欅共和国2019 平手“生中継前ハプニング”を救った欅坂46の絆

こじらぶ ライター
更新日:2020-07-05 06:00
投稿日:2020-07-05 06:00

「あれ、てちがいない」ざわつく観客席に…

 2日目、VTR演出明けの17曲目「キミガイナイ」を境に平手がステージに現れなくなった(初日も同曲で平手の表情が曇り、うつむき、苦悶している姿を見ていた観客がいる)。

 観客席では「あれ、てち(=平手の愛称)いなくない?」とのざわつきが伝播したが、他メンバーが代理で急遽平手のポジションを埋めるでもなく、土砂降りの雨の中、平手抜きでライブは進行していった。センターがぽっかり空いていることをほぼすべての観客が気付いたであろう、19曲目の「風に吹かれても」。

 最も明るくライブを盛り上げるこの曲で、ステージ上のメンバー全員が平手不在の動揺を決して見せることなく、またファンを不安にさせないために、全力で会場を盛り上げようと土砂降りの雨の中、笑顔全開でパフォーマンスしていた。観客もそれに応えるように大きなコールを返し、会場の一体感が増していた。この光景はとても胸を打たれるものだった。

 ラスト20曲目「サイレントマジョリティー」でライブ冒頭の乗組員の衣装に戻ったメンバーのもとに船長ルックの平手が復帰。何事もなかったように力強いパフォーマンスを見せた。

平手不在で音楽番組の生中継準備がスタート

 この2日目のみライブ後、「THE MUSIC DAY」(日本テレビ系)の生中継が予定されていたが、開始前、またしても平手は現れなかった。待機時間中、日本テレビのアナウンサーが会場を盛り上げたり、ファンサービスで観客に笑顔で手を振るメンバーもいる中、かなり遅れて平手は登場した。

 平手は端にいたが、周りのメンバーに促され、MCが行われる立ち位置、受け答えをするキャプテン菅井友香(24)の隣である中央へ移動するよう促される。

 そこでその中央付近にいた原田を見た瞬間に、平手の何かが決壊したのか、観客に背を向けて、周りのメンバーに何か助けを求めるように訴えかけた。「どうしよう、もう無理!」といった感じに地団駄を踏みながら欅坂46一期生の末っ子全開になっていた。

 そんな平手を菅井、原田や後列の渡邉理佐(21)、渡辺梨加(25)ら平手付近にいた一期生お姉さんメンバー全員が一斉に背中をさすったり、「大丈夫だよー」と諭すように笑顔でよしよししながら落ち着かせようとしていた。

平手が「キミガイナイ」で見せた苦悶の表情

 平手がそのような状況に追い詰められた理由は、もちろん本人にしか分からない。腰部のケガなどあり、思うようなパフォーマンスができない中でTV生中継が来たという重圧からだったかもしれない。

 ただ、初日と2日目に共通していることは「キミガイナイ」からうつむき苦悶の表情を見せたり、ステージに登場できなくなったりと様子が変わったことだ。同曲では大切な“君”を失い、孤独にさいなまれた“僕”の「イマ コノセカイニ ナゼ キミガイナイ?」という悲痛な叫びが歌われている。

 メンバー想いの平手はかつて、同じく親友のように仲の良かったメンバー米谷奈々未(20、18年12月卒業)が卒業予定であることを知ったと思われる翌日(18年9月22日)の「イナズマロック フェス2018」のステージでも終始、生気がなくうつむき悲しそうな表情だったと、観客からいくつもTwitter上で報告があった。

菅井友香と原田葵と手を繋いで待機した平手

 この「欅共和国2019」でも、初めて、欅坂46のライブに盟友・長濱がいないという状況に胸を痛めていた可能性もある。またライブの2週間ほど前には欅坂46内第2のグループだったけやき坂46(現・日向坂46)で大親友だった柿崎芽実(18、19年8月卒業)の卒業も発表されたばかりだった。

