祖父の好物だった「ノビル」
我が家の“春の味覚”不動の1位は「ノビル」。日当たりのいい土手や草むら、なんなら自宅の植え込みにだって生えてます。
幼いころ、野草好きだった祖父と一緒に、近くの野原に採りに行きました。朝露に濡れた葉っぱが足に当たってちくちくかゆかったのを覚えています。
あれから40年近く……。天国のじいちゃん、あなたの孫はまだ嬉々としてノビルを採ってますよ。
はい、発見。
見て楽しむだけでなく、食べることもできるのですが(あくまで個人的な嗜好です)、その際は主に丸く膨らんだ部分(「鱗茎」というそうです)をいただきます。写真のものはかなりの大物。掘り当てたとき、思わずガッツポーズが出ました。桜の木の下で発見し、辺りに生えているノビルはやたらと発育がよかったです。葉っぱや花びらが天然の肥料になるのかな。
ここでノビル採りにおける注意事項をひとつ。有毒のタマスダレです。葉っぱの形状は似ているのですが、ポイントは根っこの丸い部分。白色のノビルに対し、タマスダレは茶褐色をしています。他にもスイセンを誤食してしまうケースが……。くれぐれもお気を付けください。
ノビルに感じるエロス
ノビルの下処理はとっても簡単。まずはよく洗って、葉っぱと髭みたいな細い根っこを切ります(大前提としてノビルを持って帰る際はよーく土を払ってから。私は台所を泥だらけにして夫にこっぴどく叱られました)。
そして鱗茎の薄皮をつるんと剥いてあげれば、終了。
さっきまで泥だらけの雑草だったのにいきなり食材の表情になります。なんという二面性。
色白むっちりBODYがなまめかしいですね。細い葉っぱとのギャップもナイス。いわゆる“スレンダー巨乳”ってやつね。羨ましいぞ。
いただきます!
では早速いただいてみます。ひと言でいえば、ラッキョウとニンニクを足して2で割ったような味。エシャレットの風味をさらに尖らせたような、ツーンとした味わいが癖になります。あ、でも食べ過ぎるとちょっとお口の臭いが気になるかも(笑)。
大きいものは、薄皮をむいて酢味噌をつけて。これが酒に合うんだわ。今宵の相棒は、ノビルの香りに負けない芋焼酎のロック。
葉の部分はみじん切りにして納豆と和えたり、卵焼きに入れてもイケたりします。
小さいものは、葉っぱと一緒に醤油漬けに。冷や奴に合うやつですね(笑い)。
(編集K)
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