他の人の話は共感できることばかり
まず、場を回すファシリテーター的な立場のスタッフさんが会の概要と決まり事について説明してくれます。
基本的には何をしゃべってもいいのですが、「この場で聞いた話を他言しない」「誰かの話について否定や批判をしない」といったルールがあり、誰かが話し終わった後に皆の前で感想を伝えるのは認められています。会の終了後、参加者同士で雑談や情報交換をするのもOKです。
話す内容や制限時間も特に決められておらず、参加者はなんとなく周りの空気を読みながら3分~5分ほど話をし、次の人にバトンタッチします。
この場に来ている全員が「小さな子どもを持つ母親」で、程度の差こそあれ「悩んでいる」という大きな共通点があるので、他の人の話は自分にも身に覚えのあるものばかりです。
ティッシュの使い道は…
筆者が話している最中も、深く頷きながら聞いてくれている女性がいて、なんだか「あなただけじゃないよ」と言われているような気がしてうれしくなりました。
人によっては感情が高まり、話しながら、あるいは人の話を聞きながら泣いてしまうこともあります。そうです、真ん中に置かれたティッシュは涙を拭く用に用意されたものでした。
事前にまとめてきたメモを片手に10分近く熱弁する人も……。ひとつの話題から広がって「私もこんなことありました」「うちはこの方法でうまくいきました」などと、しばらく雑談で盛り上がることもありました。このような感じで1時間半の間に、2、3回くらいは順番が回ってきます。
自分以外の人の悩みを聞くことの効果
「この会で聞いた話を他言しない」がルールなので、具体的なエピソードはお伝えできませんが、夫や義父母、自分の親との関係で悩んでいる人が多い印象、というか、純粋に育児の悩みというよりも、子育てをめぐる周囲の人間関係に悩んでいる人の方が多かったかもしれません。
正直、私の悩みなんかどこかへ吹き飛ぶほど深刻な状況にある人もいました。
筆者は育休を終えて復職するまで計5回ほど参加させてもらい、復職を機に“卒業”。時間が解決してくれたところもありますが、その後、上の子が下の子の存在を受け入れて、イヤイヤ期も徐々に落ち着き、現在は子どもに対して感情的に怒鳴ることはほぼなくなりました。
漠然と自分の中にあるモヤモヤした気持ちを人に聞かせるために口に出して言葉にすることで、自分の頭の中を整理する。似たような状況にある誰かの話を聞いて、自分が抱えている問題を「私だけじゃないんだな」と相対化できるようになる。そして気持ちが軽くなるーー。
これが筆者が感じた「人の悩みを聞く/聞いてもらう」一番の効果です。
こういった集まりはどこの地域でも開催されているわけではないとは思いますが、もし興味を持った方はインターネットなどで探してみてくださいね。
(編集М)
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