がん→子宮全摘まで“カウントダウン1カ月”の記録<私生活編>

コクリコ 編集者
更新日:2019-07-02 06:00
投稿日:2019-07-02 06:00
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー1年生です。がん告知はひとりで受けました。誰にも頼れず、心の内側にずっと不安を抱えながらがんと闘うのはとてもつらいこと。なぜ私が……と思う気持ちと向き合って、そして不確かな情報に惑わされないように、私の体験がお役に立てれば幸いです。

元気、泣き虫…“ビリー・ミリガン”の日々

気持ちをコントロールできない(写真:iStock)
気持ちをコントロールできない (写真:iStock)

【Note.09】

 がんによる子宮全摘という大きな手術を1カ月後に控えていた私。一体、どんな風に過ごしていたと思われますか?

 普段は比較的メンタルが安定しているほうですが、この時期はがんになった私をひとりで受け止めなくては、一方では目をそらしたい気持ちもあり、感情の浮き沈みが非常に激しかった。

・異常に元気なコクリコ
・攻撃的なコクリコ
・泣き虫のコクリコ

 それらすべてが入り混じった、躁鬱状態。たとえるなら多重人格の“ビリー・ミリガン”のようであった日々……。私と同じように独身女性ががんと向き合う際の支えになれば幸いです。

★続く検査。ひとりぼっちでさみしい待合室

 転移の有無の確認と手術に備えて、病院で3度検査をしました。MRIとCT、エコー。血液検査などです。

 がん専門病院は高齢のご夫婦や親子で通院されている方が多く、病院に行くたびに「みんなは寄りそってくれる人がいて、いいな。旦那さんもいないし、私ってひとりなんだな……」と待合室で心細く、悲しくなっていました。とにかく待ち時間も長いので、その時間ひとりでいることがつらくて、友達や心配してくださっている知人にくよくよとしたメールを送ることもありました。

 そんな私を心配して三重県からかけつけてくれた既婚の友達は、こう言います。

「年寄りになると普段そんなに出かけることもないから、ただ旦那さんがついてきちゃっただけなんじゃないかなー。暇なんだよ。うちだって年を取ってからどっちかが病気になったら、“それじゃ一緒に行こうかな”ってなると思う」

 目からうろこがポロリ。なんだ、暇だからなのか。

 ともに年を重ねて支え合う夫婦っていいな、なんで私はひとりなんだろう…と思っていたけど、一気に元気が出て、その後は待合室でも平常心を保つことができるようになりました。本当のところはどうかわかりませんが……。

CTの結果…まさかの転移疑惑!

いろいろ食べました(写真:iStock)
いろいろ食べました (写真:iStock)

 主治医であり執刀医でもあるT先生のところに2度目に診察に伺ったときには、こんなことがありました。

 CTの結果について、「首元(甲状腺付近)に影が見えるんだよね……。下の階に行って、エコーで調べてきてください」。前回と変わって、なんだか温かみを感じません。

 理由はのちに分かるのですが、この影がもしも悪性腫瘍だった場合、そして遠隔転移だった場合は一気にステージ4です。1カ月後の手術はおそらく延期になり、先に化学療法をすることになるはず……。悪性腫瘍で、なおかつ転移ではなかった場合、原発が子宮頸部と甲状腺の2カ所に増えることにもなります。

 T先生は婦人科腫瘍の医師であり、化学療法や甲状腺は別の科の専門になる。そうなると急に他人事になるんですね……。正直、大病院は冷たいと感じました。

 その1週間後、夜の9時に病院からかかってきた電話で、「甲状腺の影は良性腫瘍だと思われます。手術は予定通り来月です」と言われましたが、いやはや。この1週間がじつはもっとも生きた心地がしませんでした。

 この日ばかりは「手術ができるんだ、よかった! うれしい! ばんざい! 子宮全摘! かんぱーい!」という感じでした(飲み会の途中で電話がかかってきたので……)。

★毎日飲み会! 毎日ぜいたくランチ!

