連鎖するモラハラの被害者にならないためのプチ知識 #番外編

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-02-29 06:16
投稿日:2019-08-31 06:00
 恋愛がらみの怖い事件がたびたび報道される今、暴力を振るったりお金を搾取したりする男性には近づかないようにしよう、と女性はみんな警戒していると思います。しかし、美沙さんや志穂さんの話を聞くと、平和な日常が壊されるのはお金や暴力が原因とは限らないことに気づかされます。幸せをもたらすように見せかけて、女性の心と生活に目に見えない深い傷を残すモラハラ男の被害が増えているのです。美沙さんの同棲相手と志穂さんの結婚相手には似かよったところがあるような気がして、二人にもう一度話を聞きました。

他者の気持ちに寄り添えないモラハラ男を作り出したのは

自立を求め苦しむ息子を無理にレールに

 読者の皆さんはすでに気がついているかも知れませんが、どちらの男性も親との関係に引っかかりがありました。モラハラを行う人は、親からモラハラを受けていた例が多いことはよく知られています。美沙さんの同棲相手は大学教授の家に生まれながら、受験に失敗して一年ひきこもった後、居酒屋の店員になりました。本人なりに引きこもりから生活を立て直す努力を始めたのに、両親はそれを認めず、特に母親はこう言ったそうです。

「お父さんはまだ怒っているけど、私は健斗君の味方よ。お母さんのへそくりでアメリカに留学させてあげる。向こうで学位を取って帰ってくれば勝ち組になれるんだから」

 この言葉でわかるのは、母親は息子の気持ちに寄り添うことをせず、ただ自分が良いと思ったレールに何とかして息子をもう一度乗せられないか、それしか心にないということです。チャンスをあげると言いながら、居酒屋を辞めさせて、母親のプライドが満足する生活をさせたいだけなのです。初めての挫折を体験して強くなろうとしていた健斗さんは、母親から逃れたくて美沙さんのもとに転がりこんだ…というのが真相でした。

息子の進学・就職・結婚だけが生きがい

 志穂さんの結婚相手の母親は、息子とも嫁とも問題がないように見えます。しかし、若いころから夫は単身赴任の連続で、母親の関心と愛情は常に息子に集中し、息子の人生を順調に進行させることが生きる目的になってしまいました。「教育熱心で息子の受験を成功させた立派なお母さん」として学校でも塾でも評判でしたが、勇太さんが社会人になるとすることがなくなってしまい、今度は理想的な結婚を計画して、息子をそこにはめ込もうとしたのです。母親の言うままに結婚したものの、不倫を偽装して離婚したのは、勇太さんの無言の反抗だったのでしょう。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

ラブ 新着一覧


「高収入なのに金出せってイミフ」自らの女運を憐れむヒモ男
「冷酷と激情のあいだvol.131〜女性編〜」では、事実上の同棲中の恋人・トモキさん(仮名)に対して、お金にまつわる違和...
並木まき 2023-02-25 06:00 ラブ
「カップル旅行あるある」お金で喧嘩するのは目に見えている
 付き合いはじめて3カ月のラブラブな時期に旅行に出かけるカップルは多いとか。旅行中は相手の性格か見え、相性がハッキリわか...
恋バナ調査隊 2023-02-25 06:00 ラブ
男性のうざい武勇伝は強制終了が正解!ベストなあしらい方
 男はかっこつけようとする生き物。目の前に気になる女性がいるとしたら、その意識は格段と強まります。  そこでやらかしが...
恋バナ調査隊 2023-02-24 06:00 ラブ
宅飲みに誘われた!付き合っていない男だよ、上手な断り方は
 まだ付き合っていない男性から、宅飲みに誘われたらどう断っていますか?「もう少し相手のことも知りたいから、断って嫌われた...
恋バナ調査隊 2023-02-24 06:00 ラブ
40代彼女の“草”発言にゲンナリ…「あ、無理」と感じる男性たちの本音
 今回ご紹介するのは、40代の彼女を持つ男性の不満。直接彼女には言えないけれど、ひそかに「そこ無理!」と思っていることが...
恋バナ調査隊 2023-02-23 06:00 ラブ
優良物件!妻や彼女を大事にする「いいマザコン」の見抜き方
 恋愛や結婚相手を選ぶ際、あなたは何をNG条件にしていますか? 人それぞれとはいえ、きっと「マザコンだけは避けたい!」と...
恋バナ調査隊 2023-02-23 06:00 ラブ
「僕からは動きません」マッチングアプリで急増する“定型プロフ”に要警戒
 コロナ禍以降、すっかり市民権を得たマッチングアプリ。その中には首を傾げたくなるようなプロフィールをアップしている男性も...
内藤みか 2023-02-23 06:00 ラブ
デートのお礼LINEは二の矢三の矢を!「また今度」の社交辞令回避テク
 素敵な男性とせっかくデートまでこぎつけても、2回目につながらずフェードアウトしてしまう恋はたくさんありますよね。実は、...
恋バナ調査隊 2023-02-22 06:00 ラブ
本命彼女になりたい…男性を沼らせて手放せない女になる方法
 いつも彼女になれず、都合のいい女止まりになってしまう。彼女になっても全然大切にされない……。  男性になかなか大事に...
若林杏樹 2023-02-22 10:58 ラブ
既婚者マッチングアプリで出会った男性と“お寿司ランチ”した
「コクハク」の本コラムで、「既婚者マッチングアプリって?実際に使ってみた感想と注意点」を書いたのですが、今回はさらに深掘...
豆木メイ 2023-02-21 06:00 ラブ
黒歴史!借金、束縛、浮気常習…別れてよかった元カレ大集合
 交際中に「この人しかいない」「絶対結婚する!」と、相手に執着してしまう女性もいるでしょう。でも、もしかしたら“別れたほ...
恋バナ調査隊 2023-02-21 06:00 ラブ
マンネリ打破に!夫婦のラブホテルデートはメリットだらけ
 新婚の頃は夫への愛情でいっぱいだったのに、結婚生活が長くなり、子供が生まれてみると、すっかりときめきがなくなってしまっ...
恋バナ調査隊 2023-02-20 06:00 ラブ
サレ妻が浮気夫に復讐!ダメージ100倍・スカッと1000倍エピ
 世の中には、浮気や不倫をして、愛していたはずの妻を「サレ妻」にしてしまう夫が存在するようです。でも現代において、黙って...
恋バナ調査隊 2023-02-19 06:00 ラブ
私のテクじゃつまらない? 交際1カ月でのレスに悩む37歳女性
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2023-02-18 06:00 ラブ
ムラムラするのに反応しない! 予想外の事態に困惑する50男
「冷酷と激情のあいだvol.130〜女性編〜」では、交際中の恋人と交際1カ月にしてすでにレスに悩んでいる女性・里香さん(...
並木まき 2023-02-18 06:00 ラブ
夫の2回目の不倫が発覚! 冷静にソッコーで手を打つべきこと
 一番信頼している人に「不倫」という形で裏切られた妻は、たくさんの葛藤や苦しみと戦いながら、必死で笑顔を作ろう、前に進も...
恋バナ調査隊 2023-02-18 06:00 ラブ