「結婚と仕事の両立はできないよ?」クソリプにはウンザリ
「復帰後は大変よ。子どもはすぐ熱だすし、小学校で時短解除なんてできないよ。キッズも学童も遅くまで預かってくれないもの。しかもその頃には、子どもも意志を持っちゃうからね。あと、親が呼びかけないと、勉強もしないし……」
口を開けば否定ばかり。
ただ、これは年長者によくある、心配にかこつけた呪いなのだと、麗菜は今までの経験則で戒める。
『就職活動は大変だよ?』
『女性は大きな仕事を任せてくれないよ』
『結婚も、仕事も、子どもも、なんてできないよ』
『子どもなんて、欲しい時にすぐできないよ』
これは、麗菜が大学生の頃、仕事も恋も手に入れたいと夢を語った時に、人生の先輩方からかけられた余計な助言だ。つまりSNSで言うとクソリプ。
しかし、結局、今に至るまで全くその通りになっていない。
麗菜は全て手に入れてきた。未来の困難に素直におびえていたあの頃の自分が、とても馬鹿らしかった。
「ご教示、ありがとうございます。だけど私は、大丈夫です。制度も、支援やサービスについてもちゃんと、調べているし、準備もしています」
麗菜は目の前の晶子をじっと見据えた。晶子に言い聞かせるように。
「そうよね、がんばって。時代が違うものね」
また言い訳。麗菜はもううんざりしてしまった。
ネガティブな相手とはいるだけでHPが減る。
もう、こうやって面と向かって話すことはないだろう、そんなことを考えながら、手元のTOEICの参考書をこれ見よがしに鞄に仕舞った。
不思議な誘いが晶子から届く
「一時保育のお迎えのお時間なんです。晶子さんはごゆっくり」
「そうなんだ。じゃあまた」
「また」
心にもない“また”を別れの言葉に変える。
しかし、その数日後、麗菜は晶子から不思議な誘いを受けたのだった。
【#3へつづく:有能でも「ママ」の肩書きに埋もれる現実。“報われない世代”が後輩ママにウザがられても助言するわけ】
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