「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-04-21 14:23
投稿日:2025-04-21 13:00

第4週「なにをして生きるのか」#16

 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じく嵩(北村匠海)も、通知簿を見た千代子(戸田菜穂)にたしなめられる。

 しかし、羽多子(江口のりこ)からのぶに勉強を教えてほしいと頼み込まれた嵩は、断り切れず引き受けてしまう。夜、苦手な数学に悪戦苦闘する嵩が廊下に出ていくと、寛(竹野内豊)の書斎から話し声が聞こえてきて……。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった

【本日のツボ】

俳優ソニン、EE JUMPの気配を消した佇まいが見事

 ※※以下、ネタバレあります※※

 学校の先生になるという夢を見つけたのぶ。ですが、成績のほうはもひとつのようで。成績表を手渡される際、「女子師範学校を目指すとはえい心がけです。心がけは……素晴らしい」と言われていました。

 この丸眼鏡の担任教師・山下実美を演じているのはソニンです。その昔、EE JUMPとしてゴマキの弟とデビュー、「おっととっと夏だぜ!」というスマッシュヒットもありましたが、ゴマキ弟の不祥事などでソロに。シングル「カレーライスの女」での裸にエプロンのプロモーションビデオが話題になりました。

 その後は、舞台やミュージカルに活動の場を移し、「ミス・サイゴン」のキム、「モーツアルト!」のコンスタンツェ、「キンキーブーツ」のローレンなどなど、大役をこなしています。そんなソニンがなぜ朝ドラに? と思ったのですが、高知県出身ということで、ご当地枠でした。今のところ、出番は少ないですが、ミュージカルで培った俳優経験を活かし、ソニンの気配も消し、女教師になりきっているところはお見事です。

つい目がいってしまう、蘭子(河合優実)の繊細な演技

 お見事といえば、のぶの妹・蘭子役の河合優実です。昨年の「不適切にもほどがある!」で一気にブレイクした感はありますが、その一方で何本もの映画に主演し、数々の映画賞を総ナメ状態、CMも一気に増え、まさに今が“旬”。

 そんな河合優実をヒロインの妹にするとは、なんと贅沢なことでしょう。先週から本格的に登場したのですが、ちょっとした仕草や目線で、心の内を表現するその巧さに驚くばかりです。“はちきん”の姉とは対照的に、しっとりと大人びたところマルです。郵便局勤めということですが、そのまま小料理屋のカウンターに立たせたいほどの色気を感じます。

 どうやら、職人の豪(細田佳央太)のことが好きだというのは、見ている誰もがわかります。一言もそんなことは言っていないのに、豪とのやりとりや、目線、仕草で、それを視聴者にわからせてしまっているところが凄い。


 そして、本日。釜じい(吉田鋼太郎)が、のぶに「女子師範学校ら行かんでも、いざとなったら婿さんとって、石屋を継げばえい」といい、「豪、どうなん、のぶと石屋やらんか?」と豪にきいた時のことです。大笑いするのぶに対して、戸惑いやら焦りやらそんなものを目だけで表現していました。

 そして、「豪ちゃん、墓石みたいに固まってしもうたやんか」と少し怒ったように言うところまでもう最高でした。そんな蘭子をみつめる母・羽多子の視線も含めて、素晴らしいものでした。

