「飲み=仕事」の時代を生きた酒豪おばさん、ついにリタイアか? 老化で変化した飲酒との付き合い方

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-09-10 11:45
投稿日:2025-09-10 11:45

酒で自分を寿ぐ

 外食に加えて毎日の夕食時は、晩酌も欠かさなかった。酒を飲もうとするとおつまみにも凝り始め、一人暮らしの食卓なのに「料亭か!」というほど、小皿が並ぶ。いいの、これが私の1日の楽しみと思っていたけれど、エンゲル係数の異常な高さ、減らない脂肪…と問題が尽きないと、やっと最近気づいた。自宅で飲むのはほんの数杯とはいえ、翌朝は浮腫んでいるし、頭のキレが最高に悪い。そんな日々から一旦、幕を下ろしたきっかけは応報なのか、更年期の治療だった。精神的なモヤモヤが晴れず、更年期用の軽い安定剤を医師から処方された。もちろんアルコールとの併用はNG。

(飲まないでいられるのだろうか…)

 おかしな心配もしたが、結果的には心身に良い状態を知らせてくれた。酒を飲まずにただいま3週間、早く寝るし、朝は起きられるし、スーパーへ買い物に行く回数も減ったし、何より体が楽。ウォーキングも始まって、老年まっしぐらである。もう薬の服用はとっくに終了しているけれど、久々に飲まない生活を満喫中だ。

 下戸であれば全く必要はないが、中年になったらある程度、酒とどう付き合っていくのか自分なりのスタンスを決めていくのは必要だ。自分の肝臓はアルコールを分解していくパワーが圧倒的に下がっている。20〜30代のように週8(7ではなく、どこかで不眠不休で飲む時間もカウント)で飲める時間は、もうまぼろし。「酒は百薬の長」は言い訳。

 ちなみに私の酒ジュール(酒スケジュール略)は、外食のみ。こうすると月1〜2回のペースになる。自宅で飲む予定は今のところないけれど、何かの記念に飲もうと思う。例えば重たかった原稿を脱稿したとき、体の不調が消えたとき。飲んで嫌な気持ちを吹き飛ばすのではなく、飲んで自分を寿ぐようにしようと考えている。まあ、この清々しそうな気持ちがいつまで続くのかは未定だけど。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


義母「唐揚げは?」嫁「そうですね」義母「明日は鍋」献立確認もやもや!
 義母から送られてきたLINEでもやもやした経験はありませんか? 嫁いびりをするような義母であれば、不快なLINEに何度...
また!snsのアイコンコロコロ変えるの何で?4つの心理&注意したいこと
 あなたはsnsのアイコンをどのくらいの頻度で変えますか? snsを始めてから一度も変えたことがない人もいれば、月に一度...
女同士の嫌味合戦に終止符を! 相手を黙らせる冴えた返し方
 女同士の嫌味の言い合いは、いつだって熾烈。 相手が職場の上司や同僚だと、言い返すことができずストレスになってしまう場合...
ぎゃああ! 暖かいところで越冬するカメムシ(涙)、安全な捕まえ方は?
 家の中に出る虫で、ゴキブリを怖がる人はたくさんいますよね。でも、実はゴキブリと同じくらい不快度が高い虫がいます。  ...
派手な集団に遭遇 ざわついた飲み屋で包まれる昭和の空気
 とある飲み屋で派手な集団に遭遇。チンドン屋さんのお出ましだ。  年末にしんみりしても仕方がないから、ここは景気よ...
信頼の証じゃない 身内に“八つ当たりする”人の心理と対処方
 今回はお悩み相談回です。職場に好きな人がいる男性の方なのですが、よく想い人の女性から八つ当たりされるのだとか。 「信...
口づけしたくなっちゃう♡ 真っ白な“たまたま”にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
なぜお正月の飾りに竹?めでてぇ年賀の最強アイテムはSDGs的にも超優秀
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも、まもなくお正月がやってきます。  今年の暮れも嵐が過ぎ去った後のように荒れ放題に...
クリスマスを「自分へのご褒美」の口実にしてもいいかしら?
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
知人「やさしいたい焼き屋のおじさん」私「あれ母親」地雷踏んだLINE
 人にはそれぞれ絶対に踏んではいけない「地雷」があります。でも、それが何かはわからないケースがほとんど。今回は、LINE...
ギャラ飲みとラウンジで荒稼ぎも…まともな恋愛ができない29歳港区女子
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
枕元にプレゼントがなくても…満天の星空に心奪われる特別な夜
 出雲の国の満天の星空を眺めていた。  日付が変わった頃、天の川を切り裂くように飛行機が音もなく飛んでいった。 ...
「こっちに付いてきて」広島で“たまたま”が秘密基地にご案内
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
再婚しても元夫・家族に子どもを会わせる?本音は「面白くない」だけど…
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
「不倫」と「浮気」の違い、知ったかぶりしてませんか?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり読み切り漫画/第64回「みんな揃って、メリークリスマス」
【連載第64回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...