更新日:2020-09-24 16:18
投稿日:2020-08-25 06:00
郊外に念願の一軒家を手に入れた、1組の「パワー夫婦」。会社への通勤には少々不便な地でも、テレワークがメインの今は「少し無理をしてでも、家を買っておいて本当に良かった」と感じているそうだ。
マンションよりも広々とした玄関、近隣住民との適度な距離感。そしてなにより「ここは私たちのお城」という独特の満足感。
そんな夢にまで見たはずの“城”では、ときに、人生につきものの奇妙な事件も起こりうるーー。これは実在する物件を舞台にした、とある男女のストーリー。
マンションよりも広々とした玄関、近隣住民との適度な距離感。そしてなにより「ここは私たちのお城」という独特の満足感。
そんな夢にまで見たはずの“城”では、ときに、人生につきものの奇妙な事件も起こりうるーー。これは実在する物件を舞台にした、とある男女のストーリー。
夫の態度に違和感
夫婦そろっての食事を終えると、夫の陽介は何事もなかったかのようにリビングでテレビを見始めた。
つい先ほど、意味深な発言をした陽介の真意が気になって仕方のない妻の咲子だったが、当の陽介自身は、そんな会話なんてなかったかのように、いつも通りだ。
「俺さ〜、この芸人のネタ、最近好きなんだよね」
テレビを見ながらゲラゲラ笑っている陽介が、ご機嫌な様子で咲子に話しかける。
しかし咲子は、食事のときに夫が口にした元恋人の話題が気になって、相槌を打つ気分にもなれない。
(なんで今日にかぎって、私の元カレがどうのこうのとか言い出すわけ⁉︎
明らかにおかしい……。
変なことを言い出したあと、しまったって顔を一瞬したように見えたのも、違和感があるし……)
咲子はもともと注意深い性格だ。夫の体調が悪いときにも、夫本人よりも先に咲子が気がつくほど、身近な人の変化には敏感な方だという自負もある。
夫に浮気疑惑が浮上した今は、これまで口にしたことのない話が夫の口から飛び出したことに強烈な違和感を覚え、その真意を探ろうとしていた。
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