がんばれフジテレビ!6.25株主総会「物言う株主」はカネ儲けしか考えていない
フジテレビの親会社「フジ・メディア・ホールディングス」は、6月25日の株主総会で物言う株主「ダルトン・インベストメンツ」と全面対決する。勝ち目はあるのか。
最大の争点は取締役選任で、フジ側は清水賢治社長ら社内5人を含む11人、ダルトン側は北尾吉孝SBIホールディングス会長ら12人を候補として提案している。フジ側には報道の現場や放送事業の経験者が半数以上いるが、ダルトン側はほぼゼロ。顔ぶれを見ると、金稼ぎのプロがほとんどだ。
北尾会長は20年前から、フジテレビを商売のネタとしか考えていない。堀江貴文氏がフジ乗っ取りを画策したとき、ホワイトナイトとして登場したのも、日枝久会長(当時)に協力することで経営に食い込む狙いだったし、今回も「(選任されたら)取締役会長などは可能だろう」と野望を隠さない。ほかのダルトン側の取締役候補も、投資家、米系銀行元日本代表、財務整理専門家、企業コンサルタントなどで、カネの運用や会社経営は得意かもしれないが、メディアについてとくに見識があるとは思えない。
ダルトン側の関心は不動産と株価
6月末に社長を辞める「STARTO ENTERTAINMENT」(旧ジャニーズ)の福田淳CEOも候補に入っている。フジから見れば、タレントを提供したり番組制作を請け負う取引先のトップで、いわば利益相反。そんな福田氏が役員になったら、番組制作の現場は彼の息のかかったタレントを優先的に起用するなど、余計な気を使わなければならなくなる。
「そもそもダルトンは株価が割安の会社に投資し、あの手この手で株価を吊り上げて売却する手法で儲けている会社です。フジ・メディアHDも経営を握り、黒字の不動産部門を売っ払って、株価が上がったところで売り抜ける算段でしょう。フジテレビを放送メディアとして立て直そうなんて意識じゃありません。高く売れるなら、バックに中国がいようが、トランプがいようがお構いなしですよ」(メディアアナリスト)
フジテレビは企業体質だけでなく、放送内容が露骨に政権寄りだったりと、メディアとして問題は多いけれど、日本のジャーナリズム、エンターテインメントの重要な一角だ。日曜午後の「ザ・ノンフィクション」など真面目な番組も少なくない。「物言う株主」などともっともらしく呼ばれているけれど、しょせんは金儲けのチャンスと舌なめずりしている連中だ。そんなハゲタカに渡すわけにはいかない。フジテレビ、がんばれ!
(海原かみな/コラムニスト)
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