魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、わずか結婚1年で、年上妻から離婚された男性の困惑をお届けします。
突然の妻の「もう無理」発言に困惑
Hさんは30代後半で、年上の妻・Cさんと結婚。しかし結婚してほどなくして、コロナ禍に突入し、幸せだったはずの結婚生活に暗雲が立ち込めます。
「早い段階から、お互いがテレワークになったんですが、毎日、元妻も機嫌よく料理をしてくれていて、それを美味しく食べる生活が『なんて幸せなんだろう』って感謝していました。ところが、テレワークが始まって3ヶ月ほど経ったところで、いきなり元妻が『こんな生活はもう無理。あなたと一緒に暮らすのは限界です』って言い出したんです」
コロナ禍で一緒にいる時間が増え、喧嘩が増えた世間における夫婦の話は、なんとなく耳にしていたというHさん。だから自分たちも、その類だろうと思って、あまり深刻には受け止めなかったのだそう。しかし、元妻がその言葉を口にした翌日から、生活は一変したと言います。
買い物に行っている間に消えた妻
「翌日から、元妻が料理を一切しなくなりました。もともと元妻は料理好きで、コロナ禍になる前には、休みの日には外食するよりも手料理を振る舞うのが好きだったほど。料理上手なところにも強く惹かれて結婚しました。
けれど、一度作らないと決めたあとの彼女は頑なで『もう、あなたの人生に責任はもてません』『家事を一切放棄しますので、離婚してください』の一点張り。毎日、僕からは考え直すよう説得をしましたが、まったく聞き入れてもらえませんでした」
そんなある日、Hさんが買い物から自宅に戻ると、妻の姿が消えていたそう。最初は『近所のカフェにでも行ったのかな』程度にしか思っていなかったそうですが、その晩から、妻は自宅に戻ってこなくなりました。
「その頃は、僕が夕食の準備をしていたので、夕飯の時間になっても戻ってこない妻にLINEをしてみると『もう、その家には戻りません』と返事がきました。驚いて、妻の私物が入っていたクローゼットを見てみると、大半の服がなく、覚悟を決めて家を出たと、そこで初めて悟りました」
元妻に電話をしても出てもらえず、かろうじてLINEのメッセージには数回返事をもらえたとHさん。「彼女の離婚の意思は固く、当時の僕は、寝耳に水で何が何だかわかりませんでした」と、当時を振り返ります。
妻が出て行った理由がわからない
「LINEのやりとりをしていく中で、結婚したばかりの頃から、元妻は僕との結婚は失敗だったと感じていたことがわかりました。そして、いまさら僕が何をどう努力したところで、元妻の気持ちが変わらないこともよくわかりました」
元妻が家出した先は、元妻の親友の家だったそう。この親友はバツイチで、ひとり暮らしをしていることから、転がり込みやすかったのではないかとHさんは分析しています。
「結局、1ヶ月ほどLINEで話しただけで、あっけなく離婚の話がまとまりました。元妻が家出して以降、顔を合わせることはなく、離婚届も郵送でやりとりしました。
実は、元妻は僕との結婚以前にも別の男性と結婚をしていたので、今回でバツ2になっているんです。結婚するときには、彼女はさすがにバツ2にはなりたくないだろうから、離婚はないだろうと踏んでいたのに、ここは誤算でしたね。一緒に住んでから、離婚届を出すまで、たったの1年半でした。
最後まで、僕との結婚生活のどこがどうダメだったのか教えてもらえなかったので、いまだにモヤモヤしています。けれど、もう元に戻ることはないので、前を向いて生きていかなくてはいけませんね」
今でも、自分たちのことを知る共通の知人と話す機会に恵まれるたびに「元妻が出て行った理由を知りませんか?」と聞いてしまうというHさん。しかし、明確な答えは知ることができないままだそうです。さて、では離婚を切り出した元妻であるCさんの言い分は? 次回に続きます。
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