 手術までの1カ月はずっと飲み会。誰かしらが食事に誘ってくれたり、こちらから連絡したりしていたので、びっくりするくらい毎日外食をしていました。友達や同僚、担当書籍の著者さんなど、親しい人とときに泣き、ときに笑い、一緒に過ごしていました。新幹線に乗ってかけつけてくだった著者さんも多数いて、本当に感謝しきれません。

「どうせ入院したら痩せるんだから、いまのうちに太っておけ!」
「ひとりでいるときっとコクリコちゃんは食べないと思う! うちに来て一緒に食べよう!」
「免疫が落ちると食べられなくなるから、お寿司を食べに行こう」
「栄養つけて、手術に備えるんだよ」

 みんなが励ましてくれて、お寿司にステーキ、中華にイタリアン。ごちそうを食べすぎて途中で胃を痛め、口内炎までできてしまったんですよ(苦笑)。

 たしかに、ひとりで家にこもっていると食欲がまったくわかず、さっぱり食事をとらなかったので、この間、食事に誘いだしてくれた方々にはとても感謝しています。そしてみなさんの予想通り、術後はみるみる痩せていったので、入院前に食べまくっていて大正解でした。

★不眠。情緒不安定な夜…

 みんなとご飯を食べて、元気に楽しく過ごしても、家に帰ってひとりになるとやっぱりだめでした。

「私、がんなんだ……この先どうなっちゃうんだろう……」

 と不安になり、日が昇るまでひたすらネットの海をサーフィン。おなじ子宮頸がんの人のブログを読んでは転移再発の恐怖におびえ、術後の後遺症を調べては不安に泣き、年上の元気なおばさんを見てはうらやみ、同じ年の友達の出産も素直に祝福できず。最低です。

「卵巣をとると女性ホルモンがなくなるからおじさんっぽくなる」というネットのデマまで真に受け、「もう私はおじさんになっちゃうんだ……」と涙を浮かべることも。

 ひとりでいる時間はとても不安で、誰かにいて欲しいと心底思っていました。

 ですが、いま、当時のことを振り返るとちょっぴり考えが変わっていまして。Twitterで交流している同じようにがんを患った人の投稿を見ると、

〈ひとりで考えたいのに、旦那が飯を作れと言う〉
〈具合が悪いなか、家族のために懸命に家事をしているのに、旦那が浮気していた〉
〈抗がん剤で具合が悪いのに、子どもの保育園のお迎えが……〉

 など、また違ったお悩みを目にするので、「ひとりはひとりでラクだったんだな」とも思います。

 大切な家族がいることは生きる励みになると思いますが、全力で自分のことだけしていられるというのは、そちら側の方々からすると、きっととてもいい環境なんですよね。

ウイルスを移した犯人はだれだ!?

ごしごししてから(写真:iStock)
ごしごししてから (写真:iStock)

 がんになったことが悔しくて、原因を知りたいと思って調べていました。子宮頸がんはおもに性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、それががん化することが原因であるというお話を以前書きました。

 ということは、すなわち、誰かが私にHPVを移したということです。

 腫瘍が2㎝になるまでには5~10年かかるといわれましたが、「10年前か……どいつだ!?」と犯人を突き止めて、土下座でもしてもらわないと気がすまない!(超怖い“ビリー・ミリガン”出てきた)。

 子宮頸がんワクチンはその副作用も知らされているので、推進されることがいいのかはわかりません。でも、いずれにしてもリスクを負うのは女性だけだなんて、おかしいですよね。男もなんかしてくれよ。

 防げる方法はないの? コンドームでは防げない? 調べてみると、コンドームをつけていても、ウイルスは男性器の付近についていると感染するそうです。ですが、1件のみ「セックス前に男性器を石けんで洗うとHPVの感染予防に」という記事を見つけました。ほら! あるじゃない、できること。

 ただし、「男性器を洗ってもHPVを完全に除去する効果はないが、洗って清潔にすることにはほかにも意味がある」というようなことが書いてありました。まあ、それはそうでしょうね。

 諸説あるものの、子宮体がん罹患率は欧米などの先進国で多いのに対し、子宮頸がんの罹患率は発展途上国で多い(※国立がん研究センターのHP参照)ことからも、なんとなくですがコンドームの使用や、男性がしっかり性器をお風呂で洗うことなどは感染の予防になるのではないかなと私は思っています。

 次回(7/9公開予定)は、仕事はどうしていたのか、についてお話しさせていただきますね。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM
FILM