「普通が得する時代に…」キラキラネーム世代が陥る“名付け疲れ”。唯一無二の名前=愛の証だった時代の功罪

おがわん ライター
更新日:2025-11-12 11:45
投稿日:2025-11-12 11:45

キラキラネーム全盛期世代が陥る「名付け疲れ」

 一方、別の母親・聡美さん(43)は逆の後悔をしている。

 息子に「太一」と名付けたが、当時は「地味すぎる」「古い」と言われたそうだ。

「でも今は“落ち着いてていい名前だね”って褒められるんですよ。皮肉なもので、流行を追わなかったほうが結果的に“普通で得する”時代になっちゃった」

 キラキラネーム全盛期を経験した親世代が、今“名付け疲れ”を感じている。

 最近の出生届ランキングでは、響きや漢字が落ち着いた名前が再び上位に戻ってきた。

「湊」「芽衣」「葵」「結菜」──読めて、書けて、呼びやすい名前。

“オンリーワン”ではなく、“ちょうどいい普通”を求める流れだ。

 背景には、SNS時代の「名前の可視化」がある。

 子どもが生まれた瞬間から、名前は検索可能な“個人情報”になった。

 誰でも調べられ、簡単に晒され、ネタにされる。

 そんな中で、“目立つ名前”はリスクでもあると感じる親が増えている。

親の無意識の欲望が子どもにハンデを

 名付けは本来、愛情の象徴だ。

 だが、2000年代の名付けブームでは、それが“親の自己表現”の一部になっていた。

「他と違う名前をつけたい」「SNSで褒められたい」──そんな無意識の欲望が、子どもに“背負うハンデ”を与えてしまった。

 一方で、名前の多様性を否定するのも違う。

 キラキラネームがあったからこそ、“読めない名前”に対する社会の許容度も少しずつ広がった。

“個性”という言葉を、名前だけでなく生き方で表現する時代に変わってきたのだ。

名付けに正解はない

 麻衣さんは、娘の成人式のときに言ったという。

「名前のせいでつらい思いをさせたかもしれない。でも、“光璃”って名前は、どんな時も自分の光を持てるようにって願いを込めたの。そこだけは本当」

 娘は少し笑って、「それなら許す」と返した。

 時代が変われば、“キラキラ”も“シワシワ”も、また違う意味を持つ。

 名付けに正解なんてない。

 ただ、ひとつ言えるのは──“オンリーワン”を狙うより、“その子が生きやすい名前”を選ぶことこそが、いちばんの愛情なのかもしれない。

おがわん
記事一覧
ライター
かつてちょっとだけ芸能の世界に所属。現在は縁あって、雑誌やWebメディアなどでライターとして活動中。エンタメ系から日常ネタまで、気になるあれこれを取材。楽しく読んでもらえる文章を目指して、日々ゆるっと執筆中です。

ライフスタイル 新着一覧


推しメンを見つけよう! 実りの秋にたわわな“たまたま”9連発
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 10月にご紹介したもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たま...
若手のやる気を奪う「新型パワハラ」とは? 気づかないうちにやりがちな注意点5つ
 上司から部下に強い態度をとる「パワハラ」は有名ですが、実は今「新型パワハラ」と呼ばれる新しいワードが話題になっています...
ねこの学校の給食タイムに潜入♡ ごきげんシッポで“たまたま”チャンス
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
少し風が吹いて欲しいと思う夕暮れ時
今年も残すところ2カ月。 新しい風、起こせたかな。
【女偏の漢字シリーズ】「女偏+眉」と「態」を合わせた二字熟語、意味と読み方は?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「昔はモデルやってたんだ」へぇそうですか。嘘ばかりつく女をやり込めた胸スカLINE3選
 世間には、どうしてもマウントを取りたくなって嘘ばかりつく女性がいるもの。とくに、日常的にLINEなどで嘘をつかれるとと...
上垣皓太朗アナのフジ先輩らによる容姿いじりが大炎上。職場や友人間のいじめといじり、境界線は?
 今年4月にフジテレビに入社した上垣皓太朗アナ(23)に対する先輩たちのいじりを収めた動画が炎上した件。7月にアップされ...
いるよねー、グループLINEで会話を止めてしまう人。あるあるでモヤモヤを共感して欲しい!
 大人数での会話では、みんなが楽しく話せるように空気を読んだり、流れを止めない気遣いが大切ですよね。  でもよくい...
40女“ダラダラ家飲み”卒業の3つのコツ。風呂上がりのビールよ、さらば!
 思うところありまして、家飲みを控えております。夏の暑さを言い訳に、家でもビールをダラダラ飲みまくった結果、下腹が過去最...
深まる秋にピッタリ! “たまたま”の後ろ姿にただよう漢の哀愁
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
年上? 給料高い? それでも尊敬できない先輩のタイプ6選。雑談は恋バナオンリーってJKかよ!
 職場で頼りにする相手といえば、やはり先輩。上司よりも身近な存在で自分よりも人生経験と社会人経験が長い先輩は、憧れの対象...
「旦那死ぬよ!」住職から叱られて以来、大事な“トイレの掃除”。運気アゲアゲ狙うなら「水回り」が狙い目
「どうやったら幸せになれるのか」その方法を探してしまうのが悲しいかな、人間の性でございます。
妻のわざと誤爆LINE6連発。モチロン確信犯です、浮気夫もウザい義母もお黙りっ!
 LINEを巧みに使って夫や姑ににわざと誤爆LINEを送り、関係を上手にコントロールする妻が増えているようです…! ...
政治家とは無縁の人生を送ってきたが、「ポンコツ」って⼈気者なのか?
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
“小1宿題あるある”6選。お願いだから、タブレットは丁寧に扱ってー!
 小学校に入学したての頃、はじめての宿題でとんでもないミスをする我が子(笑)。この時期にしか見られないあるあるに思わずほ...
「低気圧と月と更年期」が連動? 天気頭痛とは無縁で、おばさんに仕上がったけれど…
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...