独身と既婚、正反対な女ふたりの悲しい共通点。高級ディナーより“551の肉まん”が羨ましい理由

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-07-12 11:45
投稿日:2025-07-12 11:45

女の正体はやっぱり…同時にホッとする自分

 1周回って、インスタを再び開く。彼からのDMはまだ来ていなかった。かわりに、ストーリーズにハートマークが押されていた。きっと、いまここに急いで向かってくれている最中だ。

 やっぱりそんなことない。いつもの考えすぎだ。

 無理やりそうであってほしい方向に結論付けようとしたところ、見知らぬアカウントからのハートマークがあった。

 興味本位でたどってみる。

 ――やっぱり。

 嫌な予感は、この時点で当たっていることが確定した。

 行きついたのは、さっきまでの隣人と思われるインスタアカウントだったから。だが、それと同時に、どこかホッとする自分もいた。

 ――本当に、あの人、仕事だったんだ……。

 仕事とかこつけて、家族といることが私にとって最悪のパターンだったから。

彼は自分の元にやってきたけれど、あれ?

 時間軸的に、きっとあの女性は、ずっと監視していたであろう私のインスタの投稿を見て、ここにやって来たはず。

 彼と私が一緒にいないことを、本当に仕事に行っていることを確定すべく、心の安寧を得に来たのだろう。

 彼女もまた、私と同じ病気に罹っている。

 シンパシーを感じてしまう自分が憎い。ただ、私と同じ年くらいの、あんなにきれいな女性だったことは思っていなかった。奥さんは年上だと思い込んでいた。

 厳密な年齢は聞いていなかったから特におかしいこともない。私の中の願望が、都合よく相手を鬼婆のような女として想像を膨らませていただけ。

 だけど…

 ――ん? 子供はひとりじゃなかった?

ミドリマチ
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作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

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