入院初夜に襲われた“下剤地獄”からがん患者と仲良くなる問題

コクリコ 編集者
更新日:2019-10-26 04:49
投稿日:2019-09-03 06:00

入院病棟での“井戸端会議”は…

 改めて書類に目を通し、個室を出てぶらぶらしていると廊下や談話室でたくさんの患者さんに会います。点滴をガラガラと引いている人、身体から管が出ている人、車いすの人。

 手術前でまだ元気な私はすたすた、すたすた。ちょっとだけパジャマもおしゃれなものを着ています。

 すると「あなたも患者さんなの?」と驚かれます。

「じつは明日に手術を控えていて……」

「あらー、手術できるならいいじゃない。良かったわね!」と言ったのは、グレイヘアの70代女性。

「私は肺がんでステージ4なのよ。毎年健康診断を受けていたのに、見つかったらもうこんな状態だったの。そうしたら、肺がんはレントゲンでは見つからない、見つけられるのはCTだけだっていうじゃないの! そんなの知らないわよね?」

同じ病気の人と親しくなるべきか

 ステージ4という言葉の重み。孫の成長が楽しみで、まだまだ生きたいとおっしゃるこの方にどう接するのが正解なんでしょうか……。

 しばらくお話していると数名の患者さんが集まってきました。会話をすると、深刻なステージの方がいて、手術であちこちの内臓を取った方がいて、そして再発された方もいることに気づかされます。

「手術ができるなら大丈夫!」「まだまだ若くて体力もあるから安心ね」とたくさんの方に応援していただきました。そのたびに「自分はまだがんの入り口の方なんだ。すみません……」と申し訳ない気持ちにもなったのです。

親しくなった人が亡くなってしまったら…

 同じ病気の友達をつくるか、親しくなるか。

 とても難しい問題です。不妊や婚活に悩んでいる人も言ってますが、「誰かが妊娠して(あるいは結婚して)先に抜けるとやっぱり複雑な思いがある。祝えない」という状況になる気がするのです。

 もしも同じ病気の人とすごく仲良くなり、私だけが病気が治らないとなった時にその人をすごくうらやんでしまって、「どうして私がこうで、あの人が!」って思わないとも限らないのです。その逆もあるんじゃないかと思っています。

 そして、もしも親しくなった人が亡くなってしまったら、その悲しみや恐怖は計り知れません。

 同病の人とは親しくなりすぎず、SNS上でやり取りするだけにしておきたいのは、私の心が乱れていやなやつになったり、必要以上に不安になったりするのを防ぐためなのです。

 次回(9/10公開予定)に続きます。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


【漢字探し】「橋(キョウ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「誰よりも頑張っていた」に号泣…心に響いた恩師の言葉4つ。叱咤も温かい言葉も忘れない
 学生だったあの日も、遥か昔…。アラサー・アラフォーになると思い出は徐々に薄れていきますよね。でも、心に響いた温かい言葉...
可愛すぎやろ! 母のLINEに“キュン”連発♡ トーク画面はメモ帳じゃないってば
 自分を育ててくれたお母さんを「すごい」「敵わない!」と、尊敬している人も多いでしょう。でもたまに見られる可愛い姿にクス...
それ、実は「マネハラ」です。身近にある“お金”のハラスメント。飲み会への強制、プレゼント代徴収もアウト!?
 お金にまつわるあらゆるハラスメントを指す「マネーハラスメント=マネハラ」をご存じですか? 実は身近なところで遭遇する機...
「お受験したい」6歳娘の言葉にアタフタ。“公立で十分”は親の勝手な思い込みですか?
 それは、現・小学1年生である我が娘・ミオリ(みーちゃん)が保育園年長の夏であった。彼女は突然、母である私にたずねてきた...
エモすぎ注意!平成女児グッズ、何が好きだった?シール帳にロケット鉛筆…あの頃の思い出エピ【流行語大賞ノミネート】
 2025年の新語・流行語にノミネートされた「平成女児」というキーワード。平成時代に女児だった人たちがが大好きだった文化...
神聖なる“にゃんたま”様、願いを叶えて…!「世界中のネコ様が幸福でありますように」
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
それ“和牛”違いですよ! コントのような「おばさん」二人の会話に更年期の私が救われたわけ
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
失敗ばかりの「ミモザの鉢植え」、成功の秘訣は“マニュアル外”の育て方にあり? 4年目で気づいたコツ
 晩秋の風がひんやりと肌を撫でるころ、ワタクシの中でそわそわし始める植物がございます。それはずばり、ミモザちゃん。 ...
一生ついて行きます! 職場にいた“理想の女上司”エピソード集「とにかく帰っていい」の言葉に泣いた…
 あなたにとって「理想的な女上司」とはどんな人物ですか? 漠然としたイメージ、あるいは具体的な条件などはあるでしょうか。...
LINEの誤爆で思い出す、中学時代の“ある事件”。女子同士の「手紙回し」にあった残酷な一面
 あの頃の手紙は、今のSNSより不器用で、でもずっと真剣だった。速さに追われる時代に、言葉を選ぶ“間”の大切さを思い出さ...
え、私の息子はどこに? 義母のインスタで知った“孫”格差。プレゼントやお年玉にも露骨な線引きが…
 幸せなはずの結婚生活に影を落とす、姑との問題。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面したケースをご紹介します。
 “にゃんたま”の不敵な笑みにノックダウン!「キミはどう撮るのかな?」
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【漢字探し】「椛(モミジ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「お漏らししたのよ〜」って何歳の話!? 実家で震えた家族のありえない言動5つ。結婚・出産話もしんどい…
 楽しみにしていた連休、久しぶりの実家。でも実際に帰省してみると、想像以上に精神的ダメージを受けることも少なくありません...
プチプラハンガー戦国時代!結局100均が最強だった。セリア、ダイソーで“ちょうど良い”ピンチ&アーチ型を発見♪
 ハンガーへのこだわりは、MAWAのハンガーを購入してから。使いやすく、型崩れしないハンガーに感動。そこからMAWAを買...