ノルマ達成に焦って…恐喝まがいに“投げ銭乞い”をするひと

並木まき ライター・エディター
更新日:2020-12-24 23:33
投稿日:2020-10-30 06:00
 ライブ配信は、まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく世界。今日も今日とて、多くのライバーやリスナーは、配信をめぐってアレやコレやの大騒ぎでございます。メンタル心理カウンセラーであり、配信者としての顔も有する並木まきが、“ライブ配信にいるアレなひとびと”を解説するこちらの連載。第5回は「恐喝まがいに投げ銭を要求するひとびと」でございます。

アレな人図鑑5:露骨に“投げ銭乞い”をするひと

 こちらの連載で何度となく申し上げておりますけれども、ライブ配信の世界は「配信と投げ銭の絶妙なバランス」によって成り立っております。さらには、ライバーとして活動するひとびとの中には、個々の切実なる事情によって、指定されたノルマを達成せねばならないひとも数多く存在しております。

 しかし、どんな稼業においても、いいときもあれば悪いときもあるのは常。思うように投げ銭が飛ばず、焦りばかりが強くなっている配信者も少なくないのが現実でございます。

 そんな環境に過度に追い詰められてしまった配信者は、リスナーに対して露骨に投げ銭を求め、暴挙に出ているシーンも散見されます。

「給料日はいつ?早く課金して投げてよ!」「最近、遊びに来るだけで全然投げてくれないけれど、なんで?」「○△さん(別の配信者)には、投げているのを見たよ?なんでウチには投げないの?今すぐ投げてよ」などと、露骨に投げ銭を求める発言を口にするひとも……。

 暇つぶし程度にスマホ画面を開き、顔見知り(正確には、画面越しだけですが)の配信を見て楽しもうと思ったリスナーからすれば、なんともびっくり仰天な展開でございましょう。

 対面で、顔見知りの人を相手に「お金をよこせ」などと口にすれば、品格を疑われるのが世の常。

 しかしながら、配信画面を通じてしまえば、いとも易々とそんな暴言を口にしてしまうひともいるのは、ライブ配信界ならではの“怪”でございましょうか……。

月末になると本性を垣間見せる配信者たち

 多くの配信者は、月ごとの成績を気にしながら毎日コツコツと配信を続けているのが現状でございます。そのため、月末が近づくにつれて、ノルマを達成できていない配信者には焦りの色が見え始めるのも、おなじみの光景でございましょう。

 ここで、自分なりにリスナーを楽しませる企画を考え、なんとかして投げ銭を増やそうと努力を惜しまないひともいる一方で、なんの努力もせずに、訪れたリスナーを相手に恐喝まがいの“投げ銭乞い”をする配信者も存在するわけでございます。

 言うまでもなく「アレなひと」に映りがちなのは後者で、まるでリスナーを「使い捨てのお財布」としか見ていない様子には、唖然を通り越して嘲笑しかないひとも多いでしょう。

 実際、こういった配信者に対しては「手切れ金」よろしく、小銭を投げて去るリスナーもいるわけですが、果たしてこういった活動方針の配信者が、いつまでライブ配信界で生き残れるのか……。

 余計なお世話ながらも、傍観者はヒヤヒヤしながら、一部始終を眺めているのもありがちな光景なのでございます。

おわりに

 ライブ配信は、スマホやタブレットの小さな画面を通じて、配信者の品格が垣間見えるのも醍醐味でございましょう。しかし、顔もまともに存じないリスナーを相手に、露骨にお金をせびる様子を、親御さんや親族、友人たちが見てしまったら……と思うと、同情の念をぬぐえません。

 このように良くも悪くも、その人の本性が垣間見えやすいライブ配信は、知る必要のなかった“人となり“までも配信してくれる、精巧な人間観察ツールなのかもしれません。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「寝てるカナ!」「ぁりがとぅ」それ、なんとかならん? Z世代が震えた“大人のクセ強”LINE6選
 流行り言葉は目まぐるしく移り変わりますが、やっぱり受け入れられない言葉はあるもの。今回は、どうしてもモヤモヤしてしまう...
「生理痛で婦人科に行くなんて大げさ」は間違い。月経不調の陰に潜む病気のリスク【専門医監修】
「月経前や月経中の腹痛がひどい」「頭痛や気持ちがわるくなったりする」「イライラが止まらない」…そんな月経にまつわる不調を...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第103回「みんなで百物語ニャーン!」
【連載第103回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「鎌(カマ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
40代、気づいたらぼっち…まぁ、仕方がない3つの理由と“新しいつながり”の見つけ方
 40代を過ぎてから「友達が減った」と感じていませんか? 学生時代に親友と呼べるほど仲の良かった友達でも、気がつけば年賀...
メン地下「推し活」でメンタル崩壊、ストーカー寸前…沼りすぎた女たちの壮絶リアルな体験談
 いろんな意味で話題の「メン地下(=メンズ地下アイドル)」は、激しいハマり方をする女性ファンが多いことでも有名です。 ...
義母からの過干渉が「上司より怖い…」30歳新妻を追い詰めた“凶器”のようなLINE
 私の友人ユリ(30歳・事務職)が結婚して半年。幸せいっぱいの新婚生活を想像していた彼女を待っていたのは、思わぬ“監視網...
やってもた! 買って後悔した“便利グッズと家電”無駄遣いエピソード。バナナケースってマジで何で買った?
 今日も日本中で便利グッズや便利家電が生み出されています。でも、中には便利なはずなのに使ってみると「絶対いらないわ…」と...
マイメロがちょこん♡ 100均の“ワッペン”で服がめちゃ可愛くなった! 芸能人もハマる、手芸が密かなブーム?
 もともと裁縫が好きで洋服や小物を作るのを趣味としていたのですが、引越しのタイミングでミシンを仕舞い込んでから、すっかり...
おばば軍団から聞いた不思議な話。植物のパワーって本当にある? 花屋おすすめの“魔除けになる”飾り方
 ワタクシはいわゆる「スピなお話」が「都市伝説」関連と合わせて大好物でございます。  仕事柄、葬祭や宗教関係の方々...
姑の「無事でよかった」にウルッ…。義母からの“心に染みた一言”4つ。「うちの宝よ」って照れくさいなあ!
“姑”と聞くと「うわぁ…」とマイナスなイメージが浮かぶ人もいるかもしれませんが、素敵な姑も存在するもの。そんな姑をもつ女...
猫さま「ただ受け止めよ…」風に身を任せる“にゃんたま”のありがた~い説法が聞こえる?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
スター猫ににゃんたま総長まで。個性的なモフモフが大集合! 秋に愛でたい8連発♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 2025年8月にご紹介したもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかし...
中年の“集中力”はどこに消えた? 若い頃と「同じ脳じゃない」と気づいた私の小さな工夫
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
なんで全部マネするの?次男の妻が意味不明…悩む57歳義母が見つけた意外な突破口
 かつての嫁姑問題といえば「同居」や「家事」、「子育て」をめぐる衝突が定番でした。しかし令和の時代を迎え、別居が当たり前...
“イヤホン女子”は狙われる? 知っておきたい夜道のNG行動と自衛テクニック
 悲しいことに、女性をターゲットにした物騒な事件が続いています。日頃から防犯意識を高め、対策をしておきましょう。今回は特...