松岡昌宏のその後を決定づけた“ウラ代表作”

更新日:2025-10-08 17:03
投稿日:2025-10-08 17:00

【あの頃、テレビドラマは熱かった】#9

 「LOVE&PEACE」
 (1998年/日本テレビ系)

  ◇  ◇  ◇

 1998年もフジテレビのドラマは強かった。反町隆史の「GTO」は全話平均28.5%でこの年の全体でトップ、江角マキコの「ショムニ」と深田恭子&金城武の「神様、もう少しだけ」はともに18%台スタートから最終回28%台と盛り上がり、平均で軽々20%超え。いずれも看板枠の月9以外の枠だ。

 で、月9はというと、前年10月クールに平均で30%超えを果たした「ラブジェネレーション」の疲れか、1、4、7月期といずれも20%を超えていない。そして10月期、「月9でも1作も20%を超えない」という状況を阻止したのが、木曜劇場「眠れる森」。木村拓哉と中山美穂のダブル主演によるサスペンスは全話平均25%超えを果たし、意地を見せたのだった。

 いや野沢尚さんの脚本もすごかったのだけど、こうして数字を見ると「神様、仏様、稲尾様」ばりにキムタク様がすごい。古すぎか。

 そんな98年、あまり語られていないが印象に強く残ったのが、「LOVE&PEACE」。SMAP中居正広が月9「ブラザーズ」で寺の次男坊を演じていた4月期の、日テレ系土9だ。もうひとりの“マサヒロ”松岡昌宏が97年の「サイコメトラーEIJI」、99年の「サイコメトラーEIJI2」で土9らしい現実離れした能力を持つヒーローを演じたはざまで、スーツ姿の新米刑事を演じていた。

 Jアイドルとしてかっこよく事件を解決するヒーローではなく、亡くなった兄夫婦の子供を引き取って父親代わりになるという役どころ。80年代のこの枠の代表作「池中玄太80キロ」で西田敏行が演じた“玄太”を思い出させるキャラで、その名も“建太”。大ヒット作へのオマージュのはずだ。そんなこと誰も言ってないけど。

 ドラマは建太と子供たちとのエピソード、ちょっとした恋のバトル、後輩役の鳥羽潤とのからみ、先輩刑事の大仁田厚、上司の古尾谷雅人も含めた刑事としての現場などがバランスよく配置されていた。後半には“所轄”と“本庁”の力関係や、建太の兄夫婦の死に関する闇の部分を描きながら、ヒーローとして敢然と悪に立ち向かう刑事ドラマ要素も入り、明るいだけでなくシリアスな松岡も堪能できる展開に。当時21歳の松岡は、実年齢より少し上の役柄に器用に対応していた。

 たぶん“松岡昌宏の代表作”として挙げる人はほとんどいないと思うが、僕はこのドラマがその後の松岡を決定づけたと勝手に思っている。

 そして今年6月の末、例の“国分問題”での松岡の“男気会見”を見たとき、僕の頭の中にはTOKIOが歌ったこのドラマの主題歌が流れていた。Love&Peace。

(テレビコラムニスト・亀井徳明)

