「飲み=仕事」の時代を生きた酒豪おばさん、ついにリタイアか? 老化で変化した飲酒との付き合い方

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-09-10 11:45
投稿日:2025-09-10 11:45
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第44話は「抜けない酒はある」。

本当に体から酒が抜けなくなった

「飲みながら人生相談をしてなにか変わると思います!?」

 下戸の若手テレビ局員とお茶をしているときに、こう言われた。「ん〜…まあ」とお茶を濁すような返答しかできなかった私は、酒好きだ。出版社勤務時代から、現在に至るまで先輩から「小林、ちょっと行こうか」なんて言われて、よく飲みに連れて行かれた。そこで愚痴をいくつもこぼしてきたはずだが、解決した記憶は…ない。覚えていない。年齢を重ねて自分が後輩の悩みを聞く立場にもなったけれど、若手がこぼした心労万端を…覚えていない。すべてがアルコールとともに浄化されてしまった。

【こちらもどうぞ】大好きなテレビ鑑賞中、ふと襲われた「不安感」はなんだ? 更年期、不調の新フェーズに突入か

 今から20〜30年前の日本のビジネスシーンは“アルコール至上主義”だった。親睦のためだ、打ち合わせだ、接待だ、と飲む。セクハラ、パワハラなんて当たり前で、酒がすべてを解決してくれるような風潮が確実にあった。私もその流れに逆らわず、365日、手元にはアルコールがあった。おかげで周囲からは酒豪と呼ばれ、それがアイデンティティーだった時期もあったと今さら思い返す。

 ところが最近、酒をあまり飲まなくなった。

 理由はいくつかある。まず酒が体から本当に抜けなくなり、二日酔いでは済まされず、三日酔いは上等になった。気分が悪くて、ベッドと冷蔵庫の水を往復するだけで休日が過ぎていく。頭の動きが鈍るので原稿を書けず、ただひたすら体内からアルコールが抜けていくのを待つしかない。最近では仕事にかなり影響を及ぼすようになってきた。このままではフリーランス業も破綻すると危惧。よって翌日の午前中が休める場合だけ飲み会に参加するようにしている。それなら飲む量を調整すればいいのではないかと、突っ込まれそうだが、飲みに行くとタガが外れてしまうおバカな性分。更年期真っ盛りのおばさんなのに、ハイボール特大ジョッキを片手に持つと、つい自分が30代の気持ちになってしまうパターンだ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


都会の雑踏で聞こえた地元の方言 2022.10.23(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
大凶作のドラフト会議でイケメン“ザックザック大豊作”のなぜ
 今年のプロ野球ドラフト会議は空前の大凶作といわれていた。目玉となる選手はゼロで、多くの球団が争奪戦を繰り広げるようなス...
2022-10-22 06:00 ライフスタイル
「やりすぎ時短LINE」BBQの役割分担までエクセルにするの?
 忙しい社会人で時短術を活用している人はたくさんいますよね! でも、何事もハマりすぎは良くないようです。今回は、時短術に...
パワハラ虫に遭遇、最悪!でも「したたかな準備」で反撃可能
 仕事でもプライベートでも、パワハラ気味な人に遭遇してしまうと最悪ですよね。  災難だと思って諦めることもできますが、...
ヘアサロンから濡れ髪のまま飛び出てくる女、になった。
 書店員として本を売りながら、踊り子として舞台に立つ。エッセイも書く。“三足の草鞋をガチで履く”新井見枝香さんの月イチ連...
【ドンキ】エモい「情熱価格」激旨1位は… 2022.10.20(木)
 みなさん、ドン・キホーテは好きですか? 筆者は大好きです。右を向いても左を向いても物価高なこのご時世、「驚安の殿堂」っ...
本当の友情ですか? 同性の友達の束縛がつらいと思ったら…
 同性の友達に「束縛されてる」と感じたことはありませんか? その子との予定を最優先させられたり、あなたに彼氏ができると機...
まるでぬいぐるみ!モッフモフ高密度“たまたま”にキュン♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
友達ってなんだろう 2022.10.19(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
何コレ!? 天然の「旅人の木」はコバルトブルーの種がヤバい
 ある冬の日のお話しでございます。  猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さんに、ややご年配の、でもやたらと威勢の良い殿...
アラフォーが「テヘッ」はねぇ…今どきの「痛い女あるある」
「いい年してそれは痛いでしょ」と思える言動をする女性、あなたの周囲にいませんか? 若い頃は「かわいい」と言われた行動も、...
服が捨てられない!片付け下手に神グッズ 2022.10.18(火)
「1枚服を買ったら1枚は捨てる」「触ってみて心がときめくか」「お店のように美しく飾る」などなど、クローゼットを整えるメソ...
どうしてそんなに尊いの?“たまたま”を真面目に考察してみた
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
家庭で簡単にできる節電対策6つ 子供が楽しめるアイデアも!
 東日本大震災のあと、日本中で節電運動がはじまった時、当たり前にある電気のありがたさを痛感しましたね。震災後ではなくても...
いつもの道にも秋が落ちている 2022.10.16(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ママ友地獄LINEにムカッ「その歳でアンパンマン」何が悪い?
 大人になると、付き合う人って自分で選べますよね。でも、子供を産んだらそうはいきません。  子供同士のつながりで出会っ...