花火大会の“有料化”が増えた背景。3万円の高級席も…若者世代は「お金を払って見る」が当たり前?

コクハク編集部
更新日:2025-08-25 15:20
投稿日:2025-08-23 11:45

若い世代は「有料」が当たり前

 冴木氏によれば、初めて全席有料制を導入したのは諏訪湖の花火大会。当時は市民から激しいクレームが寄せられ3年ほど揉めたという。しかし、行政側が押し切って有料制を実現すると、他の花火大会も追従するように有料席が増えていった。

 興味深いのは世代による意識の違いだ。

「昔から花火を見てきた世代は、花火はただで見るものという感覚がありますが、今の若い人は最初から有料席が当たり前なので、花火はお金を出して見るものだと思っているんです」(冴木氏)

 一方、花火大会には常にリスクが伴う。特に屋外イベントなので天候の影響は大きい。日経ビジネスの記事によると、足立区の花火大会は2年連続で悪天候により中止となり、有料席や屋形船の払い戻しによる損失は約4000万円に上った。

 しかし、「興行中止保険」に加入していたおかげで、損失の約1割に当たる約400万円を補填できたという。割合は規模や内容に応じて話し合いながら契約内容を決めるケースがほとんどさそうで、当然、リターン額が多いほど保険料も増えるはずだ。

「たった1日のイベントに数百万円もの保険料がかかるため、加入しない主催者も多いんです」(冴木氏)

巨額の予算と高いリスク

 保証されなかった分は当然、主催者が負担することになる。なお、中止によって使われなかった花火は使い回すことができないので、その分の損失も計上されることになるそうだ。

 8月4日に横浜で発生した花火大会での火災事故のように危険とも隣り合わせだ。もし、観客に怪我人でも出ていたら、その損失規模は計り知れない。

「花火は火薬を扱う以上、100%安全ということはありません。ブームの加熱しすぎには主催者側、観客、それぞれに注意が必要です」

 夏の風物詩として多くの人に愛される花火大会の舞台裏では巨額の予算と高いリスクが共存しているようだ。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


没頭確定な趣味♡ 紙とペンでOK「ハンドレタリング」って?
 多趣味で好奇心旺盛のワタクシ、canちゃん。今回は「ハンドレタリング」をご紹介します。  お家でできて、気分転換にも...
口は禍の元でしかない 口が悪いのを直したい時のポイント4つ
 友人や家族から「いつも口が悪いよね」と指摘されると、正直ショックですよね。自覚がある人もいますが、多くはきつい印象を与...
もっこり紅葉!?コキアと畑のキャビア「とんぶり」の密な関係
 猫店長「さぶ」率いる我が花屋。神奈川のカントリー風情たっぷりな立地にてお商売をさせていただいているものですから、周囲に...
めちゃくちゃ体が丈夫な人の見ている世界 2022.10.26(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
実録!秘密のストレス解消「おじさんの咀嚼音に癒されて…」
 家庭や仕事でのストレス、みなさんはどのようにして発散していますか? 世の中には、買い物や食事といった「定番」とはかけ...
2022-10-26 06:00 ライフスタイル
女友達の年収自慢にモヤモヤ!不安を「稼ぐ力」に変える方法
「来月、昇進するんだよね。新卒から比べると年収倍になるのは嬉しいけど、これ以上働きたくないなあ」  女友達の、何気...
「善意の押し付け」はいりません!お節介な人をかわす対処法
 使いきれない量の食材を持ってくる義母や、上から目線のアドバイスばかりの友人……。こうしたお節介な人の言動に、日々ウンザ...
【ニトリ】話題の「重い毛布」買ってみた!2022.10.25(火)
 加重することで、包み込まれる安心感を与えるーー。ニトリの「重い毛布」を知っていますか? 本格的に寒くなる前に購入したの...
こんな時代だから「初心者向けの一人旅」メリット&楽しみ方
 気ままで自由な一人旅。憧れますよね! でも、実際には「会話する相手がいなくて寂しそう」「勇気がない」「一人だと不安」な...
チビッ子“たまたま”とピンク肉球のマリアージュにメロメロ♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
作り笑い以前に“笑顔が苦手な人”の原因と対策 どう接する?
 仕事やプライベートで人と接する時、なかなか笑顔を見せてくれない人がいると「嫌われているのかな?」と不安になってしまう時...
都会の雑踏で聞こえた地元の方言 2022.10.23(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
大凶作のドラフト会議でイケメン“ザックザック大豊作”のなぜ
 今年のプロ野球ドラフト会議は空前の大凶作といわれていた。目玉となる選手はゼロで、多くの球団が争奪戦を繰り広げるようなス...
2022-10-22 06:00 ライフスタイル
「やりすぎ時短LINE」BBQの役割分担までエクセルにするの?
 忙しい社会人で時短術を活用している人はたくさんいますよね! でも、何事もハマりすぎは良くないようです。今回は、時短術に...
パワハラ虫に遭遇、最悪!でも「したたかな準備」で反撃可能
 仕事でもプライベートでも、パワハラ気味な人に遭遇してしまうと最悪ですよね。  災難だと思って諦めることもできますが、...