藤島ジュリー景子氏が「半生」語った話題の本で“語られなかった”核心部分と、今も苦しむジャニーズ被害者たちの人生
旧ジャニーズ事務所「スマイルアップ」代表取締役の藤島ジュリー景子氏(58)が半生を語ったという本を出すことで話題になっている。「ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間」のタイトルで新潮社から7月に全国一斉発売され、新潮社は「さまざまな立場の方がいらっしゃることは承知しているが、出版する意義があると考えて刊行を決定した」とのコメントを出した。
ジュリー氏は、ジャニーズ事務所の名誉会長だった故藤島メリー泰子氏の長女で、故ジャニー喜多川氏のめい。公開されている同書の冒頭部分によると、本の出版はジャニー氏による「ジャニーズJr.」ら同事務所の扉を叩いた少年たちへの連続性加害を英BBCが3月に伝えた2023年の12月、ジュリー氏が小説のドラマ化話を持ちかけていた作家・早見和真氏とのメールのやりとりのなかで、その意思を示したのが発端のようだ。早見氏は序章でこうつづっている。
《ジュリー氏は唐突に自分の身に起きた一連の出来事を本にすることを考えていると伝えてきた》
早見氏のインタビューに答える形式となったのは、そうした流れだろう。ジュリー氏は自らの半生を振り返り、ジャニーズ事務所内でのポジションやジャニー氏、メリー氏との関係からアイドルグループ「嵐」との関わりなどを語っているという。一方で、スマイル社社長に就任した東山紀之氏が「鬼畜の所業」と表現したジャニー氏の性加害について、被害者へ謝罪しつつも、「知りませんでした」との記者会見で主張に変わりはないようだ。
「自伝などを出版し、半生を振り返るのは、リタイア前後の中小企業社長などによくあるパターンで、出版不況の昨今は、それを貴重な収入源として、盛んに営業をかける出版社もあります。藤島ジュリー氏が半生を本にしたいというお気持ちも、出版を決めた新潮社の決断も理解できる気がします。まして藤島氏は著名人ですから、マスコミを通じて報じられ、話題作になります」
とは、某出版プロデューサー。
「ただ、ジャニーズ連続性加害問題へのマスコミ報道が一段落した現状を鑑みると、少し余裕がみえるといいますか、逃げ切ったという思いもあるのかなという印象も拭えません」と続けた。
■今も苦しみを訴える被害者たちには「補償対象外」と徹底抗戦のスマイルアップ
記者会見などでリポーターをしている小柳美江氏はこう言う。
「ジュリーさんの本がどのような内容なのか分かりませんが、4桁に及ぶジャニー氏からの性被害者の半生がどれほど残酷だったか、それによって人生を狂わされてしまった人たちに対して、どのような思いでいるのか、お聞きしたいです。東山さんは『法を超えた補償』と会見で宣言しておられましたが、被害を訴えたのに(スマイル社から)被害者と認められず、苦しんでいる方もいます。裁判で補償請求できる地位にあることの確認などを求めているのは、長年、口にすることもできなかった言いしれぬ思いを抱えているからです。にもかかわらず、スマイル社は争う姿勢まで見せています。そうしたことをジュリーさんはどう考えているのでしょうか」
ジュリー氏は2回にわたって開かれた記者会見のうち1回を欠席、その後、補償問題を含め、公の席に一切姿を見せていない。オープンな場で記者会見を開けば、ジュリー氏への取材が殺到することだろうが、そうする気配は全くない。
マスコミからはこんな見方も上がっている。
「語りたくないところは語らないということでしょう。本でも、語られていないところは多分にあるように見ています」
つまびらかにした半生語りより、語っていない核心部分にこそ要注目かも知れない。
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