 のぶと嵩がどんなふうに友情から恋ごころを育てていくのか気になるところですが、蘭子の恋が実るのか、そちらも俄然、気になってきました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」八木(妻夫木聡)のプロポーズにキュン! 蘭子(河合優実)のモデルがあの作家なら…無事を祈る
 2年がかりで完成したテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が放送され、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)をはじめ、それぞ...
桧山珠美 2025-09-27 12:28 エンタメ
スキャンダル無縁!鈴木亮平が初期に演じた「クセ強キャラ」 4選。もっと評価されるべき“異彩を放った”役も
 現在公開中の『劇場版 TOKYO MER ~走る緊急救命室~ 南海ミッション』ではチーフドクターの喜多見幸太役を演じて...
zash 2025-09-25 11:45 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンマーチの歌詞に込めた思い。千尋(中沢元紀)や寛先生(竹野内豊)の写真にホロリ…
 ある日、アンパンマンをテレビアニメ化したいとテレビプロデューサーの武山(前原滉)が訪ねてくる。だが嵩(北村匠海)は、ア...
桧山珠美 2025-09-25 15:44 エンタメ
【芸能クイズ】「畑芽育」を正しく読める? 他にもいる、実は“常用漢字外”の読み方をする芸能人は誰?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」石橋蓮司の“なりきりアンパンマン”が見れるとは! 登美子(松嶋菜々子)は毒親返上か
 のぶ(今田美桜)が撮ったミュージカルの写真を見ていた嵩(北村匠海)は、こっそり来ていた登美子(松嶋菜々子)が写った写真...
桧山珠美 2025-09-22 16:22 エンタメ
「あんぱん」嵩とヤムさんの再会にグッときた。でも顔をよく見たら…気になった“余計な”こと
 客席はたくさんの子どもたちで埋まり、その様子をカメラに収めるのぶ(今田美桜)。ミュージカルが終了すると、会場は大きな拍...
桧山珠美 2025-09-20 11:47 エンタメ
「あんぱん」のぶの“お手柄”総決算の回。ヤムさん(阿部サダヲ)と蘭子(河合優実)の繋がりは“前世”からの縁なのか?
 のぶ(今田美桜)は草吉(阿部サダヲ)にあんぱんを焼いてほしいと頭を下げるが、断られてしまう。蘭子(河合優実)からこのま...
桧山珠美 2025-09-18 17:16 エンタメ
加藤清史郎の“奇跡の成長”を「放送局占拠」で見た。寺田心ら子役出身者がイケメンになっている件
 加藤清史郎くんのイケメンぶりには目を見張るものがあります。現在、櫻井翔主演「放送局占拠」(日本テレビ)に出演しています...
『あんぱん』担当編集者の“セリフ”にモヤッ…。そしてメイコはまた歌うのだろうか
 ようやく世に出た絵本『あんぱんまん』は売れないままだった。それでものぶ(今田美桜)は、子どもたちに読み聞かせを続ける。...
桧山珠美 2025-10-06 16:33 エンタメ
Snow Manの1人勝ちに歯止めをかけるか?timeleszとSixTONES、激化する“2番手争い”の行方
 嵐の活動休止以降、長らくSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所/以下SE社)は様々な指標でSno...
こじらぶ 2025-09-15 11:45 エンタメ
横浜流星が“レア動画”に降臨!でも…あれっ? 大河ドラマで「国民的俳優」となった代償か
 今年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に主演し、興行収入120億円を突破して歴代実写邦画2位となった映画『国宝...
堺屋大地 2025-09-14 11:45 エンタメ
『あんぱん』津田健次郎に演技賞を差し上げたい。東海林の“最後”が完璧だった。ひとつだけ残念だったこと
 東海林(津田健次郎)の訪問からほどなくして、琴子(鳴海唯)から手紙が届く。そこには東海林が上京した本当の理由が書かれて...
桧山珠美 2025-09-13 11:30 エンタメ
『有吉の壁』ブーム期待も…人気キャラの“展開”に冷めた視線。番組の過剰な介入で萎えるファンの複雑心理
 日本テレビ・水曜7時からの人気番組『有吉の壁』(日本テレビ系)。なんとこの10月でレギュラー放送開始から5年半を越える...
『あんぱん』お色気や国民的アニメの時代、のぶの行為に子供は喜べるのだろうか
 のぶ(今田美桜)は八木(妻夫木聡)の会社で子どもたちに『あんぱんまん』の読み聞かせをすることに。だが、子どもたちは興味...
桧山珠美 2025-09-13 11:30 エンタメ
『あんぱん』あれっ、今“あんぱんまん”って言った? 開始2分で誕生。嵩の創作の苦悩が見たい
 嵩(北村匠海)は再び“おじさんあんぱんまん”の絵を描き始め、物語はほぼ完成する。原画を見つめながら、嵩の話に耳を傾ける...
桧山珠美 2025-09-13 11:35 エンタメ
【芸能クイズ】伊東市長で話題の東洋大学、フワちゃんは卒業済み。では同大学出身“ではない”有名人は?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...