これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。
「振り出しに戻る」どころか「悪化」していた
快方に向かっていたバセドウ病がじわじわと悪化している検査結果をつきつけられ、途方に暮れた私。
医師からの最初の言葉は「大変失礼ですが、薬はちゃんと言われたとおりに飲んでいますか?」でした。
「はい。朝晩、言われたとおりに飲んでいます」と私。
「そうですか、では少し薬を増やします。今までの朝晩に加えて、昼も飲むようにしてください」とドクター。
せっかく順調に進んでいたのに、ここへきて「振り出しに戻る」どころか「悪化」と言える状況に。再燃したバセドウ病は、初発のときよりもさまざまな症状で私を苦しめることになりました。
さまざまな症状を訴えても…
「先生、近ごろ食欲が減ってしまい、胃がいつもキリキリ痛くて気分も悪いです。食べても食べ物の味もしません。
あと皮膚もかゆかったり、なんとなく胸が痛んだり。
それから、甲状腺が大きくなってしまったからか、首もとがさらに苦しくて、息苦しさが増しています。それにときどき、手の痺れもあって……」
「再燃は、最初のときより症状が重くなる人も多いんですよね。いろいろ出ていますね。
運動は徹底的に控え、仕事もできるだけ軽くして、なるべく休養してください。お風呂も、負担が大きいので、短めにしてくださいね。
薬を増やしますから、しばらくしたら落ち着いてくるはずです」
さまざまな症状に苦しめられ始めていたものの、基本的に投薬はバセドウ病の治療に使用しているプロパジールとヨウカカリウム丸のみ。
というのも、バセドウ病患者の場合、甲状腺への影響を考え、使える薬が限られるのだそうです。
病院と自宅の往復だけでぐったり
あまり知られていませんが、バセドウ病など甲状腺疾患がある人は、使える市販薬もかなり限られています。
ドラッグストアなどで買う医薬品の多くには、パッケージに「甲状腺疾患のある方は医師に相談してください」と書いてあるものが多いです。
そのためバセドウ病の治療中には、風邪をひいても飲める市販薬が少なく、そのたびにかかりつけに行って、処方箋を出してもらっていました。
さて、バセドウ病の再燃に、ひとまず投薬量を増やして対応することになったのですが、その日、診察からタクシーで自宅に戻るだけでも、ぐったりするほど体力も奪われてきていました。
そしてさらに、次回の診察までの1カ月の間に、耐えがたい不調が増えていくのです。
次回に続きます。
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