台風7号、お盆休みの列島直撃の恐れ
九州・沖縄地方に大きな被害をもたらした台風6号に続いて、お盆休み真っただ中の14日近辺に強い勢力で関東上陸の可能性が高まる台風7号の影響が懸念される。
だが、心配なのは土砂崩れや水害だけではない。台風や大雨の後は、大地震が起きるという研究があるからだ。
台風やハリケーンが大地震を誘発した調査結果
2011年12月には、米マイアミ大学とフロリダ国際大学の研究チームが、台風やハリケーンが大地震を誘発したデータを分析・発表している。過去50年間に台湾とハイチで発生したマグニチュード6.0以上の大地震を対象に、地震発生前の4年以内に被災地が激しい豪雨を伴う大型熱帯低気圧に見舞われていたとしている。
たとえば、1996年に中国と台湾で数百人が犠牲となった台風9号の影響で、98年にM6.2、99年にM7.6の大地震が起きたとしている。台湾では、09年に689人の死者・行方不明者を出した台風8号の後にM6.2、翌10年にもM6.4の地震が発生したという。
ハイチ大地震の前には2度のハリケーン、2度の熱帯暴風雨
さらに、死者22万人を出した2010年のハイチの大地震(M7.0)の1年半前には、25日間のうちに2度のハリケーン、2度の熱帯暴風雨が発生していたことも報告されている。
一方、19年10月には、地球物理学の雑誌「Geophysical Research Letters」に掲載された論文で、「ストームクエイク」を発見したと発表。これは巨大な嵐のエネルギーから地震波が発生し、大陸に伝わるといったものだ。
北海道胆振東部地震の前にも大雨被害が…
日本でも、2018年には、9月上旬に台風21号の接近で北海道が大雨や強風の被害に見舞われた直後、同6日に北海道胆振東部地震(最大震度7)が発生した。
武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)が言う。
「台風や大雨の気圧の変化の後に大地震が起こる可能性はあります。台風や大雨そのもののエネルギーは小さいので、それだけで地震を引き起こすことはありませんが、地殻変動によって地盤が弱っているときに台風の低気圧が地震の引き金になることは地震学者の間で昔から言われています。
低気圧が地表を通過する際に地盤を持ち上げ、通過後に地盤が元に戻るためです。低気圧が地盤の地下深い部分に刺激を与えますから、台風や大雨の後は注意が必要です」
マイアミ大学も大噴火の原因に記録的大雨
ほかに18年5月3日のハワイ島キラウエア火山の大噴火翌日にM6.9の大地震が起きているが、マイアミ大学の研究チームは、そもそもの大噴火の原因として、直前の1~3月までの記録的大雨が影響している可能性を指摘している。
この時の雨量は過去19年間の同時期の平均雨量の2倍を超えていたという。
世界では台風や大雨と地震との関係を示唆する発表が相次いでいる。日本では9月に台風の季節本番を迎えるから、注意が必要だ。
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