遂げた2歳の愛子にびっくり、愛助さん似?
「東京ブギウギ」に続き、「ジャングル・ブギー」もヒットさせたスズ子(趣里)は、仕事に育児に大忙しの日々を送っている。 ...
桧山珠美 2024-02-19 17:00 エンタメ