介護施設の選び方…入所前に“本性”を暴くチェックポイント

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-08-21 06:00
投稿日:2019-08-21 06:00
 近ごろ、ニュースで目にするたびに高齢者への虐待に心を痛めています。筆者は、これまで6つほどの介護施設で働きましたが、その施設によって、介護の方法や接し方には特色があったのを覚えています。
 介護が必要な人の家族の立場になった時、どこの介護施設がいいか分からない……と迷う人もきっと多いはずです。そこで、今回は介護士ならではの視点で「介護施設の選び方」をご紹介しましょう。

ここをチェック! 素敵な介護施設の選び方

 介護が必要な方が毎日を過ごすことになる介護施設。だからこそ、多くの介護施設では施設見学を導入しています。しかし、施設見学も見るところが分からなければ、営業トークやコンセプトを聞くだけで終わってしまいます。施設見学こそ、その施設の特色がわかる絶好の機会です。

 介護士をしていた筆者が、介護施設の選び方で「ここはチェックしておくべき」と考える、とっておきの介護施設の選び方をご紹介しましょう。

費用が発生する可能性があるものを聞く

 介護施設によって費用が発生する場所が違います。シーツを取り替えるたびに課金される形態もあれば、月の基本料金に含まれており交換は費用が発生しない施設もあります。車椅子はレンタルをしてもらえるのか、それとも購入必須なのか、というようなところも聞いておかないといけません。

 基本的に容体が悪くなることも視野に入れて、この先のことを考えなくてはいけません。これは、家族にとって辛いかもしれませんが、のちに「入る時は安く済んだのに、最近はお金がかかって」という理由で介護施設を変更する家族は多いものです。

 この先にかかりそうな費用は、あらかじめ見積もりをとってもらいましょう。

介護施設の中で異臭がしないか

 介護施設に見学に行くご家族の中には、「異臭がするのを当然」と思っているご家族も見受けますが、それは違います。脱臭システムに多大な予算をかけている施設もあるくらいですし、そもそも汚物の処理をきちんとしているのであれば、それほど異臭はしません。

 排泄処理の方法についても「できるだけトイレを促す」というスタンスであれば、オムツの人はそれほど多くなく、介護職員も小まめに排泄介助に行けるはずです。介護施設の中で異臭がする場合、まずはその原因を聞いてみること。また、排泄介助や汚物処理のシステムについても、介護施設の職員に尋ねておくべきでしょう。

職員が見渡せるフロア構造になっているか

 フロアは職員が見渡せるような構造になっているのが一般的です。介護施設は病院と違い、拘束ができないからです。脚力が弱く、よろけて歩いているような人もいる中で、見守りに適していない構造の場合は、入所を決めるのは控えたほうが無難です。

 転倒してしまうと、そのまま歩けなくなってしまう恐れもあるのが高齢者。できるだけ、バリアフリーが整っており、職員の目が届くような環境が必要です。「おしゃれでホテルのようだから」といった理由だけで介護施設を選ぶのはやめましょう。

職員の所作や振る舞いを見ること

 介護施設に見学に行くだけで、多くのことを知ることができます。特にスタッフの顔色や、仕事に対する姿勢を見るに越したことはありません。

 まだまだ介護現場のほとんどの介助は人の手で担っています。職員の挨拶がハツラツとしているか、目を合わせて入居者と会話できているかも大事なポイントになります。職員と会話をしている時の入居者の表情もしっかり見ておきましょう。

 ただ、介護施設に勤めるスタッフは、基本的に家政婦ではありません。「自分で出来なくなったことを手伝う」のが介護です。筆者もある時、「車椅子に乗って一生懸命に足で漕いでいる人がいるのに、なぜ車椅子を押してあげないのか」と、ご家族に問われたことがあります。答えは簡単で「車椅子に座って、足で漕ぐことをしてもらわないと足の筋力が落ちてしまう」のがその理由です。

 その人にとっては、それが唯一の運動のようなもの。「いつまでも元気にいてほしい」という思いから、生活リハビリとして施設で取り入れているものでした。少しでも疑問に感じたら、このご家族のように直接、介護職員に質問をしてみるのもいいでしょう。その職員がどう答えるかで、介護施設の方針が理解できます。