エンタメ 新着一覧


歌わない福来スズ子はただの人…からの脱却!らしさ炸裂のパクった楽団名
 楽団が解散して数週間、スズ子(趣里)は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。そんな時、スズ子は大阪に戻ってこないか...
桧山珠美 2023-12-01 14:00 エンタメ
茨田りつ子の覚悟、ラスト3分の急展開!弟子入り志願者の名に一抹の不安
 警察から解放されたスズ子(趣里)は、三尺四方の中だけで自分の歌を表現するのは難しいと悩んでいた。  警察署で自身...
桧山珠美 2023-11-28 15:27 エンタメ
日中戦争の影響じわり、スズ子が「カカシみたいなワテ」になった
 スズ子(趣里)と梅吉(柳葉敏郎)が東京で一緒に暮らし始めて1年、梅吉は何をするわけでもなく酒を飲むだけの毎日を過ごして...
桧山珠美 2023-11-27 15:10 エンタメ
羽生結弦を癒すのはプーさん…自由に恋愛もできないなんて気の毒過ぎる
 羽生結弦にはまったく驚かされてばかりです。  今年、8月4日に電撃婚を発表したときも、ビックリでしたが、そのわず...
地殻変動!下剋上球児、うちの弁護士…視聴率では見えないバズり作品は
 シリーズものを除いた主要民放プライム帯ドラマ全12作の全話平均視聴率が5.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯=以...
こじらぶ 2023-11-25 06:00 エンタメ
ゴンベエ(宇野祥平)の素性が明らかに…上方新喜劇ばりの人情劇がグー
 ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、スズ子(趣里)は梅吉(柳葉敏郎)と今後のはな湯をどのようにしていくか相談する。  ...
桧山珠美 2023-11-24 16:11 エンタメ
母ツヤ(水川あさみ)笑顔の最期、「ナレ死」に救われた
 大阪に戻ってきたスズ子(趣里)は病床のツヤ(水川あさみ)と再会する。ツヤの病状のことを受け止めきれないスズ子は、梅吉(...
桧山珠美 2023-11-23 16:05 エンタメ
六郎役・黒崎煌代の将来性、母ツヤとやり取りに泣けて泣けて笑える
 六郎(黒崎煌代)の出征の日がせまり、六郎は頭を丸め恥ずかしそうにしている。相変わらず体調が悪いツヤ(水川あさみ)は専門...
桧山珠美 2023-11-21 17:30 エンタメ
「下剋上球児」で“令和のキムタク”になりそうなイケメン俳優は?
 2019年のドラマ、「3年A組-今から皆さんは、人質です」(日本テレビ系)を覚えていますか?  菅田将暉が教師役...
「らんまん」のデジャヴ? ヤバ藤化するダンサーの中山、秋山逃げて~
 内緒の話があると松永(新納慎也)から呼び出されたスズ子(趣里)は、梅丸のライバルである日宝に一緒に移籍しないかと誘われ...
桧山珠美 2023-11-14 16:15 エンタメ
木下優樹菜から迸るガチヤンキー魂!前言撤回、TV再登場するタチの悪さ
木下優樹菜様(元タレント・35歳)  やっぱりユッキーナ(木下優樹菜)様のヤンキー魂には惚れ惚れしてしまいます。 ...
堺屋大地 2023-11-14 06:00 エンタメ
市川染五郎は眉毛、堅あげポテト、ラ・マンチャの男なくしては語れない
 先日、歌舞伎で「ルパン三世」をやることが報じられました。題して、新作歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」。  ルパ...
上原多香子は不倫を繰り返す“恋愛単発ドラマ”の女王!続編不要体質の業
上原多香子様(女優、美容家・40歳)  元SPEEDの上原多香子様は、あまり役者業のイメージはないと思いますが、す...
堺屋大地 2023-11-14 16:23 エンタメ
スズ子覚醒!茨田りつ子(菊地凛子)と渋谷のり子の表情がオーバラップ
 歌うコツを掴んだスズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)とのレッスンを続け、その歌声はぐんと熱を帯びてきていた。  ...
桧山珠美 2023-11-10 14:30 エンタメ
“おぼこ娘2人”の初々しい恋バナ! つよぽん演じる羽鳥は「まさに笑う鬼」
 スズ子(趣里)と羽鳥善一(草彅剛)の厳しいレッスンは相変わらず続いている。しかし、羽鳥はスズ子の歌に相変わらず満足しな...
桧山珠美 2023-11-09 15:46 エンタメ
BLACKPINKの再契約なるか?「7年目のジンクス」結末に4つのシナリオ
 世界的なK‐POPブームの昨今。「コクハク」読者の中にも、K-POPにハマっている方も多いのではないでしょうか? ...
2023-11-09 06:00 エンタメ