第8週「絶望の隣は希望」#42
寛(竹野内豊)が亡くなり、悲しみに暮れる柳井家。千代子(戸田菜穂)はのぶ(今田美桜)と弔問に来た羽多子(江口のりこ)を誘って献杯する。草吉(阿部サダヲ)は、帰って来たのぶに、嵩(北村匠海)に持っていくようにとあんぱんを渡す。そのころ嵩は、空き地のシーソーにポツンと座っていた。
寛の言葉が次々に浮かび、涙を流す嵩。そんな嵩に、のぶはそっとあんぱんを差し出し、寛への後悔を口にする嵩にそっと寄り添う。
【本日のツボ】
醫光慈寛信士
※※以下、ネタバレあります※※
月曜早々、寛先生(竹野内豊)が亡くなり、その悲しみも癒えぬまま、本日はもう遺影でのご登場で驚きました。戒名は「醫光慈寛信士」。醫は医者の医の旧字です。“慈悲深く、町の人の光となった医者、寛”というような意味の、まさに寛先生のお人柄がわかる素敵な戒名です。天宝和尚(斉藤暁)がつけたのでしょうか。グッジョブです。
ちなみに余談ですが、“信士”はランクでいうとそこそこ。その上には、居士、院信士、院居士……などとまだまだありますから。
柳井家は、お手伝いさんもいて、洋食を愛し、モダンな暮らしぶりをしていたので、てっきりお金持ちかと思っていましたが、案外、そうではなかったのかもしれません。ご霊前もあまりにも質素でしたし。時代なのか土地柄なのか、なにか事情があるのかもしれませんが……。
それにしても、寛先生は御免与町で唯一の医者、みんなが世話になっている人で、町をあげてのお別れシーンがあってもよかったのでは!? そういう場面もなく、なぜかのぶと羽多子だけが弔問に訪れるという不思議。
夫に先に逝かれた者同士、「ウイスケ(ウイスキー)」を吞みながら、想い出話を語り、「あの人に、怒っちゅうがです」「あてもや」という羽田子と千代子の場面はよかったです。見たところ、水割りではなく、ストレートで吞んでいるようで、さすが高知の女は酒に強い、と感心しました。
嵩のいたたまれない気持ち…
そのあとの、いつものベンチで嵩による寛先生名言回想シーンもじんとしました。ヤムおんちゃんからのあんぱんをのぶに渡され、ガブッとひとかじりし、噛みしめるように食べて「おいしい」と言う場面もグッときました。これを見て、お口があんぱんになった人は多いはず。本日、日本中のあんぱんが売り切れてしまうかも、です。
そんなふうに、ヤムおんちゃんのあんぱんに元気をもらった嵩でしたが、「うちは嵩の一番古い友達やき」というのぶの言葉に、想いを告げることはできませんでした。「のぶちゃん、ずっと伝えたかったことがあったんだ。ぼくは……やっぱりいいや。のぶちゃんのいうとおり、のぶちゃんは僕の一番古い友達だから」。
「これからもよろしく」「こちらこそ」と、お互いに言い合った後のなんともいいようのない間が、嵩のいたたまれない気持ちを表しているようにも見えました。
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