介護施設の選び方は“細かい点ほどよく見て”

 介護施設を選び始めた段階では、ご家族自身、介護についての知識に乏しいことがよくあります。認知症と診断され、慌てて入所を検討するご家族も多いからです。そのため、介護施設見学で押さえておくべきポイントを見落としてしまいがちなのです。

 介護施設の選び方は、誰も説明してくれないような細かいポイントまで見ておくことが重要になります。ぜひ参考にしてみてくださいね。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


騙された!一見“仕事デキる風”…でも実は? 有能ぶったLINEにご用心。“能ある鷹”の逆パターンも
 世間では仕事ができない風に見えるLINEを送ってくるのに、実は超有能な人材だった話もよくあります。その一方で、本当は無...
【漢字探し】「鰯(イワシ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
母が急病、社長の「帰りなさい」に涙…一生ついて行くと決めたLINE3選。元カレの言葉にホッ
「この人だけはどんな自分も受け入れてくれる」「この人だけは失いたくない」など、絶対的な信頼や必要性を感じる人に出会えると...
【マジかよ】ごま油×ミルクコーヒーに反響。老舗メーカーの“推しレシピ”にネット困惑「ヤバそう」「勇気でない」
「金印純正ごま油」などで知られる老舗メーカー「かどや製油」。企業公式X(旧Twitter)が2025年10月1日に投稿し...
「夜職だって立派な仕事」それ、本気で言ってる? 水商売への “本心”に気付いてしまったスナック嬢の独白
 最近は本当に“キラキラ夜職”が表に出る時代になりましたね。が、私は本当に危ないと思っています。 「そんなことない...
私が『愛の、がっこう。』に重ねた親との苦しい関係。振り返ってわかる“完璧じゃない”からこそ得られたもの
 フジテレビ系で放送されたドラマ『愛の、がっこう。』を観ながら、ふと「わたしの親も、今で言えば“毒親”だったのかもしれな...
スター猫になれるかな? 夢見るハチワレ“にゃんたま”の練習風景をチラリ☆
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
浮気を警戒したら逆ギレ!?  私が「絶対に謝りたくない」と思った瞬間7選。何でこっちが悪者なの?
「仕方なく謝ったけど…これ私、悪くないよね?」誰しもそんな気持ちになったことがあるのではないでしょうか。  今回は...
30代はご褒美ボディケア、中年女は塗り薬まみれ。色気から進化した風呂上りの「おばケア」事情
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
定時で帰っていいよ→役立たずってことですか!? 職場で出会った「めんどくさい女」図鑑。扱いに困るよ~
 あなたの周りに“めんどくさい女”はいませんか? 今回は体験談を交えながら、接し方に困る女性の7つのケースをご紹介します...
女性の“性”は「下ネタ」なのか? タブー視する社会に言いたい、語り合うことで生まれる安心感
 性の話題は「恥ずかしい」「隠すもの」とされがちですが、思い切って触れてみると、不思議と距離が縮まります。普段は口にしづ...
45歳、いつになれば楽になる? 自由に生きてるはずの私が、定食屋の秋刀魚で涙を滲ませた理由
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きな...
月経不調はストレスで悪化する? “脳疲労”と生理痛を軽くするセルフケア【専門医監修】
「生理痛はいつものこと、仕方ない」「PMSは気のせい」--などとガマンしてそのままにしていたり、鎮痛薬でやり過ごしたりし...
“推し”は最初から決まっていた…元芸能人が明かす「オーディション番組」の過酷な裏側と選ばれる子の共通点
 世間を揺るがす芸能界のさまざまな噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。現在は清浄化が行われて...
「お尻トントン、もっと~!」可愛すぎる“にゃんたま”の甘えに抗えない♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「寝てるカナ!」「ぁりがとぅ」それ、なんとかならん? Z世代が震えた“大人のクセ強”LINE6選
 流行り言葉は目まぐるしく移り変わりますが、やっぱり受け入れられない言葉はあるもの。今回は、どうしてもモヤモヤしてしまう...