更新日:2025-08-19 11:45
投稿日:2025-08-19 11:45
残酷すぎる業界の空気
それから何年も経ち、別の現場で昔のスタッフと偶然再会したとき、ぽつりと美咲の名前が出た。
「あの子、あの後きつかったらしいよ」――その声は小さく、周囲に聞かれないように抑えられていた。
社長の庇護がなくなった途端、キャスティングはおろか、現場に顔を出すことすら難しくなり、SNSでの発信も控えるよう指示されたという。
華やかだった頃の写真だけが、ネットの片隅で色褪せずに残っている。
業界の空気は残酷だ。昨日まで賞賛されていた存在が、理由も告げられぬまま舞台から降ろされる。
そこで働く誰もがその可能性を知っているから、表向きは笑顔でも、心の奥では常に自分の立ち位置を計算している。
“お気に入り”が持つ深い意味
私があのとき見た美咲の震える指先は、もしかしたらそんな未来を予感していたのかもしれない。
彼女が本当に望んであの立場を手に入れたのか、それとも選択肢がなかったのか――それはもう確かめる術はない。
ただ一つ言えるのは、“お気に入り”という言葉の裏には、甘さと同じくらいの苦さがあるということだ。
表舞台の光の強さは、その影の濃さと比例する。美咲の物語は、その影の存在を改めて私に突きつけたまま、今も心のどこかで息をしている。
関連記事
ライフスタイル 新着一覧
梅雨も近づいた、ある日の出来事。猫店長「さぶ」率いる我が花屋に、悩めるお客様がご来店でございます。
ワタクシ「何...
どん底にいるときに待ち望んでしまうのが「救いの手」。この状況から抜け出したい……誰かなんとかしてくれたら……そんな風に...
きょうは、猫界の「イケにゃん」について考えます。
多くの雄猫を見てきて、雌猫にモテているのは、恰幅の良い喧嘩の...
社会には、うわべだけ丁寧に見えて実はすこぶる失礼な「慇懃(いんぎん)無礼な人」も散見されます。こういったタイプは、自己...
本当は大丈夫ではないのに、いつも「大丈夫!」と言ってしまう“強がり女子”。そんな彼女を見て、周囲の人は「1人でも生きて...
ある朝、突然嘔吐を繰り返し、ぐったりと元気をなくした生後10カ月のメス猫・虹ちゃん。動物病院に行くも原因がはっきりとし...
多くの場合、仲良し家族はLINEグループを作っているそう。そんなLINEを覗いてみると、それぞれの家族の独特の世界観を...
生田緑地ばら苑に行ってきました。雑木林を抜けると春のバラが豪華絢爛に咲き乱れていました。まさに秘密の花園。マスク越しに...
「自分は先輩としてちゃんとやれているのか」と考えたことはありますか?私は後輩がいる時は常に気になっていたし、考えていまし...
きょうは、お日様で温まった防波堤のコンクリートにぺったりお腹をつけ、ほっこりのにゃんたま君。
お饅頭みたいな平...
毎年母の日が過ぎて1週間ほど経ったころ、花屋には電話やご来店などでご相談にやってくる方がポツポツいらっしゃいます。「花...
ビールが好きです。根っからのビール党です。「ビールはお腹がいっぱいになるから苦手」という意見がわかりません(笑)。むし...
何気ない人の言葉や行動に傷ついたり、落ち込んだりすることってありますよね。実は、そんな人の中には、思い込みが激しい人も...
きょうは、毛繕い中に失礼します。視線はにゃんたま様の見事なωに一点集中。
ポロリ(こぼれ落ちる様)やチラリズム...
好きなことで生きていく……なんて言葉がもてはやされる昨今。そんなこと言われても、好きなことなんてわからないよ!という人...
4月27日の満月は、ピンクムーン(Pink Moon)でした。
アメリカでは4月の満月を「ピンクムーン」と呼ぶ...
