 平手が最初に原田を見て何かが決壊したように感情を出したことについて、思いを巡らせてみる。ライブ前年には米谷だけでなく今泉佑唯や志田愛佳(両者共に21、18年11月卒業)という仲の良かったメンバーが体調不良で休業に入ったまま卒業することが続いたり、長濱、柿崎の相次ぐ卒業発表でショックを受けた中、原田だけが休業から欅坂46の状況を分かった上で戻ってきてくれたメンバーだったから感極まったのではないだろうか。

 生中継が始まるまで、両隣の菅井と原田と手を繋いで待機した平手。そんな平手の手を握りしめていた原田自身、後のインタビューで「メンバーが卒業していったことを1番悲しんでいたのは、てちだと思いました」(「blt graph.vol.46」19年8月発売)と語っていた。

 お姉さんメンバーの支えでなんとか立ち直った平手は、生中継が始まると本番のスイッチが入り2曲のメドレーを、欅坂46の船長でありセンターとして堂々と務め上げた。

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ
東京大空襲、愛し合うスズ子と愛助の運命は…金曜放送回を前におさらい
 トミ(小雪)の許しが出て、山下(近藤芳正)が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。  スズ子(趣里)...
桧山珠美 2023-12-27 17:40 エンタメ
コワモテ黒田の起用は大正解! スズ子派に寝返り、顔芸と手振りが秀逸
 結核が再発した愛助(水上恒司)の看病を、三鷹の家で続けることになったスズ子(趣里)は、日々愛助のために身を尽くしていた...
桧山珠美 2023-12-26 15:50 エンタメ
藤井風「いちすき」で見せた弾き語りに惚れ惚れ、黒髪に代わってホッ
 21日、木曜劇場「いちばんすきな花」(フジテレビ系)が最終回を迎えました。  昨年、社会現象を巻き起こした目黒蓮...
平野・神宮寺・岸のNumber_iデビュー間近 24年は注目多数の群雄割拠
 滝沢秀明氏創設のTOBEに合流し、本格始動が待たれている元King & Princeの平野紫耀(26)・神宮寺勇太(2...
こじらぶ 2024-02-16 10:40 エンタメ
朝ドラでは珍しい正面からの接吻!愛助ママ(小雪)来襲で“恋の炎”燃ゆる
 愛助(水上恒司)は母・トミ(小雪)に呼び出される。トミからは、スズ子(趣里)に会うのはやめるように言われ、山下(近藤芳...
桧山珠美 2023-12-22 14:40 エンタメ
北川景子に長澤まさみ…SNS離れの深層、イメージ戦略には逆効果?
 12月16日、女優の北川景子(37)の写真集『『「37」 20th anniversary』公式アカウントがInsta...
東京コミコン2023は大盛況 ひときわ異彩を放った“大衆演劇”
 千葉・幕張メッセにて、12月8日(金)~10日(日)に開催されたポップカルチャーの祭典「東京コミックコンベンション20...
熊田曜子のSNSが放つ鋼のメンタル ハレンチ不倫疑惑もよき母アピール
 プロデューサーとの不倫疑惑と元夫とのドロ沼離婚裁判を経て、離婚成立後はSNSでたびたびセクシーな姿を披露している熊田曜...
堺屋大地 2023-12-20 06:00 エンタメ
恋はつらいものよ…愛助への想いが募るスズ子に麻里(市川実和子)の名言
 スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)の仲はすぐに広まり、羽鳥善一(草彅剛)や麻里(市川実和子)にもうわさについて追求される...
桧山珠美 2023-12-22 14:23 エンタメ
スズ子と愛助の恋路を妨害! メッセンジャー黒田のメッセンジャーぶり
 愛助(水上恒司)と坂口(黒田有)の話を聞いたスズ子(趣里)は、耐えきれずに部屋に押し入る。  ここで話をつけよう...
桧山珠美 2023-12-18 14:45 エンタメ