親に従順な娘が陥ったモラハラの連鎖…優紀さんのケース#1

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-03-15 06:00
投稿日:2020-03-15 06:00
 一度洗脳にあった人は、洗脳が解けてもまた別の洗脳にかかりやすいと言われます。
 同じことがモラハラの被害にあいやすい人にも言えるかもしれません。カルト的な宗教を脱退してまた別のカルトに入信する人がいるように、親の考えを過度に押しつけられて従順に育った人は、支配的な恋人や夫に束縛されやすいのです。
 公務員の両親から“間違いのない子に”育てられた優紀さんが親に黙って好きなことをしたのは、大学進学で親元を離れてからでした。

実家を離れた女子大生が知った生活の厳しさとバイトの現実

 大学生活がはじまって驚いたのは、予想していた以上にお金がかかることでした。

 学費に家賃に生活費、仕送りとコンビニのバイトだけではギリギリの生活しかできません。前期試験が終わり夏休みが近づいても、遊ぶお金はないし、実家に帰省する旅費ももったいないし、バイトをふやそうかな…と悩んでいたときのことです。

 みんなはお金あるんだなあ、と思っていた優紀さんは、ある日、クラスメートからピアノバーでバイトしていると打ち明けられました。

見るだけのつもりだった高額バイト募集

「ネイルや洋服、お金かかるもん。キャバぐらい普通だよ。ギャラ飲みやパパ活やってる子もいるよ」

 と聞いて、たしかに大学に入ってから買った洋服はTシャツだけだ、と気がつきました。

「そうなんだ~、私はムリそうだけど……」と言ったものの、寝る前にスマホで「高収入」バイトの募集をのぞいてしまいました。

 水商売に風俗にグラビアモデルにAV女優、“体験入店”だの“今ならお祝い金○万円”だの、田舎の両親が見たら卒倒しそうな言葉が躍っています。

 自分には縁のない世界だ、とスマホを閉じかけた優紀さんですが、ある募集広告に目を引かれて思わず手が止まりました。

あこがれの世界への入り口を見つけて

 それは「アート写真限定、撮影練習用モデル募集」という、ちょっと変わった募集広告でした。

 もともと芸術写真を見るのが好きで、美学の授業も専攻している優紀さんは魅力を感じました。

 アダルト撮影ではないこと、手や足だけのパーツ撮影もあること、などがくわしく書かれています。田舎にいたときから、「優紀は手足が長くて外国人みたいにすらっとしているね」と言われていたことを思い出しました。

 アート写真なら被写体になってみたい、あこがれの世界に接してみたい、と思いましたが怖いのは親バレです。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


65歳の男が「完璧な人間=幸せ」じゃないと気づいた瞬間。やっぱり人間は好きなことでしか頑張れない
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
スナックで見た! 実際にあった“ホステス同士”の陰湿なバトル「京都の女、嫌いなんだよねー」にヒヤッ…
 夜の世界を描いたドラマや漫画、きっとみなさんも一度は見たことありますよね。  その中に出てくる女同士のケンカって...
“毒親”に我慢しないで。酒で暴力、友人と肉体関係…絶縁を決意した5人のエピソード
 実の親子であっても分かり合えなかったり、親に苦しめられたりする人もいるもの。場合によっては、縁を切る選択がふさわしいケ...
賃貸の壁、将来の不安…独女が「ひとりで生きていく」ってどうすれば? これからの“住まい”を考える
「アラフィフ独女、51歳、フリーランス」この3点セットで生きていると、ふとした瞬間に「このまま、ひとりで歳を重ねていくの...
41.8度だってよ! 暑すぎて働けない…夏のやる気ゼロ→私がモチベUPできた対処法4つ
 夏本番。朝から照りつける日差し、ムワッとした湿気、汗が止まらない毎日…。そんな中で「今日も仕事か…無理かも」と思ってし...
ゴクリ…日本最大級“にゃんたま”様に出会ってしまった。撮影困難な生きる伝説にひれ伏す!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
大切な“お盆”は何を供える? 花屋がオススメする4選。ホオズキにはご先祖様を導く願いが
 もうすぐお盆がやって参ります。  お盆の時期は地方によって7月か8月に分かれますが、お盆とは、仏教でいうところの...
中年の会話は「あれ、あれ」のオンパレード。それでも“物忘れ”は悪くないと感じた女同士のとある会話
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
この夏「帰省しない」派は4割。理由は“夫の態度”にある? 妻が悩む2つのケース
 大型連休になると訪れるイベント、“義実家への帰省”。せっかくのお休みなのに、「帰省のことを考えるだけで憂鬱」という声は...
1時間の「孫を見せて~」攻撃がキツ…。電話魔の義母に妻がついた“大胆なウソ”
 令和を迎えた今の時代にも、姑の行動に深刻な不快感を示す妻もチラホラ…。一方、激しい対立をするほどの事柄ではなくても妻が...
神か? タクシーが来ず大ピンチ→おばちゃん登場! 25歳の女性が海外で救われた話
 日本とは違った体験や景色が味わえる、それが海外旅行の魅力。しかし、その“違い”が思わぬトラブルを呼ぶこともあるんです。...
【芸能クイズ】ある“美人女優”の発言、兄の恋人に「お前が挨拶しろよ」と言ったのは誰でしょう?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
90分間、尿意と戦った女性の悲劇。どこも“使用不可”…我慢できるか!? 日本と違う海外のトイレ事情
 日本とは違った体験や景色が味わえる、それが海外旅行の魅力。しかし、その“違い”が思わぬトラブルを呼ぶこともあるんです。...
島のスター!にゃんたま「小虎」に密着。その視線の先には何があるの?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
職場での“ため息”が気になる…かまってちゃん? SOSのサイン? 心理状態と空気を乱さない対処法
 職場で後輩がたびたびため息をついていると、「大丈夫かな?」と気になったり、「職場の空気が悪くなる…」とモヤモヤしたりし...
「どうにかなる!」自己肯定感つよつよ女の口癖8つ。根拠のない自信はどこから?
 自分の存在や状況、感情を認めてあげられる自己肯定感が高い人は、明るく前向きですよね。そんな人が羨ましくて「私もそうなり...