なぜ? 欅坂46活動4年で長濱・平手ら卒業、脱退続出の理由

こじらぶ ライター
更新日:2020-04-23 16:52
投稿日:2020-04-18 06:00

【その2】“独自路線”ゆえのジレンマ

 グループの“独自路線”にいたっては、欅坂46は秋元系に限らず、女性アイドル、いや男性アイドルも含め、既存のアイドル像を覆しアーティスティックな路線に傾倒していった。

 欅坂46の曲の主人公は大人に、社会に、反抗的なメッセージを突きつけた。ときに、孤独や絶望を憂い、悲鳴を上げ、もろさをさらけ出してきた。

 今までになかったそのスタイルに多くの若者が共感した。同じ気持ちで寄り添ってくれるような、一緒に闘ってくれるような存在に感じられたからだろう。

 だが発信する側は、繰り返すが、素人同然の10代を中心とした女の子たちの寄せ集めだった。大人によって書かれた、大人や社会への反抗ソングを、14歳だったセンター平手を中心に一枚岩で、魂を削りながら表現してきた。

 激しいメッセージソングにふさわしいようパフォーマンスもどんどん高度で身体への負担も大きいものになっていった。彼女たちはエネルギーを放出する一方だった。

デビューから一貫して1期生が表題曲を担当

 そして先輩グループが2期生、3期生を加え、表題曲ごとにメンバーの交代が起こる選抜制度を取りながらブレークへ歩んでいったのに対し、欅坂46はデビューから4年間、表題曲は1期生のみで担当し続け、休む間が無かった。

 加えていきなりの大ブレークによって世間の注目、期待というプレッシャーを浴び続ける一方で、突然人気者となった異端児はアンチのターゲットにもなりやすかった。

 筆者はこれまで、平手の脱退長濱の卒業についてはそうした要因が重なって心身の限界が原因であろうと考察してきた。平手は明らかに心身共に満身創痍であったし、長濱は自身の卒業イベントで“放電し続け空っぽになった”、“人前に出ることから距離を置きたい”という旨を発言していた。

 休業に入った佐藤も慢性的に足のケガを患っていた。また鈴本も卒業にあたって“パフォーマンスすることにおいて、心と体が追いつかなくなった”と自身のブログで正直に打ち明けている。

燃え尽き症候群の可能性

 以上の“スピード出世”と“独自路線”、2つの観点を総合的に加味すると、欅坂46の多くの1期生はある種、燃え尽き症候群に近いものを抱えてしまったのではないかと推察する。

 デビューから全力で駆け抜け、紅白、ミリオン、東京ドームと次々と偉業を達成した。日本レコード大賞も大賞受賞こそならなかったが、デビュー翌年から3年連続「優秀作品賞」を受賞。他にも多くの賞も受賞した。

 もし彼女たちがまだブレイクできていない段階なら、同じくらい心身がきつくても、あるいは別のやりたい道を見つけても、「まだアイドルとして成し遂げていないものがある」、と思いとどまったかもしれない。

 もし長い下積みを経てやっとつかんだ成功なら、その成功をしばらくは離したくないと思ったかもしれない。

 欅坂46の1期生はそのどちらにも当てはまらない。アイドルとしてほとんどのことは達成してしまった中、「もうここまで頑張ったから、次へ進もう」と気持ちが向くのも自然なことだろう。

 長濱は前述の卒業イベントでも欅坂46冠番組内でも“すべてやり切って、ひとつの後悔もありません”とも話していた。

 また、昨年1年を通じて当時加入したてだった2期生もライブや歌番組で十分、欅坂46の戦力となりうるまでに成長した。平手たちはそうなるように卒業、脱退前に全力で2期生に伝えられることを継承した。

