「自然体の演技」を自然にこなす 夏帆の「普通」でいられる魅力

更新日:2025-11-02 17:03
投稿日:2025-11-02 17:00

【今週グサッときた名言珍言】

「自分の中で『ご褒美仕事』って呼ばせていただいてるんですけど」
(夏帆/TBS系「A-Studio+」10月17日放送)

  ◇  ◇  ◇

「silent」(フジテレビ系)や「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)、そして現在では「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系)と次々と話題作に出演し、好演を続けている夏帆(34)。そんな彼女は前述の「ブラッシュアップライフ」を筆頭に、バカリズム脚本ドラマに数多く出演している。

 そのバカリズム脚本ドラマを評した一言が今週の言葉だ。台本に書かれているセリフを言っただけで自然な会話になるため、「自分がすごくお芝居がうまくなった気持ちになる」という。

 一方、バカリズムも冒頭の番組で夏帆を「勘がいい」と評す。「行き過ぎるとサムくもなるし、コントっぽくなってしまう。そこのラインを読む力がある」と。それが養われたのはバカリズムが脚本・主演も務めた「架空OL日記」(日本テレビ系)で共演し、本人の芝居を間近で見られたからではないかと夏帆は振り返る。

 バカリズムは自分が脚本を書くとき、長ゼリフは書かないようにしていると言っている。「だいたい、それを割るようにしてるんです。途中に相づちを入れたり。役者さんって、相づちに関してもちゃんと文字に起こして入れないと、読んでくれない」(毎日放送「ごぶごぶ」2021年1月19日)と、通常の脚本では省略されがちな相づちを細かく入れることで会話のリアリティーを生んでいるのだ。

「ブラッシュアップライフ」で夏帆は役作りはしなかったという。「逆に言えば、もしかしたらそれが役作りになるのかもしれないというくらいで」(「リアルサウンド」23年2月5日)と。脚本を読んだ時点では「没個性」だと思っていたが、実際に演じてみると自然と個性が浮かび上がってきたそう。

 ところでバカリズムは「僕の脚本するドラマに出てる人はみんな良い人なんです。人気よりも人柄で選んでるから」「現場の空気があるから。そこは絶対条件」(ニッポン放送「バカリズム ザ・ラジオショー」25年3月25日)と語っている。

 実は夏帆は20代前半の頃は、自分と向き合って心を閉ざしていた「鎖国時代」があったと冒頭の番組で明かしている。だが、ある時期を境にオープンマインドになった。同世代の「戦友」仲野太賀は、そのきっかけが「徹夜で『桃鉄』をやった日」ではないかと同じ番組で語っていた。司会の笑福亭鶴瓶も夏帆の魅力を「普通」であることだと言う。

 それはとても難しいことだが、だからこそ「自然体の演技」が自然風ではなく、ちゃんと自然にできるのだ。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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