月吹友香さん<後>41歳専業主婦が小説家を目指して見えたもの

コクハク編集部
更新日:2019-10-18 06:00
投稿日:2019-10-18 06:00
 第18回(2019年度)「女による女のためのR-18文学賞」(※)の大賞受賞作「赤い星々は沈まない」は老女の性を大きな軸に描かれています。前編に続き、著者の月吹友香さん(41)に話を聞きます。

夫は子育て中の私を女として見られなかった

 女流作家が赤裸々な性愛をテーマとした小説で文壇にセンセーショナルを巻き起こしたのは、瀬戸内寂聴の「花芯」が最初でしょうか。1957年に新進作家・瀬戸内晴美として発表し「新潮同人雑誌賞」を受賞。ただし当時は「子宮作家」と痛烈な批判も浴びています。あれから半世紀が経ち、書く人も読む人も“女性限定”というR-18文学賞は百花繚乱の賑わいを見せています。

――物語の舞台は大阪にある老人介護施設。透け透けのネグリジェ姿で老男を夜這いする性に貪欲な75歳の女性を描いていますが、アラフォー看護師・ミサが直面するセックスレスもテーマのひとつですね。

女は複雑な生き物

月吹 私自身はミサのように赤い下着で旦那を誘惑したことはないのですが(苦笑)、セックスレスの経験はあります。お風呂上がりに裸で走り回る子供たちを自分も裸で追いかけたり、まだ歩き始めで目が離せない時はトイレのドアも開けたまま用を足すのが日常で、裸=セクシーだなんて思っていられない時期がありました。夫は私を女として見られなかったでしょうし、私もそれどころではありませんでしたね。

――日本人夫婦の多くがそう感じているのではないでしょうか。同棲中や既婚カップルの46.8%がセックスレス(月イチの性交渉無し)というデータは、もはや驚くものではありません。

月吹 そうですね。でも、物事は、そう簡単に割り切れるものではありません。むしろ女は複雑な生き物だから、そのまま女として終わっていくことに寂しさを感じずにはいられない。子育て中だからと自身で恥じらいを放棄しておきながらも、この先、誰にも求められることなく死んでゆくのかなと悩んだ時期もあります。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ライフスタイル 新着一覧


「写ルンです」が流行る若者のレトロブームは、何を写しているのか
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
寂しがる親との距離感、よい解決策は?大人になるほど複雑に
 みなさんは、親との距離感って考えながら付き合っていますか? ベタベタしすぎず、ドライすぎず、お互いを尊重し合えるのが理...
親ガチャにハズレた! 5つの苦い思い出とそこから一歩を踏み出す方法
 生まれる時、私たちは親を選べません。どんな親のもとに生まれるかは、ガチャガチャのごとく運次第。  大人になるにつれ「...
何が起こった? 街にあふれる人に少し違和感を抱いて
 いつも、穏やかな参道にただようちょっと物々しい雰囲気。  何があったかは分からないけど、思わずカメラを構えた。 ...
40女開運が気になるお年頃!金運UP「雑誌付録の財布」どう活用する?
 今回ご紹介する雑誌付録は、人気キャラ「マムアン」のインテリアBOXとフォーチュンアドバイザー・イヴルルド遙華さん監修の...
キッチンに馴染む 無印良品の「真っ白な消火器」買いました
 突然冷え込んで、一気に冬っぽくなってきました。この時期になると我が家の近所では見回りの小さな消防車が「カンカン」と音を...
ニャルソック発動中!カメラバックに夢中な“たまたま”の後姿
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
花にも高温の後遺症!パンジービオラ「茎がビローン」をバッサリde解消
 いきなりの寒さです。猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、まぁまぁ暖地の神奈川にございますが、ここにきて例年通りの...
モテないのは「太ったから」ってさぁ 女友達の素直すぎるLINEにグサッ
 自分にも人にも素直な人は魅力的ですよね。言葉に計算や嫌味が隠れていないため、付き合いやすく感じるはずです。 ...
なぜ独身女性は性格に難ありと思われるの? “訳あり女”回避に大事なこと
「いいトシして独身の女性は性格に難あり」なんて言葉を聞くことがありますよね。独身の女性は「私も周りからそんな風に思われて...
すべてはそこから 人も食べ物も「相手を知る」と好きになる
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
子供も自分も波風立てずに守りたい! モンペア級要注意ママ友の見分け方
 子育て中はママ友との付き合いは少なからず避けられません。もちろん、気の合う人もいるでしょうが、中には要注意人物やモンス...
発達障害疑惑の長男が知能テストで高得点…医師の診断に母の心は晴れない
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
戦いごっこの兄弟を激写!純白のツー“たまたま”はまさにお宝
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
マウント地獄は住んでから…ゴミ捨て顔作りは当然!タワマン住民あるある
 華やかなイメージのあるタワマン生活。誰よりも高い場所から街の景色を見下ろせるのだから、とてもいい気分だろうなと想像して...
生活感がない世界が一閃切り開かれる瞬間をみた
 生活感がない世界が一閃切り開かれるよう。  巨大な建築物と、血管のように張り巡らされた路線と、時間に正確な鉄道と...