おばさんが目撃した「奇妙な痴漢」。若い女性を守るため、どうするのが正解だった?

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-08-13 11:45
投稿日:2025-08-13 11:45

警察を呼ぶべきだったかもしれない

 小休憩もアップルジュースもどこかへ吹っ飛び、脳内は軽い興奮状態にあった。私はスマホのメモに「窓際のブルーのシャツの白髪の男性、右の女性に触ろうとしながら、左手で自慰行為してますけど」と書き、レジの店員に「すみません」と画面を見せた。店員は状況を察知したのか、男性に近づき「お客様、店内で他のお客様のご迷惑になる行為はお控えください」と注意。突然話しかけられた男性は、わかりやすくビクッとして「はい…」と左腕を引っ込ませた。その後、ほどなくして退店。女性も自分の背後での一幕を知らないまま、退店して駅の改札を通り過ぎて行った。ふたりが店内から姿を消したあと、店員が私に近づいてきてこう言った。

「ご迷惑をおかけしました。上に報告しますので、先ほどの画面、写真を撮らせていただいてもよろしいでしょうか」

 私は「なんだか大変でしたね」と言いながらスマホを差し出す。その後、退店して自宅までの道すがら、これで良かったわけではないとモヤモヤした。よくトラブルがあった際に「今後、こういったことがないようにスタッフの指導に務めます」と常套句のようなお詫びをされる。今後、その会社の社員教育がどうなるかは知ったこっちゃない。問題は今起きた事件に対して、どう解決するかだ。今回でいうのなら私の対応はその場しのぎだったかもしれないと、自省。あのおっさんは必ずくり返す。暑い時期、若い女性の露出を見かけたら性欲の解消対象として扱い、発散する。

(店を出て近くの交番に行っても良かったかもしれない。痴漢行為を迷惑行為防止条例違反にするのは難しくても、ガラス越しに見えたであろう局部の露出は公然わいせつ罪。店員が警察を呼ぶとは思えないから「呼びました」と事後報告でも良かったのかもしれない)

 東京に20年ほど住んでいるけれど、こんな痴漢に遭遇したのは初めてだった。若い女性のみなさま、露出、カウンター席、背後の3キーワードにはご注意を。誤解してほしくないけれど、露出するのはファッションだ。でもその気持ちを汲み取る異性は少なく、性的な視線にさらされる。好きな格好をするために体型も整えているのに、勝手にオカズにされるのは悔しいじゃない。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


かわいい“たまたま”が大集合!夕暮れの集会の議題はなあに?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
結婚、出産、身分の違い…仲良かった友達に会いたくないのはダメな感情?
 学生時代を毎日一緒に過ごした親友。でも、年齢を重ねるに連れて「あんなに仲が良かった友達なのに、今ではもう会いたくない」...
「委ねる」は読めるかも? 「委しい、委せる」はなんて読むのかな
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
仕事帰り、ぶつかりおじさんのちかん被害に遭遇!?  私はどう対処すれば…
 先日、電車の中で「ぶつかりおじさん」に遭遇し、周囲に分からないような形で身体を触られました。あの時、自分はどんな対応を...
選ばなかった人生を歩む「もう1人の自分」と話してみたい
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
魅惑の“たまたま”の横から…モデル!? に立候補した茶トラ君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
同僚A「昨夜、課長と歩いてました?」同僚B「私も見ました」って…。職場グループLINE公開処刑!!
 グループLINEは、仕事上でもとても便利な連絡ツールですが、時に意地の悪い人がいるのも現実…。  職場での公開処...
“刺身のツマ”じゃございません! 存在感爆上がりの「かすみ草」最新事情
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、神奈川の片田舎にあります。  大企業の研究所が多数点在しているせいか、他民...
ギャラ飲み収入だけで年400万円の貯金達成!元キャバ嬢が浪費しないワケ
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
【求む2期生!】頑張るシンママの収入UPをサポート☆応募して豪華プレゼントGET!
 日刊ゲンダイが運営する女性webメディア「コクハク」では、メディア制作に協力してくださる「コクハクリーダーズ第2期生」...
ぽかぽか陽気♪ ノスタルジーな小道で見つけた“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
雪解けの水とハミングと。
 雪解けの水がすごい勢いで山からくだってくる。  流れの音に耳をすませば春の訪れを知る。  澄んだ空気を感じ...
「立ちんぼ女子」は売春行為や街娼を指すことばではなかった
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
朝立ち、オマン湖、チンチン!普通の会話なのに下ネタかました的なLINE
 普通に会話しているだけなのに、相手からしたらどう考えても下ネタにしか聞こえない言葉ってありますよね。引きつった相手の表...
高級クラブのホステス→ギャラ飲み嬢に 面識なしで突然10万円ギフトが…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
「正しくないこと」が「美しくない」とは限らないと知った
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...