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


恋はつらいものよ…愛助への想いが募るスズ子に麻里(市川実和子)の名言
 スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)の仲はすぐに広まり、羽鳥善一(草彅剛)や麻里(市川実和子)にもうわさについて追求される...
桧山珠美 2023-12-22 14:23 エンタメ
スズ子と愛助の恋路を妨害! メッセンジャー黒田のメッセンジャーぶり
 愛助(水上恒司)と坂口(黒田有)の話を聞いたスズ子(趣里)は、耐えきれずに部屋に押し入る。  ここで話をつけよう...
桧山珠美 2023-12-18 14:45 エンタメ
渡辺翔太が国宝級イケメンランキング初V!Snow Manはめめだけじゃない
 恒例の「ViVi国宝級イケメンランキング 2023年下半期」が発表されました。  NOW部門1位は、八木勇征(2...
スズ子と愛助「年の差恋愛」に障害…おでん屋台店主・伝蔵の台詞に注目
 愛助(水上恒司)から「恋人になってください」と言われ、スズ子(趣里)は「ちょっと考えさせてほしい」と答える。それ以来、...
桧山珠美 2023-12-16 06:00 エンタメ
手越祐也ポジティブのカラクリ、新曲は微妙も「アイドル」カバーはバズる
 ジャニーズ時代はNEWSに所属し、バラエティー番組でも活躍した手越祐也。退所後は“辞めジャニ”として主戦場をYouTu...
堺屋大地 2023-12-15 06:00 エンタメ
押しかけ暴走気味の愛助(水上恒司)とスズ子の恋もいよいよ
 神戸への巡業の帰り、スズ子(趣里)は久しぶりにはな湯を訪ねる。懐かしい常連客の面々に迎えられ、昔のように庭で話をする。...
桧山珠美 2023-12-13 14:25 エンタメ
水上恒司君臨!デビュー作「中学聖日記」から5年経っても年上好き♡
 昭和18年、アメリカとの戦争に終わりが見えない中、「福来スズ子とその楽団」は地方巡業を重ねていた。  スズ子(趣...
桧山珠美 2023-12-11 15:50 エンタメ
松下洸平は“最弱の目力”が魅力!ネトラレ役が似合う、時代が生んだスター
 松下洸平(36)の主成分は優しさです。現在、出演しているドラマ「いちばんすきな花」(フジテレビ系)を見ていてしみじみそ...
茨田りつ子がまさかの前座!? 「大空の弟」を歌いこなす趣里の表現力
 羽鳥善一(草彅剛)が企画した合同コンサートは、ブルースの女王・茨田りつ子(菊地凛子)とスウィングの女王・福来スズ子(趣...
桧山珠美 2023-12-07 14:30 エンタメ
「大空の弟」は聞き物、りつ子“むっつり顔”のチラシにNHKの芸の細かさ
 弟が戦死してスズ子(趣里)が落ち込んでいるのではないかと心配した羽鳥善一(草彅剛)は、食事でもしようとスズ子を自宅に誘...
桧山珠美 2023-12-06 15:20 エンタメ
「一、二、三、四、五」揃った楽団員名、余計に六郎の不在が際立つ
 役場の職員が梅吉(柳葉敏郎)の元を訪れて届けた報せには、六郎(黒崎煌代)が戦死したと記載されていた。  しばらく...
桧山珠美 2023-12-05 14:00 エンタメ
松嶋菜々子の誇らしげな語りに納得…イケオジ反町隆史を保持するお手柄感
「男の美しさは、肌に出る。」――資生堂「SHISEIDO MEN」のCMに出演する松嶋菜々子&反町隆史夫妻が話題です。 ...
櫻坂46異例の韓国人気賞1位!紅白復活&史上最多動員、大逆転なぜ起きた
 櫻坂46が11月25日および26日、千葉・ZOZOマリンスタジアムで「3rd YEAR ANNIVERSARY LIV...
こじらぶ 2023-12-02 06:00 エンタメ
歌わない福来スズ子はただの人…からの脱却!らしさ炸裂のパクった楽団名
 楽団が解散して数週間、スズ子(趣里)は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。そんな時、スズ子は大阪に戻ってこないか...
桧山珠美 2023-12-01 14:00 エンタメ
茨田りつ子の覚悟、ラスト3分の急展開!弟子入り志願者の名に一抹の不安
 警察から解放されたスズ子(趣里)は、三尺四方の中だけで自分の歌を表現するのは難しいと悩んでいた。  警察署で自身...
桧山珠美 2023-11-28 15:27 エンタメ
日中戦争の影響じわり、スズ子が「カカシみたいなワテ」になった
 スズ子(趣里)と梅吉(柳葉敏郎)が東京で一緒に暮らし始めて1年、梅吉は何をするわけでもなく酒を飲むだけの毎日を過ごして...
桧山珠美 2023-11-27 15:10 エンタメ