郊外に家を建てた若夫婦…幸せ絶頂の妻を襲った夫の浮気疑惑

並木まき ライター・エディター
更新日:2020-08-11 14:50
投稿日:2020-07-21 06:00
 郊外に念願の一軒家を手に入れた若夫婦。会社への通勤には少々不便な地だが、最近ではテレワークがメインになり「少し無理をしてでも、家を買っておいて本当に良かった」と感じているそうだ。
 マンションよりも広々とした玄関、近隣住民との適度な距離感。そしてなにより「ここは私たちのお城」という独特の満足感。
 そんな若夫婦の“城”では、ときに、人生につきものの奇妙な事件も起こりうるーー。
 戸建て住宅を買ったばかりの若夫婦に起きた、ちょっと奇妙でほろ苦いストーリーとは……?

謎の白い封筒

 バタン。

 いつものように自宅のポストの扉を開けてみると、今日は郵便物が3通。

 不動産を買うときに資料を取り寄せていた仲介会社からのダイレクトメールと、お取り寄せによく使っている農園からのクーポン付きハガキ。そしてもう1通は、いかにも私信といった感じの白い封筒――。

「ん? なんだろう、これ」

 この家の主のひとりである咲子は、宛名に夫の名前が書かれている手紙に目を留めた。

 咲子は、この家を建てるときに、ポストひとつにもとことんこだわった。海外のインテリア雑誌を何冊も読み、気に入ったポストを個人輸入で取り寄せた。そのお気に入りのポストに、想定外の郵便物が届いたのは今回が初めてだ。

「えっと……。なんで差出人の名前が、イニシャルなんだろう?」

 その封筒は、ちょっと厚みがある。おもてには、達筆な文字で夫の名前が丁寧に書かれていた。裏面を見ると、差出人の住所は途中までしか書かれておらず、名前もイニシャル表記になっている。

住所を知る人は少ないはずなのに

(えー。なんだか気持ち悪い。不幸の手紙だったらイヤだなぁ。それにしても、なんで夫宛にこんな奇妙な手紙が届くんだろう。あの人、私に隠れて怪しいことでもしているのかしら……)

 インポートのタイル張りになっている自慢の玄関ポーチに立ちすくんだまま、咲子は奇妙な郵便物について、即座に夫にLINEで報告しようとして、やめた。

(ちょっと待った。もしも夫が浮気していたとしたら、少し泳がせないとダメなのかな。ここで手紙のことを話したら、他の証拠を隠しちゃうかもしれないし、これは私がしばらく持っておこう)

 咲子たちがここに家を建ててから、まだ1年も経っていない。親しい友人らには、新居を知らせる案内は出しているものの、ここの住所を知る人は少ないはずだ。

 それなのに、夫宛に手紙が届いていることが、咲子には不思議で仕方がない。

(これはやっぱり。夫が、怪しいことをしているに違いない!)

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

ライフスタイル 新着一覧


「いつか」じゃなくて「きょう」行こう 2023.1.29(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
【3COINS】靴下の片方がなくなる問題を解決 2022.1.28(土)
 一緒に洗濯したはずなのに、片方の靴下がなくなった! なんて経験は、ありませんか? 片方だけ行方不明になると、履きたい時...
夜道の一人歩きでちょっとした出会い 2023.1.27(金)
 夜更けの道を歩いていたら、ふと視線を感じた。  おーい、君。そんなところにいたら危ないよ? と呟いたら、 ...
職場の年下社員がイヤ!苦手に感じる心理とうまく付き合う法
 職場の悩みで多いのが、人間関係のストレス。特に、年下社員を苦手と感じている30代や40代が少なくありません。  年齢...
一瞬で大粒の涙も乾く!傷つけられた時に使える即効回復呪文
「マスク美人」なんて言葉がありますが、みなさんは誰かに言われたことがありますか? というか、マスクに限らず、人からいきな...
大阪・ジオラマ食堂の“たまたま”はニンゲン慣れの修行中!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ぼっちの孤独感なし!女ひとりレストランの極意&楽しみ方
 ひとり外食に憧れを抱きながらも、なかなか勇気が持てない女性は意外といます。「ひとりで食事なんて寂しすぎ……」と、感じて...
「びっくりドンキー」の新モーニング食レポ 2023.1.26(木)
 2023年の目標の一つに「規則正しい食生活」を掲げております。基本的に食いしん坊なのですが、むらっ気があって一日一食な...
8LOOMロス半端ない…メン花「ポピー」の優しさに包まれたい
 ワタクシだけではないと思うのでございます。このなんともいえないロス感に見舞われ、涙している人は。  なんのロスか...
他人の些細な言動が気になっちゃう時は… 2023.1.25(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
天然じゃないのバレてます!自称サバサバ系女子の5つの特徴
 サバサバした性格の女性は、老若男女から好かれます。身近にそんな女性がいると、「私もあんな風になりたい!」と思うかもしれ...
【実録】兄弟喧嘩にうんざり!我が子と私に不足していたもの
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
孤高の“たまたま”にロックオン!立派なにゃんたまにうっとり
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
忙しいけど、たまには空を見上げてみる 2023.1.23(月)
 このところ前だけを向いて突っ走ってきたけど、たまには空を見上げてみる。  子どもの頃のように地面にゴロンと寝転が...
老人ホームをちらつかせ姑に逆襲!嫁がわざと送った誤爆偽装LINE3選
 結婚した時に気になるひとつが「義母との関係」です。相手によっては、犬猿の仲になってしまう人も多く、義母への復讐心を燃や...
在宅勤務におススメの“あったか小物”5選 2023.1.22(日)
 寒い、寒すぎる……。やっと「大寒(だいかん)の日」が過ぎて、暦上はこれから徐々に暖かくなるはずですが、アラサーの身体に...