食事は推しと私のデートだから
「〇〇の××はぜひ食べてください」「△△は絶対おススメです」
食べもののことばかりSNSに上げているせいか、見ず知らずの人からDMやコメントで食情報が届く。世の中には親切な人がたくさんいるようだ。しかし送られてくる情報の99パーセントは、すでに知っている。私がどれだけの時間と情熱と愛を食につぎ込んでいると思っているのだ。すでに何度も自分のSNSに上げている店について教えられても、反応に困ってしまう。
「知っています」「何度も行きました」などと正直に返せば、相手に恥をかかせてしまうかもしれない。しかし「情報ありがとうございます」とだけ返すと、あとで私の投稿に気付いた相手が、気を遣わせてしまったと落ち込む可能性がある。ああもう、めんどくさいな!
食の情報は常に求めているが、見ず知らずの人はもちろん、よっぽどでなければ知人にも、おすすめの店は訊ねない。私に対して下心のある男性には、特に警戒が必要だ。
「今度連れてってあげるよ」「ご馳走してあげる」この極上の親切に対しての返答は、既知情報の提供以上に神経を使う。それが年上で、経済的に余裕があり、食への知識は人並み以上と自負するおじさんならなおさらだ。
「大丈夫です」は遠慮と取られるし、「うれしい」と喜んでみせれば、その場で日程が決まるだろう。もう逃げられない。食べ物には興味があるがあなたには全く興味がない、ということをあらかじめ伝えておかないと面倒なことになる。お気持ちはありがたいが、情報だけくれ。そして愛する食べ物には、身銭を切りたい。人の金で推しに課金するつもりはないのだ。
私はグーグルマップも使いこなせるし、常連客100%の小さな酒場にだって潜り込める。会員制でもない限り、連れて行ってもらう必要は全くないのだ。推しにはひとりで会いに行く。それは食事であり、推しと私のデートだから、付き添いは邪魔者でしかないのである。
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