脱退から1年 ジェンダーレスな平手友梨奈は何と闘ったのか?

こじらぶ ライター
更新日:2021-01-24 06:00
投稿日:2021-01-24 06:00

ひょうきんで悪ガキな飾らない平手の“素顔”

 2020年1月23日、平手友梨奈(19)は欅坂46を脱退した。それから1年、今月22日に彼女がヒロイン役で出演する映画「さんかく窓の外側は夜」が公開された。また来月公開予定だった映画「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」はコロナで延期になってしまったが、こちらにもヒロイン役で出演している。

 2つの映画のプロモーションで連日のように平手掲載の雑誌が発売され、TVのバラエティー番組では欅坂46時代の「あまり笑わない」というイメージを覆すようにひょうきんで悪ガキな飾らない素顔を見せている。

 先月25日にはソロアーティストとして初の配信シングル「ダンスの理由」をリリース。既存ファンに加え、最近になって同曲で彼女を知ったという新規の国内外のファンも増え同曲MV再生回数は350万回を突破。海外ファンからの大反響を受けてか、英語字幕も用意された。

フル稼働の活躍を見せる姿を想像できたか

 まさにフル稼働の活躍を見せる平手だが、1年前を思えば今のこの姿を想像できた人は少なかったのではないだろうか。

 脱退間際の平手は心身共に満身創痍の状態にあった。18年以来、腰部・腕・手首の怪我を患っていた。過去には握手会での説教、襲撃事件やストーカー被害にも遭った。またデビューから4年半続いたセンターの重圧、ネット上の叩きに苦しめられた。精神が不安定な彼女に“絶望”や“孤独”を体現する楽曲が当て書きされ、彼女は自身から生み出されたものに飲み込まれ、さらに心を苛まれていった。

 平手は大事なステージの前にはものが喉を通らないことや、夜に眠ることがままならず、朝までYouTubeを見て過ごすといったことを自身のラジオや雑誌等で話していた。

 食事をうまくとれない、寝ることができない――。

 彼女はサラッと話していたが、10代の女の子が抱える問題としてはあまりに深刻すぎる。

 19年末の音楽特番ラッシュ時、出演したステージでは神がかったようなパフォーマンスをしていたが、本番前後はフラフラで1人で歩けず周囲に介助されていた。いかに極限状態にあったかを物語っている。

多くのファンが悲しみに暮れた“1.23事件”

 そのようなギリギリな状態の中、19年末NHK紅白歌合戦を欅坂46最後のステージとして、前述の20年1月23日、脱退を発表した。同発表の前後に現在公開中の「さんかく窓の外側は夜」の撮影に参加。コロナの影響で昨年内の公開が延期され、期せずして平手が欅坂46から脱退して1年後に同作は日の目を見ることになった。

 突然の脱退発表に多くのファンが悲しみに暮れた20年の通称“1.23事件”から1年、21年の1月23日に平手は同作公開記念舞台挨拶に登壇するなど連日のメディア露出に加え、ファンを喜ばせている。

 各媒体でのインタビューでは共演したW主演の岡田将生(31)と志尊淳(25)が平手を含め3人で兄妹のように親しくなったこと、彼らが平手に兄目線で「もっとご飯を食べたほうがいい」とアドバイスしていたことを笑顔で話していた。

身を粉にしても闘い続ける覚悟

 平手は今も非常に細身だが1年前の撮影時よりいくらかは体重が戻ったようにも見える。少なくとも先の年末年始に3度の音楽特番にて、「ダンスの理由」で欅坂46時代以上のバキバキダンスを男性プロダンサー陣とピタリ息を揃え踊り切っており、単に痩せているというよりは“締まっている”ととることもできる。

 同曲には平手がイチから制作に携わったという。作詞は欅坂46時代同様、秋元康氏だが平手の想いを忠実に反映したものだろう。

「何度だって踊るよ 倒れても構わない」

この“倒れる”は紅白で2度パフォーマンス後に過呼吸、もしくは全身脱力で倒れ揶揄されたことに対しての自嘲だろう(ただし平手は、ステージ上でカメラが回っている間は絶対に倒れず踏ん張った)。今後もパフォーマンス後に倒れることもあるかもしれないが、それでも孤独な人々に寄り添うために“身を粉にしても闘い続ける覚悟”を歌う。

「女の子っぽさは捨てて、男の子っぽく」

 女優としての仕事の際には大人のお姉さんらしくめかしこまれることも多いが、同曲をソロアーティストとして披露する際には、欅坂46時代のようなボーイッシュな彼女に戻る。

 最初に平手がメンズライクな外見になったのは、17年10月の5thシングル「風に吹かれても」の発売に先駆けてのことだった。“男の子っぽさ”を表現したかった平手はボブからショートに髪を切る際、「女の子っぽさは捨てて、男の子っぽくやってください。可愛さはいりません」と頼んだという(「STREET JACK」2017年12月号より)。

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ
『ラヴィット!』に疑問の声。違和感たっぷりでもギャル曽根の「超ギャルル」を推すワケ
「日本でいちばん明るい朝番組」をコンセプトに、平日の朝に笑いと情報を届けている人気番組『ラヴィット!』(TBS系)。 ...
寅子版「自分会議」はユニークな演出だった! “ラスボス”百合さんに俄然注目
 結婚したら、自分か航一(岡田将生)のどちらかの名字が必ず変わることに、改めて気付いた寅子(伊藤沙莉)。  自分が...
桧山珠美 2024-08-20 15:30 エンタメ