生活が楽しくなる! 介護士が案内する介護施設のメリット3つ

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-12-04 06:00
投稿日:2019-12-04 06:00

 介護施設について、「介護のプロが集まっているから大丈夫」と考えてもらえることは、私たち介護士にとってすごく嬉しいことです。しかし、入居される人の中には介護施設での暮らしを「居心地がいい」と思えない人がいるのも事実です。

 今回は「介護施設に入ると、こんな良いところがある」ということを、介護士をしていた筆者が独自の観点で語ります。まずは、手始めに介護施設でのメリットを紹介しましょう。リアルな施設暮らしが、きっと想像できると思いますよ。

介護施設で得られる3つのメリット

 家族などの介護者サイドから見れば、介護施設の大きなメリットは「介護の担い手が増えること」でしょう。プロと呼ばれる人たちに生活のほとんどを任せることができるので、安心することができます。しかし、高齢者からみる本当のメリットは、私たち健常者が思うことと違うところにあることも少なくありません。そこで、当事者の立場に立った介護施設のメリットをシェアしましょう。

1. 生活がしやすくなる

 多くの場合、介護施設では生活がしやすくなります。特に高齢者の場合は足元がおぼつかない方も多く、家族が「運動になるから」と一戸建ての階段を昇らせている時に低血圧などでフラつき転倒してしまうなどのケースも多く存在します。

 一般的な戸建ての場合は、二階と一階を行き来することで生活が成り立つケースがほとんどでしょう。しかし、玄関先などの少しの段差でも、車椅子や足腰が弱くなってしまった人には厳しいものです。

 また、車椅子の場合、一般的な家庭では廊下を通ることもままなりません。その点、介護施設ではバリアフリー環境が整っていますし、車椅子でもその人らしく自由に動けるのがメリットの1つだと思います。

2. 交流が増える

 突然ですが、あなたの幼少期を思い出してみてください。小学校や中学校時代には、毎年のように新しい友達ができていたでしょう。それは、自分が幼かったからなのでしょうか?いえ、きっと大人になった今でも同年代で上下関係がない人間関係のなかに身を置いたら、新しい友達と自然と交流し始めるのではないかと思います。

 友達を増やしたり交流を増やすには、環境を変えることが一番。介護施設は同じような年代が集まるため、会話が生まれやすくなります。他人と交流を持つと脳が活性化されますし、話すことは口元のトレーニングにもなります。一人で家にこもっている暮らしより、刺激的な毎日になるでしょう。

介護施設に入って生活が楽しくなった

3. 常に人の目がある

 どんなに元気な高齢者でも、常に人の目がある状況は安心できるはずです。子育て中の主婦や仕事に忙しい独身の人ほど「四六時中、誰かと一緒にいるなんてキツイのではないか?」と思うかもしれませんが、高齢者のいう「一人」は「孤独」であり、私たちが想像する暮らしとは全く異なります。

 夫にも先立たれ、息子も家庭を持ち子育て真っ最中となると、遠方であるほど遊びに来ることも少なくなるでしょう。近所に友達もおらず、習い事などもしていない高齢者は、本当に誰とも会話をすることなくその日が終わるのです。

 それを繰り返す日々は、恐怖の連続です。分からないことがあっても誰にも聞けない。悩みを打ち明ける相手もいない。くだらないことを笑い合う生活がない。以前「一人で気分転換に出かけることも大変」と言っていた高齢者の女性は、「介護施設に入って生活が楽しくなった」と話していました。

 私たちは誰かが帰ってきてくれるから、誰かと話すことがあるから、「一人になりたい」と思います。しかし、高齢者の場合には「倒れたら誰にも見つけてもらえないかもしれない」という心配が頭をよぎり、不安になってしまうのでしょう。だからこそ、常に人の目がある介護施設で胸をなでおろす人も多いのです。

介護施設に入るときは自分の性格も考慮しよう

 介護施設に入る時は、費用や家族の面会のしやすさといった家族にとってのメリットを一番に考えてしまう人が多いです。しかし、その介護施設に入って実際に生活をするのは高齢者本人。施設見学の前に「どんな暮らしにしたいのか」など、あらかじめ本人の希望を紙にメモしておくと混乱を防ぐことができるでしょう。介護施設ならではの生活は、きっと楽しいものになるはずですよ。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

ライフスタイル 新着一覧


都会の真ん中の運河、聞こえてきたのは… 2023.7.31(月)
 都会の真ん中の運河、力強い生命力を振りまく。 「つつましやかになんてな、こっちの世界じゃ通用しないんだよ」 ...
ガラステーブル買っちゃう?  “たまたま”の夏を満喫できるよ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
落ち込んでる人への「ひと言」に悩んだら…心に染みたLINE3選を参考に
 目の前に落ち込んでる人がいると、どんな言葉をかけていいか迷ってしまう時がありますよね。もしも迷ったら、自分が過去にかけ...
「いま一番欲しいもの」を即答できる? 2023.7.30(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
動物&飼い主のほっこり癒し漫画/第54回「真夏のシンジツ」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
「売れ残り」って心が折れた…思春期の甥&姪からの切ないLINE3選
 甥や姪が可愛くて仕方ない人は多いでしょう。兄弟姉妹の子供って、特別ですよね。小さい時から見ている人も多く、中にはかなり...
「偽善者か?」歌舞伎町の野良猫に2年間、毎日ご飯をあげ続けた男性の話
「かわいくないんですよ~(笑)。『なんだよ』って文句しか言っていない。好き嫌いは多いし、忙しいときに限って、ご飯を食べて...
小汚いサンダルをやめた女性の成功話!メイクや髪形より「キレイな靴」
 みなさんは“人の足元”って気にして見るほうですか? 私は靴が好きなのもあって、よく見ているほうだと思います。ただし、自...
真夏を彩る花 2023.7.28(金)
 こうも暑いとゲンナリするけど、むしろ過酷な状況を楽しむかのように咲く。  逆境でがんばる花のたくましさに驚く。 ...
皆が皆、社交的ではないよね…懇親会が苦手な人が“極力疲れない”対処法
 会社員だと避けて通れないものの一つが「懇親会」。参加人数が多かったり、他部署と交流をしないといけなかったりと、「正直疲...
対応ミスると悲惨! お盆の義実家トラブル5つの地雷&回避術
 お盆も間近! 義実家への帰省が憂うつという奥様は、あなただけではありません。気を使っているつもりでも、義両親を怒らせて...
華やか! チャトラ軍団のウキウキ上機嫌“たまたま”が大集合
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
手芸初心者が挑戦!思い出の子供服をくるみボタンに 2023.7.27(木)
 子供の思い出の服を手もとに置いておきたいけど、かさばる物は増やしたくない。子育て中のママやパパには地味に悩ましい問題。...
マジで使える! 夏に強い切り花と長持ちさせる秘訣を“開運花屋”が解説
 今夏の暑さは「暑い」より「痛い」の方がしっくりくる感じがいたします。更年期ど真ん中のワタクシ、本当にシビれますわ。 ...
費用0円!「いま暇?」LINEに付き合ってくれる“神友”との暇つぶし3選
 暇で退屈な時に、暇つぶしに付き合ってくれそうな気の知れた友達に「いま暇?」とLINEを送ってしまうこと、ありますよね(...
美術館で「名画の習作」から教えられたこと 2023.7.26(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...