欅坂46脱退・平手が唱え続けた“みんなで欅”…欅魂の継承<前>

こじらぶ ライター
更新日:2020-01-29 16:24
投稿日:2020-01-27 17:05

年末のレコ大「黒い羊」とNHK紅白「不協和音」

田村らメンバーに支えられ紅白で会心のパフォーマンスを見せた平手(C)日刊ゲンダイ
田村らメンバーに支えられ紅白で会心のパフォーマンスを見せた平手 (C)日刊ゲンダイ

 そんな平手の後輩に何か伝えようという姿勢は着実に田村に届いていた。欅坂46のスローガン、「謙虚、優しさ、絆」、それを平手が見せる姿から受け継いでいた田村。昨年9月の東京ドーム公演前には先輩の平手に支えられる側だったはずの田村が、たった3カ月後の年末の音楽特番出演ラッシュ時では早くも、心身共に平手を支える献身性を見せていた。

「不協和音」に限らず、多くの楽曲で主人公を憑依させてパフォーマンスする平手は常人の想像を絶する心身の消耗を要する。年末に披露された曲も例外ではなく、ライブやテレビ番組で長く封印されてきたものばかりだった。

 平手は連日の全力パフォーマンス披露でよほど消耗したのか、29日、30日の第70回NHK紅白歌合戦リハでは本調子でない様子の彼女を田村が支え立ち上がるのを介助していたことが各ネットニュースで伝えられた。

 30日夜のレコ大(第61回輝く!日本レコード大賞)では「黒い羊」の披露後、新国立劇場(東京・渋谷区)で観覧していたファンからの目撃情報として、大賞発表を待つ観客席側の座席まで平手は田村と、同じく二期生松田里奈に支えられながら2人に挟まれる形で着席していたとのツイートがあった。

 テレビ画面にも田村が自身の膝の上で平手の手を握り続ける様子が映っていた。横に座る平手は全身脱力したような表情だったが、先輩として、グループのエースとして、〈魂を削っても全てを出し切る姿勢〉を田村たち後輩に示していた。

 そして、大みそかの紅白本番、平手は連日の体調不良を心配する報道を払拭するように力強く会心の不協和音のパフォーマンスを見せた。

始まりから終わりまで平手を支え続けた田村

「不協和音」の“僕”から田村の手を握り返し“平手友梨奈”に戻る瞬間(C)日刊ゲンダイ
「不協和音」の“僕”から田村の手を握り返し“平手友梨奈”に戻る瞬間 (C)日刊ゲンダイ

 曲の主人公に憑依し途中からゾーンに入り込み狂気にも似た不敵な笑みを浮かべ、最後のポーズではおおよそ女アイドルとは思えない表情でカメラを睨み付けながら冷笑する平手……。田村は真後ろから平手の肩に手を添え、平手もその手を両手で優しく包み返した。

 その瞬間、スッと不協和音の「僕」から「平手友梨奈」に戻った彼女がか細く「ありがとうございました」という口の動きを見せると、即座に田村は平手が慢性的に痛めているであろう腰をさすり、総合司会・内村光良氏の「良くやった! 素晴らしかった! 新不協和音だ!!」という締めの叫びを受け、笑顔で平手の頭をポンポンする姿が映し出された。

 この日もNHKホールで観覧したファンからは出番前に平手が田村に肩を借りながら入場したことがレポートされ、始まりから終わりまで平手を支え続けていたことがうかがえる。

 その後、欅坂46公式Twitterでは年越し後のメンバーの姿が投稿されていたが、一期生石森虹花と小林由依の横で、平手は派手な三角帽子を被りながら、クラッカーから放たれたであろう幾重ものテープのクズを田村の頭に乗せる"装飾"をしてあげ、田村もそれを満面の笑顔で受け入れている楽しそうな様子が見られた。

 今年1月4日付の一期生・齋藤冬優花のブログには、その紅白終了後の年越しの瞬間の画像がアップされている。

 一期&二期メンバー皆が一列になり、手を繋いでジャンプをして昨年から年を跨いだその瞬間。画像はボカシが入ってはっきりと顔面は確認できないが、前述の石森、小林、田村、平手の立ち位置と衣装から、平手は田村と手を繋いで怒涛の2019年を、そして結成から4年半の欅坂46としての活動を締め括ったことが分かる。いかに先輩後輩の垣根なく平手と田村が信頼し合っていたかが伺える瞬間だった。

 次回は引き続き、平手が後輩たちに見せ続けた“欅魂”の継承と、それに応えた二期生の奮闘ぶりについてお伝えする。

こじらぶ
記事一覧
ライター
ジャニーズ、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