永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
女優・永野芽郁(25)と酔っぱらいの“おっさん俳優”田中圭(40)との不倫愛は、読後、この手の記事としては珍しくほのぼのとした余韻が残った。
永野はNHK朝ドラ「半分、青い。」でブレーク。日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞している、主役を張れる「清純派女優」といわれる。
片や田中は下積みが長かったが、2016年のドラマ「おっさんずラブ」でブレークした妻子持ちである。酒が好きだが酒にのまれるタイプで、これまでも幾多の失敗談がある。
2人は映画で共演したことがきっかけで親しくなり、週刊文春(5/1.8日号)によれば、去年の9月ごろから“親密”に付き合うようになっていったという。
文春の編集部に情報が寄せられたのはそのころ。潜行取材を始めた文春は、2人が手を握り合っている親密写真などを入手。永野の自宅マンションに入る田中の姿。永野のオフの日に田中と郊外のレジャーランドへ出かけ、他人の目を気にすることなく見つめ合う2人の「夢のような時間」を目撃している。
4月19日深夜、酔い潰れた田中を永野が促して自宅へ帰る。部屋に入る前、田中は「え? 俺、芽郁と2人で(部屋に入って)いいの?」と聞いた。「うん」とうなずく永野に田中は、「芽郁は俺に愛され過ぎてるよ!」と囁いた。
翌日、文春の直撃に対して田中はこう話す。
「あのー、すごい……もうお見事! いや、でもこんな話することじゃないんだけど、めっちゃ仲は良いんだけど、『ダメだねー』つって、『良くないねー』つって、終わっちゃったから、もう。(切なげに)終わっちゃったから、もう……」
永野の事務所は「交際の事実はない」と否定している。2人がどこまでの仲なのか、私にはわからないが、永野にとって田中のような年上の酔っぱらいダメ男との“火遊び”は、彼女を娘から大人の女へと変貌させたはずだ。永野の女優としてのこれからに期待したい。
「異様に映る」とGACKTがほえた
ところで、こうした不倫報道には必ず外野席から批判が出る。今回もGACKTというタレントが「誰も幸せにならないネタを鬼の首でも取ったかのように勝ち誇って載せる記者や出版社の姿はボクには異様に映る」とほえたそうだ。
この記事のどこをどう読めば、文春が勝ち誇っていると読めるのだろう? たしかに他人の閨(ねや)をのぞくような行儀の悪い記事ではある。だが、“首輪のない猟犬”といわれる週刊誌記者は、政治家であろうと芸能人であろうと目の前にスキャンダルがあれば、真偽を確かめるためには骨身を惜しまない。それが彼らの「業」なのだ。
立花隆によれば、優れた調査報道をするライターを外国では「マックレイカー(コヤシをかき回す熊手)」というそうだ。「マックレイカーがいなくなったら、この世はコヤシのような人々が跳梁跋扈する世の中になってしまう」(「『言論の自由』vs『●●●』」文藝春秋刊)と立花は言った。
そこにスキャンダルがあれば、裏金問題であれ、不倫であれ、飛びかかる。そこで、倫理観に縛られて「プライバシーの保護」を選んでしまうようでは、週刊誌で仕事をする意味はない。
大新聞はジャニー喜多川の性加害問題を知っていながら、「芸能ものなんか」と追及しなかったではないか。スキャンダルに上品も下品もない。今回の記事は、文春にしては珍しく優しい書き方だとは思わないかね、GACKTさん? (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
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